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コラムの泉

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自主的な休日出勤

最近、とみに「月日の経つのは本当に早い」との思いを強くしています。
ついこの間まで、満開の桜が散って行くはかなさを嘆いていたのに、今はもう暑さに耐え、熱中症を
気にする季節となってしまいました。人々の様々な思いを置いてきぼりにして、時間は粛々と時を刻んで行き、
それに連れて季節は淡々と移ろって行きます。

亡き妻と暮らした旧家で、一緒に暮らしてきた愛犬ハナちゃんは、昨年12月の転居(2階建一軒家の旧家は、
一人暮らしには不便なので、駅の傍の単身用マンションに転居しました)を機に、ハナちゃんを可愛がって
くれていた娘夫婦に託すことにしました。 
もともと不自由な私の足には、妻の介護疲労のせいか、最近は坐骨神経痛の痛みまで出てしまい、散歩させる
のもそう簡単ではなくなってしまいました。こんな状態ではどんどん高齢化していくハナちゃんを、ずっと一人で
世話して行くのはとても無理と判断……。
身を切られるような辛さはあったのですが、“ハナちゃんのためにもきっと良い”と思って、娘夫婦に託す
ことにしたのです。
ハナちゃんを飼い始めたときには、夢にも思わなかったことがどんどん現実化してしまいました。
「こんなはずではなかったのに」と病床の妻がときどき嘆いていましたが、今は、私が「こんなはずでは
なかったのに」といつも嘆いています。
然し、思うように行かないのが「人生」です。
現役のときには、思いもよらなかった生活を定年後に送る羽目になってしまったのも、「それがまた人生……」。
「こんなはずではなかったのに」と嘆きながらも進むしかありません。

  サラリーマンで半沢直樹みたいに自分の思い通りに人生を送れる人なんてそうそうはいないものです。
現役のときいくらエリートと言われても、肩書きも学歴も通用しなくなる“定年退職”を迎えたとき、
世間の厳しい扱いに面食らってしまうでしょう。
高すぎるプライドが邪魔になることもあるということを初めて知ることになるからです。

  サラリーマンも40歳を過ぎるあたりからは、会社の中で段々と出世の壁に突き当たるようになり、
自分の将来を悟って足掻きはじめます。これを「こんなはずではなかったのに症候群」と言いますが、
この傾向は、自分の将来に自信を持っていた高学歴エリートや一時期仕事で勇名をはせた功労者など
会社での出世に自信満々だった人に顕著なようです。そして、結局は、思うように行かず会社に不満を
持ったまま「定年退職」を迎えてしまいます。
そのときから旦那は、もう会社には行けず、他に行く場所も無く、しょうがないので、家庭にグズグズ
居座ることになります。でも、その家庭では、もはや給料を運んでこない「威張りん坊亭主」は、
家庭の本当のリーダー(奥様)からは歓迎して貰えません。その結果、家庭でも自分の居場所探しに
悩むことになるのです。「こんなはずではなかったのに」と思いながら……………。

  然し乍ら「威張りん坊亭主」が長い会社生活で身に着けた「威張りたい願望」は、「定年退職」した後も
しっかり心の中で温存されています。この「威張りたい願望」を持ったまま高齢者となった人たちの一部が、
最近、話題の「キレる高齢者」となって社会を騒がせています。
特に、駅や病院などでの暴力、暴言などが目立ち、「キレる高齢者」に対する世間の反感も強まってきています。
私の身の回りでも、偉そうに周りをへいげい(睥睨)している不機嫌なお年寄りを見掛けることが多くなりました。

  先日、テレビドラマにでもあるようなシーンを見ました。電車内で、やや足を伸ばして優先席に座っていた
金髪で派手な格好をした若い女性に対し、途中から乗ってきた高齢の大柄な男性がその足を軽くたたき、
“邪魔じゃねえか”とキレ、女性を睨みつけながら声を荒げました。
その後、その女性も負けじと“あんた、触ったでしょ”と応戦、すさまじい言い合いバトルに発展しました。
高齢男性にとっては、反撃されたのが意外だったようで、逃げるように次の駅で降りて行きました。
が、女性は逃がすものかと猛然とその後を追いかけて行きました。
後はどうなったか………? 私はそのまま電車に乗って行ったので分かりません。
「威張りん坊」の高齢男性は、「こんなはずではなかったのに」とほぞをかみながら、きっと応戦したに
違いありません。

前回の「産業医制度の見直し」についての話は、如何でしたでしょうか。
今回は、「自主的な休日出勤」についての話をします。
──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「自主的な休日出勤
────────────────────────────────
政府が推進している働き方改革の一環として、「時間外労働の上限規制」が
大きな注目を集めています。
現行法においては、「特別条項付き三六協定」を労使間で締結することにより、
繁忙期に上限の無い残業をさせることも事実上は可能です。
これが今後の法改正で、「たとえ労使協定を締結していても、労働時間は年間で
720時間を上回ることができない」こととなる見通しです。
違反企業には当然、罰則が課されますし、公共事業に入札できなくなるといった
影響もあります(厚生労働省は、違法な長時間労働が認められた企業名を各自治体
などに向け積極的に公表しています)。
また、ひとたび労基署の調査などを受け、“ブラック企業”としてネット等を通じ
拡散するような事態になれば採用活動などにも大きく響く時代ですので、企業と
しては何としても避けたいところです。
他方で、時間外労働の上限720時間には「抜け穴」が存在する、とも指摘されています。
その1つとして、「休日に働く時間」はこの時間に含まれていないことがあげられます。
また、詳細はまだ決まっていませんが、休日労働の抑制は企業の努力義務となりそうです。
今後は、就業時間内に業務を終えることができなかった従業員が、「自主的に休日出勤する」、
ということが増えるかもしれません。
然し、会社が命じていない休日出勤は、様々な問題が起こり得ます。
休日時間外労働には3割5分の割増賃金が発生しますし、この従業員が法律上定められた休日
(1週間に1日、もしくは4週間を通じ4日以上)を取らないようなことがあれば、これも
労基法違反となってしまいますし、労災が発生するリスクもあります。
トラブル発生時に、いくら企業側が「従業員が勝手に休日出勤した」と主張したところで、
会社が休日出勤を黙認していたと労働基準監督署にみなされれば、処罰されることもあります。
このような従業員が増えないよう、今後企業は労務管理に一層気を付けねばなりませんが、
それでもなお、上司の指揮命令を無視して休日出勤を繰り返すような従業員には、懲戒処分
人事考課などで厳しく対応することが必要になるでしょう。

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