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台風で会社を休みにしたら休業補償が必要?







2017年12月7日号 (no. 1033)
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http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【台風で会社を休みにしたら休業補償が必要?】
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台風5号が小笠原諸島周辺をウロウロして、勢力を強めて本州にやってきそうな2017年の8月です。


台風が来ると、色々と影響が出ます。電車が動かない。タクシー乗り場に長蛇の列。風で傘が捲れてしまい壊れる(ビニール傘は即死)。雨がザーザー降って川が溢れる。お店が閉店時間よりも早く閉まる。学校が警報で休校になって、学生は大喜び。

書けば書くほど、まぁ色々とありますね。


風を受け流す傘やひっくり返っても壊れにくい傘もあるようで、簡単に壊れるビニール傘よりもこういう傘のほうがいいですね。ビニール傘は他の人と同じような外見なので、傘立てに立てておくと盗まれやすいですし、安物買いの銭失いになります。

ただ、あのシースルーなところは気に入っています。他の傘だと傘の内側から外は見えませんが、透明のビニールだと中から見えますので、傘を差していても開放感があるんです。あの開放感はビニール傘ならではでしょうね。


今は、郵便局でも雨傘が販売されているんです。「ポキッと折れるんです」という傘で、風を受けると、骨が外側に折れて、風を往なしてくれるシロモノ。


http://www.post.japanpost.jp/notification/pressrelease/2017/00_honsha/0607_02_01.pdf
雨傘「ポキッと折れるんです」の販売開始


さて、傘の話はそれぐらいにして、台風がやってくると、会社やお店の営業をどうするかが問題となります。


例えば、飲食店だと、雨が降るとお客さんが減りますし、台風だとほとんど来客はありません。私も飲食店で働いた経験がありますが、台風が来ると、夜の夕食時間であっても、来客数は普段の半分以下、いやそれよりももっと少なくて、通常の10%から20%ぐらいの来客数になります。

客数が1/5にもなれば、お店を開けているだけで赤字ですから、「こりゃあ、もう店を早仕舞いさせるかな」と思ってしまうところです。お客さんが来ないのですから、たしかに店を開けていてもしょうがないですよね。


では、お店を早く閉めて、従業員の人を帰らせたらどうなるか。

とある場所に、営業時間が17時から22時までの飲食店があったとしましょう。夜の営業は17時ぐらいから始まるお店が多いですし、閉店は22時頃のお店も多いです。

晴れた日だと、22時までキチンとお店を開けているのですけれども、台風が来ると、「今日は20時でお店を閉めようか」となります。

ただ、20時で仕事が終わってしまうと、22時まで働けなくなります。契約では22時まで働くと決めているのに、20時で終わっちゃう。それで給与は17時から20時までの分だけ。


働く条件は契約で決めており、週に何日、出勤した日に何時間働くか。こういったことを予め約束しています。夜の出勤だと、17時から22時までは働いてください、と契約で約束しているわけです。

その約束した時間だけ、会社なりお店は働かせる義務がありますので、閉店時間の22時よりも早い22時に仕事を終わらせてしまうと、契約の一部が不履行になります。となると、何らかの補償が必要です。


何か物を買う契約をして、「この部品を1,000個、買います。来月10日に納品してください」と注文をして、受注者が「はい、分かりました」と受ける。その後、受注者は部品を製造して、納品日に間に合わせます。

しかし、納品日の4日前に、「いや、やっぱり1,000個も要らないので、600個でいいですわ」と連絡してきたらどうなるか。注文を受けた側としては困りますよね。もう1,000個を作り上げて、納品の準備が終わっているのに、要らないと言われたら。

こういう場合は、注文契約の際に、途中解約した場合のペナルティ条項が契約に含められている場合があります。例えば、「キャンセルした注文額の80%を違約金として支払う」というようなものです。

キャンセルした400個、部品1個あたりの単価が8,000円だとすると、総額で320万円です。この80%である256万円が違約金になるわけです。

このようなペナルティ条項を契約に入れることで、発注者に責任を持たせて、キチンと約束した内容を履行させるのです。


話を戻して、台風で営業時間を短縮し、勤務時間が2時間減ってしまうと、この2時間に対して休業手当が必要になります。この休業手当は、上記の部品売買契約にある違約金と同じようなものです。約束した物(部品、労働力)を買わなかったのですから、その補償を注文者(使用者)にさせるわけです。


ただし、使用者に責任が無い場合は休業手当を支払う必要はありません。

ここで、「台風が原因だから、使用者には責任は無いんだよね?」と思うところですが、台風による影響といっても、その程度によって対応が変わります。

ものすごい雨で、川が氾濫し、水が街の中に溢れ出して、会社やお店が流れて壊れた。これだと営業できませんし、お店が壊れたのは使用者の責任ではないですから、休業手当を支払う必要はないでしょう。

他にも、落雷で停電が発生し、店内の照明が消えて、精算用のレジも動かなくなったので、お店を閉店したとなると、これも使用者の責任ではありません。

つまり、台風の影響により物理的に営業できなくなった結果、休業した、もしくはお店を早く閉めた。これならば使用者の責任ではないので、労働基準法26条は適用されないでしょう。


しかし、単に雨風が強くてお客さんが少ないのでお店を臨時休業にした。もしくは通常時の閉店時間よりも早く店を閉めたとなると、これは使用者の責任です。

物理的に営業が可能だけれども、使用者の判断でお店を閉めたわけですから、休業手当が必要になります。

ただ、キチンと休業手当を支払って休みなり早退させるところは多くないでしょう(法律違反ですが)。働いてもらわなくても給与を支払わないといけないので、人によっては難色を示します。ノーワーク・ノーペイの考え方しか知らない人だと、休業手当について理解してもらいにくいのです。キャンセル時の違約金について例を示せば分かってくれるとは思いますが、それでも休業手当を理解している人は多くない感じです。



もし、台風で休業なり閉店時間を早める場合は、他の日に勤務時間を振り替えて対応するのが現実的な対処法です。


先程の例だと、20時でお店を閉めたので、残りの2時間は働けなかったのですから、他の日に勤務時間を2時間分上乗せして補償すればいいでしょう。

火曜日に台風が来て20時に閉店したならば、翌日の勤務時間を2時間増やすとか。1日で2時間増やすのが難しいならば、1時間ずつ2日に分けて振り替える(翌日の水曜日と、明後日の木曜日に分散させる)というのも選択肢の1つです。


時間短縮ではなく丸1日休みにしたならば、当日は休みにして、他の日の休みを出勤日に変えます。


台風が来たら、振り替え出勤を検討する。これがポイントですね。

 




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半日有給休暇半日欠勤の組み合わせはダメ?』
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合格率0.07%を通り抜けた大学生。


今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。

子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。

「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。

私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。

実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。


どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。

そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。


http://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20171207_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡




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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20171207_3





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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。


一例として、

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休振替休日はいつまでに取ればいいの?


このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

▽    ▽   『仕事のハテナ 17のギモン』    ▽    ▽
http://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_clockperiod_common_20171207_4



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