こんにちは、
産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
産業医として化学工場、営業事務所、IT企業、電力会社、小売企業等で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で、情報発信をしております。
さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を
資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった
産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
http://hatarakikatakaikaku.com/
今回は、以前掲載した「休業を伴うメンタル疾患への対応について」についてコラム再アップさせていただきます。
労働衛生の取組を行うことで、
従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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休業を伴うメンタル疾患への対応について
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従業員の精神的なケアは、慎重に取り扱う必要がありますが、会社は病院ではありませんので、精神的なケアだけを行っていれば良いというわけでもありません。
今回は、メンタル不調の訴えで休業した場合の対応について、必要となる要点を示します。
なお、「会社は医師では無い。」「主治医が主体的に会社の現状を知る術は無い。」「会社側の意思決定者は
代表取締役である。」という構造になっている前提で説明させていただきます。
労使共に健康(精神的・社会的)となるように、ご活用ください。
○休業に際し、メンタル疾患に対応を行うことは
安全配慮義務、疾病以外への対応は管理監督指導を意識すること
本人のメンタル不調の訴えだけでは、会社はメンタル疾患か否かを判断することができません。
休業が伴うメンタル不調の訴えの場合に、それだけで対応を悩まれる
人事や上司も多くいらしゃいました。
社員がメンタル不調の訴えで休業した場合は、医師の診断書を受けて「会社としてのメンタル疾患への対応」が開始されます。休業した者がメンタル不調を訴えていたとしても診断書の提出を受けていない場合は、会社としては診断書の提出を求めてください。もし、再三の求めにも関わらず診断書が出てこない場合は、最終的に
就業規則に基づいた管理監督指導を行う必要があります。
○診断書が出た後の初期対応
会社は医師ではないため、診断書の指示に従うことが原則になります。
しかし、主治医は、臨床上の情報だけで休業や
復職可の判断を行うことから、非合理的な診断になることがあり、その負担は会社が背負うことになります。
そこで、診断書が出た後の初期対応として、会社の現状を知っている
産業医と情報交換することが必要になります。診断内容に合理性が無い場合、
産業医は文書により主治医との情報交換を行い、合理的な診断に近づけることができます。
○休業中の対応
休業中であっても、主治医が会社との情報共有を禁止していない場合は、会社と社員は定期的(概ね1~2ヶ月毎)に
復職に向けた情報共有を行うことが必要です。
その確認事項は、前回の情報共有時と比べて良くなったか否か及び
復職準備可能となったかを確認すると良いでしょう。また、確認した情報は、
産業医と共有しておくべきです。
○
復職準備可能となった際の対応
復職準備可能と主治医が診断した後は、円滑な
復職を行うための以下のような訓練が必要となります。そこで、客観的なエビデンスを積み上げることで、
産業医が
復職可能か否かの意見を出すことができます。
会社としては、
復職準備に関する制度を定めておくことが必要です。その際、労使の労働衛生に関する協議がされた記録を残すために、
衛生委員会の決議を得ておくと良いです。
・家庭における課題の達成及び生活習慣の記録
・地域障害者職業センターや民間リワークセンターの
復職支援を活用
・リハビリ出勤制度に基づく課題の達成
○
復職時とその後の対応
主治医から
復職可能の旨が示された診断書が出た後、
復職準備期間のエビデンスを元に、
産業医が
復職に関する意見を示します。その際、主治医の診断書が非合理的なものと
産業医が判断した場合は、
産業医が主治医と意見交換を行います。
会社としては、原則、
産業医の意見を元に本人に出勤を命じることになります。
さらに、
復職後も体調や精神状態の変化を経過観察することが必要です。最初は、数日おきに行い、徐々に経過観察の期間を延ばしていくことが一般的です。
○補足:休業を伴うメンタル疾患への対応に関する
産業医の専門性について
休業を伴うメンタル疾患への対応に関して、
産業医の役割は会社の立場を理解した上で医師として情報整理を行うことになり、この情報整理が合理的な
産業医が専門性が高いと言えます。
逆の場合は、会社が常に訴訟リスク等の見えない
負債を持つことになります。
産業衛生専門医という
産業医の専門医資格(以下URL)がありますので、企業としては以下のような手段で確保に努めると良いでしょう。
・募集の際に産業衛生専門医を指名する。
・
産業医に取得の指示を行う。
(取得に関するキャリアが無い場合、最短で4年必要です。)
・産業保健総合支援センターに相談する。
【日本産業衛生学会専門医制度
委員会】
http://jaoh-caop.jp/
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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を
資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/
こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
産業医として化学工場、営業事務所、IT企業、電力会社、小売企業等で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で、情報発信をしております。
さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
http://hatarakikatakaikaku.com/
今回は、以前掲載した「休業を伴うメンタル疾患への対応について」についてコラム再アップさせていただきます。
労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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休業を伴うメンタル疾患への対応について
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従業員の精神的なケアは、慎重に取り扱う必要がありますが、会社は病院ではありませんので、精神的なケアだけを行っていれば良いというわけでもありません。
今回は、メンタル不調の訴えで休業した場合の対応について、必要となる要点を示します。
なお、「会社は医師では無い。」「主治医が主体的に会社の現状を知る術は無い。」「会社側の意思決定者は代表取締役である。」という構造になっている前提で説明させていただきます。
労使共に健康(精神的・社会的)となるように、ご活用ください。
○休業に際し、メンタル疾患に対応を行うことは安全配慮義務、疾病以外への対応は管理監督指導を意識すること
本人のメンタル不調の訴えだけでは、会社はメンタル疾患か否かを判断することができません。
休業が伴うメンタル不調の訴えの場合に、それだけで対応を悩まれる人事や上司も多くいらしゃいました。
社員がメンタル不調の訴えで休業した場合は、医師の診断書を受けて「会社としてのメンタル疾患への対応」が開始されます。休業した者がメンタル不調を訴えていたとしても診断書の提出を受けていない場合は、会社としては診断書の提出を求めてください。もし、再三の求めにも関わらず診断書が出てこない場合は、最終的に就業規則に基づいた管理監督指導を行う必要があります。
○診断書が出た後の初期対応
会社は医師ではないため、診断書の指示に従うことが原則になります。
しかし、主治医は、臨床上の情報だけで休業や復職可の判断を行うことから、非合理的な診断になることがあり、その負担は会社が背負うことになります。
そこで、診断書が出た後の初期対応として、会社の現状を知っている産業医と情報交換することが必要になります。診断内容に合理性が無い場合、産業医は文書により主治医との情報交換を行い、合理的な診断に近づけることができます。
○休業中の対応
休業中であっても、主治医が会社との情報共有を禁止していない場合は、会社と社員は定期的(概ね1~2ヶ月毎)に復職に向けた情報共有を行うことが必要です。
その確認事項は、前回の情報共有時と比べて良くなったか否か及び復職準備可能となったかを確認すると良いでしょう。また、確認した情報は、産業医と共有しておくべきです。
○復職準備可能となった際の対応
復職準備可能と主治医が診断した後は、円滑な復職を行うための以下のような訓練が必要となります。そこで、客観的なエビデンスを積み上げることで、産業医が復職可能か否かの意見を出すことができます。
会社としては、復職準備に関する制度を定めておくことが必要です。その際、労使の労働衛生に関する協議がされた記録を残すために、衛生委員会の決議を得ておくと良いです。
・家庭における課題の達成及び生活習慣の記録
・地域障害者職業センターや民間リワークセンターの復職支援を活用
・リハビリ出勤制度に基づく課題の達成
○復職時とその後の対応
主治医から復職可能の旨が示された診断書が出た後、復職準備期間のエビデンスを元に、産業医が復職に関する意見を示します。その際、主治医の診断書が非合理的なものと産業医が判断した場合は、産業医が主治医と意見交換を行います。
会社としては、原則、産業医の意見を元に本人に出勤を命じることになります。
さらに、復職後も体調や精神状態の変化を経過観察することが必要です。最初は、数日おきに行い、徐々に経過観察の期間を延ばしていくことが一般的です。
○補足:休業を伴うメンタル疾患への対応に関する産業医の専門性について
休業を伴うメンタル疾患への対応に関して、産業医の役割は会社の立場を理解した上で医師として情報整理を行うことになり、この情報整理が合理的な産業医が専門性が高いと言えます。
逆の場合は、会社が常に訴訟リスク等の見えない負債を持つことになります。
産業衛生専門医という産業医の専門医資格(以下URL)がありますので、企業としては以下のような手段で確保に努めると良いでしょう。
・募集の際に産業衛生専門医を指名する。
・産業医に取得の指示を行う。
(取得に関するキャリアが無い場合、最短で4年必要です。)
・産業保健総合支援センターに相談する。
【日本産業衛生学会専門医制度委員会】
http://jaoh-caop.jp/
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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/