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安全配慮義務と忠実義務について

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業、電力会社、小売企業等で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。
 さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
http://hatarakikatakaikaku.com/
 今回は、「安全配慮義務忠実義務について」コラムを再アップさせていただきます。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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安全配慮義務忠実義務について
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安全配慮義務
 事業者安全配慮義務は、最高裁判所の判例(昭和50年2月25日第三小法廷判決)により定立された概念で、法令上の根拠は民法第1条第2項「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。」という信義則をもとにした曖昧なものでした。
 そこで、平成19年制定の労働契約法第5条に、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と定められ、労働法令以上の義務を課する安全配慮義務という概念が確立しました。

※ ただし、前述のように、信義則をもとにしたものであるため、「分かりづらい」「具体的な対策方針が見えない」という方もいらっしゃると思います。
 そこで、事業者労働者に対する信義則上の義務が安全配慮義務であれば、労働者事業者に対する信義則上の義務である忠実義務(誠実義務)について考えると良いと思います。

忠実義務
 代表的な忠実義務は、会社法第355条に、「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない。」と規定されおり、会社が本来持つ富を犠牲にして、自己の利益を図ってはならない義務となります。具体的には、「会社の信用、名誉を毀損しない義務」「秘密保持義務」「競業避止義務」等があります。
 会社法では、取締役に対して定められておりますが、取締役以外の労働者に対しても、就業規則を通じて忠実義務の概念が適応されています。

安全配慮義務忠実義務は相互義務
 従って、忠実義務と同様に安全配慮義務を説明すると、労働者が本来持つ富(健康等)を犠牲にして、会社の利益を図ってはならない義務と言え、安全配慮義務忠実義務は相互義務の関係にあると言えます。
 事業者が会社の生産性を向上させるために、労働者に対して高い忠実性を求めるのであれば、それと同等以上の健康を守る措置を図る必要があります。

○補足:自己保健義務
 労働安全衛生法第4条の「労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。」及び第26条の「労働者は、事業者が第二十条から第二十五条まで及び前条第一項の規定に基づき講ずる措置に応じて、必要な事項を守らなければならない。」に規定される自己保健義務については、事業者等が実施もしくは講じる措置を、労働者が協力や遵守すべき旨を定めているものであり、忠実義務の一環と言えます。

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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/

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