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減給処分後の賞与の減額

私が気に入っている言葉に「アレリーマン」という言葉があります。
「アレ、何だったかな」、「アレアレ!アレだよ」とアレを連発する人を称する言葉です。
「アレリーマン」は、中高年サラリーマンが代表選手のように思われていますが、
何も「アレの連発」はサラリーマンだけに特有なことではありません。
年齢を重ねた多くの人に、“アレ、あの人の名前は何だっけ?”と、顔はハッキリと
思い浮かぶのに、その人の名前がなかなか出てこないという現象が現れてしまいます。
私もサラリーマンではありませんが、今や誰にも引けを取らない立派な「アレリーマン」
だと自負しており、毎日「アレアレ」と叫んでいます。
「アレリーマン」は中高年サラリーマンにも共感を頂いた言葉でしたが、最近は、
それにも負けない新造語「フラリーマン」が、脚光を浴びるようになって来ています。

「フラリーマン」とは、社会心理学者の渋谷昌三さんが2007年、著書の中で名付けたこと
から誕生した言葉と言われています。男性サラリーマンが、家庭を顧みずに仕事をしていた
ことから家庭内での自分の居場所が失われ、早く帰れるようになってからも外でフラフラ
して時間を潰し、遅くにやっと帰る姿からつけられたそうです。
そして最近は、この「フラリーマン」が多くの会社で、じわじわと数を増して来ているそうです。
NHKの番組(クローズアップ現代)では、「キレる妻が激増!日本の夫婦に何が?」と
銘打ち2500人の既婚男女にアンケートした結果を特集していましたが、昭和前半世代の私には、
ちょっと考えられないようなことが起きているようです。

 過去30年の夫の離婚動機の変化で、1985年には第8位だった「妻からの精神的虐待」が、
最新の調査で第2位に急浮上していたのです。
明らかになったのは、妻を「怖い」と感じている夫の多さです。その中身を見てみると、
従来の恐妻家とはちょっと違うようです。例えば「人格を否定するような暴言」、
「鬼の形相で責められる」など妻からのパワハラで精神的に追い詰められてしまう
夫の姿が描かれているのです。
アンケートでも多くの夫が、「妻が家庭の実権を握っていて逆らえない」ことを、
妻を恐れる理由に挙げています。そして、こんな状況に耐えられない男性が、
仕事が終っても家に帰りたくないと「フラリーマン」になる、という訳です。

「フラリーマン」は、私がサラリーマンだった大昔にもいました。でも、今のように
仕事の後「会社の外」でフラフラするのではなく、仕事中「会社の中」でフラフラ
していました。就業時間中は、雑誌を読んだり、長電話をしたりと暇そうにしているのに、
退社時間まじかになると急に忙しそうに仕事を始めます。
そして結局、○○時間残業した後“忙しい、忙しい”と言いながら、帰ります。
でも、一人で帰るのはまだ良い方で、もっと「困ったちゃん」の場合は、
自分の帰るとき、サービス残業をしている若手(私も若手でした)を飲みに誘う先輩
でした。きっと「残業代も欲しいし、家に早く帰るのもちょっと」という何かの理由
があったのでしょう。今でも、その顔が浮かんできます。

最近は、「暴走老人」とか「暴走中高年」に加え、「キレる奥さん」まで登場して
しまいました。世の中、みんなでキレまくっているようです。
勿論、私も家の中で、一人でキレてます。テレビを見ているときは、訳の分からない
ことを偉そうに喋っている知識人などを大声で怒鳴っていますし、手に持った物を
ポロポロ落としては、ブーブー言いながら拾い上げています。そして苦労して
拾い上げた後、何をしようとしたのか自体を忘れてしまって、自分にキレています。
私はこんなに毎日キレまくっているので、きっと早く天国に行くことでしょう。
そして天国でもきっとキレまくって、出迎えてくれた妻を困らせることでしょう。

前回の「産業医制度の見直し」についての話は、如何でしたでしょうか。
今回は、「減給処分後の賞与の減額」についての話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「減給処分後の賞与の減額」
───────────────────────────────
当社社員が昨年2月に社内規定に反する不祥事を起こしたので、減給の懲戒処分
を科しました。
その後,昨年7月に賞与を支給しましたが,賞与算定期間が昨年1月から6月
まででしたので,2月に不祥事を起こしたことを考慮して低位査定を行い,
他の社員よりも少ない賞与を社員Aに支給しました。
然し先般、社員Aから「2月に減給処分を受けたのに更に賞与が減額されることは
二重処分であり,無効である。本来支給される賞与と支給された賞与との差額を
支払え」との苦情がありました。このような場合,差額の賞与を支払わなければ
ならないのでしょうか。
(1)減給の制裁
減給とは,「労務遂行上の懈怠や職場規律違反に対する制裁として,本来ならば
その労働者が現実になした労務提供に対応して受けるべき賃金額から一定額を
差し引くこと」を言います。従って,減給の制裁の前提として,労働者使用者
に対して賃金請求権を有していることが前提となります。
この減給の制裁については労基法91条で「就業規則で,労働者に対して減給の
制裁を定める場合においては,その減給は,1回の額が平均賃金の1日分の半額を
超え,総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」
と定められています。
(2)二重処分(一事不再理)となるのか
 同一事由について2回の懲戒処分を行うことは禁止され,このことを
「一事不再理」ないし「二重処分の禁止」と言います。このことは裁判例でも,
例えば「懲戒処分は,使用者労働者のした企業秩序違反行為に対してする一種の
制裁罰であるから,一事不再理の法理は就業規則懲戒条項にも該当し,過去
にある懲戒処分の対象となった行為について重ねて懲戒することはできないし,
過去に懲戒処分の対象となった行為について反省の態度が見受けられないこと
だけを理由として懲戒することもできない」
(平和自動車交通事件・東京地決平成10年2月6日)と判示されているところです。
 それでは,過去に懲戒処分を受けた者について賞与を低位査定することは
二重処分として禁止されることになるのでしょうか。 
これについては、社内規程の定めにより結論が異なります。
(イ)社内規程の根拠条項で「賞与を支給することがある」、「賞与は会社の
経営状況,本人の勤務状況等を勘案し,支給することがある」といった定めの
場合には,使用者により過去の勤務状況を踏まえて決定された支給額,その限度
においてのみ賞与支払請求権が発生すると考えられますので,そもそも減給の制裁
に該当するものではないと考えられます。従って,差額を支払う必要はありません。
(ロ)他方,「賞与は2カ月分の基本給を支払う」と定められていた場合には,
労働者基本給の2カ月分の賞与支払請求権が発生しているのであり,減給処分
受けていたことを理由として減額をすることは二重処分に該当しうるものと考えられ,
申し出通り差額の支払いが必要となるものと考えられます。

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