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有給休暇を取得した日の給与はどうやって計算するの?







2018年6月1日号 (no. 1078)
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http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【有給休暇を取得した日の給与はどうやって計算するの?】
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■給与計算の方法は3つある。

普通の休みの日とは違って、給与が出る休みなのが有給休暇です。休みの日は給与が無く、仕事の日は給与が出る。これが通常ですが、有給休暇は休みだけれども給与が発生する。そういう特殊な休暇なのです。

休んでいるのに給与が出るんですから、嬉しいですよね。働いている人にとって、給与と同じぐらい有給休暇に興味があるはずですから、どういう仕組みなのかは知っておきたいところ。


働いていない日なのに、どうやって給与を決めるのか。そういう疑問を抱くはずです。有給休暇を取った日の給与ですが、計算方法は3通りあります。

「えっ? 3つもあるの? 1つでいいのに」と言いたいところでしょうが、まぁそう言わずに。ここは大事なところですよ。自分の給与ですからね。


実際に出勤したとみなして給与を計算。
平均賃金を使う。
健康保険標準報酬日額を基準にして給与を決める。
 

方法はこの3つです。

3番の内容が何だか難しそうですよね。でも心配しないでください。後で分かりやすく説明しますから。

 

 

 

■通常通り出勤したものと仮定して給与を支給する方法。

では、まず1つ目の方法から。


これは最も簡単な方法ですが、休まず実際に出勤したとみなして給与を算出します。

例えば、1日8時間勤務する日を有給休暇に変えたとすると、給与は8時間分です。また、1日5時間出勤のところに有給休暇を充当すると、給与は5時間分。こういう計算になるんですね。

有給休暇を取得した日の給与を計算する方法としては、最も簡単なものですから、迷ったときはこの計算方法を選択するのも良いですね。


ただし、この方法にはちょっと欠陥というか短所があります。

どういうことかというと、勤務時間が長い日に有給休暇を入れると、給与が多くなります。逆に、勤務時間が短い日に有給休暇を入れると、給与は少なくなります。


「じゃあ、勤務時間が長い日に有給休暇を取れば得だよね」と思いつくわけです。

どの出勤日でも勤務時間は一定な人には関係ないところですが、パートタイムで働く人だと日によって勤務時間がバラバラな人もいます。水曜日は4時間勤務だけど、日曜日は7時間勤務というように日によって勤務時間が違います。


この欠点を受け入れるか。それとも、「何か別の方法はないの?」と考えるか。ここが課題ですね。

 

 


平均賃金で決める方法。

過去3ヶ月分の賃金を平均して、1日あたりの給与を出し、それを有給休暇を取得した日の賃金とする。これが2番目の方法です。

平均賃金労働基準法12条)を計算する方法は、過去3ヶ月分の給与を、3ヶ月間の総日数で割って計算するものです。


例えば、過去3ヶ月分の給与が合計で94万円だったとしましょう。さらに、3ヶ月間の総日数が90日だとします。この場合は、94万円 ÷ 90日 ≒ 10,400円 なので、1日あたりの平均賃金は10,400円です。

この10,400円が有給休暇で休んだ日の給与となるわけです。


先程の「実際に出勤したとみなして給与を算出する方法(1番の計算方法)」だと、出勤日の勤務シフトによって給与がコロコロと変わりますけれども、この平均賃金を使う方法だと、そういうブレがなくなります。


この方法に短所があるとすれば、平均賃金を算出する手間がかかるという点です。有給休暇を取るたびに平均賃金を計算しないといけませんから、この点が面倒なところ。

ただ、1番の計算方法にあった欠点をクリアできるという良い部分もありますから、一長一短です。

 

 


健康保険標準報酬日額を基準にして決める方法。

では、最後に3番目の計算方法を説明しましょう。

「ちょっと待って。標準報酬日額って何?」

まずここが分からないところですよね。分かります。その気持ち。


健康保険標準報酬日額というのは、健康保険料を決めるための基準になるものです。つまり、標準報酬日額が多ければ健康保険料が多くなり、逆に少なければ健康保険料も少なくなるというものです。

さらに言うと、収入が多くなると、標準報酬日額も多くなり、健康保険料も多くなる。こういう関係なのです。つまり、収入に連動しているのが標準報酬日額というものであり、それを使って健康保険料を決めるというわけ。


「収入に保険料率を掛けて健康保険料を計算すればいいだけじゃないの? 」と思うでしょうが、社会保険料はちょっと特殊な仕組みで決まるんです。


仮に、健康保険料率が10%だとして、月収が51万円だと、健康保険料は5万1千円になりそうですが、実際はそうならないのです。

なぜかというと、収入に保険料率を直接に掛けて計算するのではなく、まず収入から標準報酬月額という数字を出して、その標準報酬月額保険料率を掛けて健康保険料を出すからです。

月収51万円だと、標準報酬月額は500,000円になります。そして、この標準報酬月額である500,000円に10%を掛けると、保険料は50,000円です。

収入に対して直接に保険料率を掛けた場合よりも、標準報酬月額保険料率を掛けた方が保険料が安くなっていると分かりますよね。

最初は51,000円だと思っていたものが、計算すると50,000円になるわけですからね。


ちなみに、月収485,000円から515,000円までの人は全て標準報酬月額が500,000円として扱われますので、健康保険料が同じになります。収入は少し差がありますが、保険料は同じです。


詳しくは、標準報酬月額 簡易閲覧表を御覧ください。

健康保険 標準報酬月額 簡易閲覧表(H30/4 - )
http://www.growthwk.com/entry/2018/03/05/133251



さて、有給休暇を取った日の給与の話に戻ると、月収50万円の人だと、標準報酬月額は50万円なので、これを30で割ると、標準報酬日額は約16,700円です。ちなみに、標準報酬月額を30分の1にして標準報酬日額を算出します。1ヶ月分を1日あたりに換算するわけです。

となると、この人が有給休暇を取った場合、給与は16,700円になるんですね。

これが3番目の給与計算方法です。


ここで、「この標準報酬日額を使う方法は、社会保険に入っている人しか使えないの?」と思うところですが、社会保険に入っていなくても標準報酬日額を算出することは可能です。標準報酬月額のテーブル(標準報酬月額 簡易閲覧表)に収入を当てはめれば、標準報酬月額が出ますから、それを30で割れば標準報酬日額を算出できます。

なお、3の方法を利用する場合は会社側と社員側で、「有給休暇を取った日は標準報酬日額で給与を支払う」との労使協定を締結しておく必要があります。

 

 

 

■どの計算方法を使うかを決めたら、途中で変えない。
 

前回は2番で計算したけど、今回は1番で。というように都合よく計算方法をコロコロ変えてはダメです。

どの計算方法で有給休暇中の賃金を計算するか。これは就業規則賃金規定で決めて固定します。

給与を計算する方法は1から3までありますが、その中から1つ選んで決めておきます。

 


■どの計算方法がオススメですか?

「じゃあ、どの計算方法がいいの?」

そう聞きたいところですよね。

どの方法も一長一短ですから、悩ましい気持ちは分かります。


私ならば、1番を選ぶでしょうね。理由は、最も簡単だから。


勤務時間数のバラつきに対応できないという欠点はありますが、事務処理の簡単さを重視すると1番がベストです。

2番は計算作業が必要になりますし、3番は労使協定を締結してから標準報酬月額を算出して給与を計算しますから、いずれも少しですが手間がかかります。さらに、3番の方法だと、「標準報酬日額って何ですか?」という質問に答える作業も必要になります。

労務管理はシンプルさが一番ですから、有給休暇を取った日の給与計算では1番の方法、実際に出勤したとみなして給与を支払う方法がベストです。

 




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合格率0.07%を通り抜けた大学生。


今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。

子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。

「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。

私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。

実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。


どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。

そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。


http://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180601_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡




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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180601_3





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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。


一例として、

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休振替休日はいつまでに取ればいいの?


このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

▽    ▽   『仕事のハテナ 17のギモン』    ▽    ▽
http://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_clockperiod_common_20180601_4



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