• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

店舗改装でお店が休みになったら、仕事はどうなるの?







2018年6月28日号 (no. 1105)
3分労働ぷちコラム バックナンバーはこちら
http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
---3分労働ぷちコラム---
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□




本日のテーマ【店舗改装でお店が休みになったら、仕事はどうなるの?】
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓





お店を営業していれば、徐々に設備や内装は古くなります。

 

新鮮味も薄れてきて、お客さんも飽き始めますから、
ある程度の時間が経過したら、

何らかの形でリニューアルをするもの。

 


「新装オープン」
リニューアルオープン」

と書かれたチラシを見たり、
お店の外にのぼり(「旗」のこと)が付いていたり、

 

ちょくちょくとこういう場面遭遇します。

 

家電量販店、スーパーマーケット、
さらにパチンコ屋も頻繁に改装していますよね。

 

 

 

■改装中はお店が休みに。

営業しながらできる改装作業もあるでしょうが、
改装となると、概ねお店を閉めて作業をしているところが多いです。

 

お店を休みにすれば、働いている人は仕事が休みになります。


となると、

「改装中は休みになるから、給与も無いの?」

と思うところ。


改装作業が無ければ、

普通に出勤して仕事をして、
給与も出ているはずですが、

お店が休みですからね。

 

 

 

改装は使用者の責任なのかどうか。

使用者の判断で労働者を休ませると、
仕事をしていなくても給与を支払わないといけないのが法律です。

 

労働基準法26条
使用者責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

 

使用者の責任で休業すると、
休業手当(つまり給与のこと)を払わないといけないんですね。


では、お店を改装するために仕事が休みになったら、
それは使用者の責任なのかどうか。

 

ここが考えどころです。

 


改装するかどうかは使用者が決めることですし、
その時期や内容も任意で決められます。

となると、

使用者の責任で休業しているんじゃないか?」

と言えます。


労働者の責任で休みになっているわけではないですし、
台風や大雪でお店をオープンできないという状況でもありません。

 

改装スケジュールを決めるのは使用者です。

ならば、「使用者の責任でお店を休みにしている」と考えるのが素直です。

 

 


休業手当を払うかどうか。

お店を休みにするといっても、
改装の規模や期間によって対応が変わります。


例えば、2日や3日程度の改装作業である場合。

3月13日から15日までの3日間、お店を改装するために閉店するとしましょう。

 

この3日間に出勤する予定だった人は休業になるわけですが、
休みになっても、他の日に出勤日を振り替えて対応できます。

 

3月13日から15日までの3日間全てが出勤日だったとすれば、
他の休みの日を出勤日に変えて、出勤日を補填します。

 

3日分の出勤ですから、どこか休みになっている日を出勤に変えます。

 

連続出勤にせずとも、
1日ずつ分散して、合計で3日分の出勤日を補填すれば良いでしょう。

 


また、もともと3月13日から15日まで休みの予定だった人ならば、
振り替えも必要ありません。

予定通り、そのまま休みになるだけです。

 


他には、事前に出勤日を調整して、
改装日は連休になるように勤務シフトを組むのも一案です。

 

改装の予定は遅くとも2ヶ月前ぐらいには決まるでしょうから、
年明けの1月から勤務シフトを調整し、
3月13日から15日の3日間は全員が休みになるようにします。


振り替えて出勤する。もしくは勤務シフトを早めに調整しておく。

こういう対策を講じれば、改装中に休業手当を支払うことを回避できます。

 


会社としては、

「仕事をしてもらっていないのに給与(休業手当)を払いたくない」

という気持ちがあるでしょうから、

 

先ほどのような工夫が必要です。

 

 

 

 

■建て替え工事が必要な大規模な改装。

数日で終わる改装ならば、

 

振替出勤

勤務シフトを事前に調整して

 

対応可能です。

 


しかし、

 

古くなった店舗を全部壊して、

新しい店舗を建てるとなれば、

さすがに数日で改装作業は終わりません。


どういう建物を壊して、建てるかによりますが、

1年6ヶ月とか、2年とか、

それぐらいの期間が必要になるはずです。

 

「じゃあ、1年6ヶ月も休業して、その期間の給与を払い続けるの?」
と思ってしまうところですが、

さすがにそれは難しいでしょう。

 

1人を休業させて1日1万円払うとして、
従業員が120人いるとしましょう。

そして、期間が1年6ヶ月となれば、

月に120万円、1年6ヶ月で2,160万円。


しかも、全く営業せずですから、収益は0円。

2,160万円が丸々出ていくことになります。


これは非現実的な対応です。

 

 

1年6ヶ月にも及ぶ長期の改装となれば、


他の店舗で勤務してもらう。

もしくは、

一旦、雇用契約を解除する。


対応はこの2通りになります。

 


複数のグループ店舗を持つ飲食店や小売店ならば、

他の店舗で人員を吸収し、

改装が終わった後に、元の店舗に戻ってもらう。

このような対応が可能です。


しかし、他の店舗といっても、
改装される店舗に勤める全ての人を吸収できるとは限らず、

中には他のお店で勤務できない人も出てきます。

 

そうなると、店舗改装が終了するまで、

一旦、雇用契約を解除し、

改装が終わった段階で、再度、雇用契約を締結するという流れになります。

 


1年6ヶ月も休業手当を払い続けるのは難しいですし、
契約を締結したままだと労働者を長い間、拘束することになります。

 

そのため、一度、雇用契約を解除し、
新しい店舗ができたら、改めて雇用契約を締結するのです。

 

 

 

 

解雇するつもりはないけれども、解雇と同じ扱いに。

とはいえ、「改装するから、契約は一旦終了するよ」と
伝えるだけでは、フォロー不足な感じがあります。

 

他の店舗で勤務できる人がいる一方で、
契約を解除される人がいるわけですから、

雇用契約を終了する方には、解雇予告手当に相当するものを支給し、
他の人とのバランスを取るのが賢明です。


改装のために、やむなく契約を解除するため、

一般的な意味での

解雇

ではないのですが、


使用者側の都合で契約を解除するわけですから、

「1ヶ月分の給与(解雇予告手当に相当するもの)」

を最後に支給するのが良いのではないでしょうか。


ここでは「解雇予告手当」という名称でなくても構いません。

一般的な意味での解雇ではないならば、

「準備金」
「支度金」
「支援金」

などの名称で支払っても問題ありません。


会社としては解雇したいわけではなく、
改装のために止む無く雇用契約を解除しているので、
解雇予告手当」という名称は馴染まない場合もあるでしょう。

 


お店を取り壊して改装すれば、

改装が終わるまでは営業出来ませんし、

その間、他の店舗で働けるように会社が便宜を図り、

それでも職場を提供できないとなれば、

雇用契約を解除するにあたって合理的な理由があると言えます。


さらに、解雇予告手当に相当するものも支払えば、
契約解除を否定する理由はほぼ無くなります。


その上、新しいお店が完成したら、

「旧店舗の従業員を優先的に雇用する」

という約束もしておけば、もう言うことは無いです。

 

雇用契約を解除するというと、何だか冷たい感じがしますけれども、

改装が終わるまでずっと休業手当を支払い続けるのは難しいとなれば、

このような現実的な対処法を探るのが妥当でしょう。

 

 

 

 

■短期間の改装ならば振り替えで。長期間に及ぶならば契約解除に。

数日で終わる改装ならば、

出勤日と休みの日を振り替える。

もしくは、

早い時期から勤務シフトを調整し、
改装日は休みになるようにする。

これで対応できます。

 


一方、

 

改装が長期間に渡る場合は、

他の店舗で就業できないかどうか。

できない場合は、1ヶ月分の給与を支払い、雇用契約を解除。

新しい店舗が完成したら、優先して入れるようにする。


これが店舗改装時の人事労務上の対応となります。

 


┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛





■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


メールマガジン【本では読めない労務管理の"ミソ"】のご紹介


内容の一例・・・
『定額残業代残業代は減らせるのか』
『15分未満の勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=法定休日と思い込んではいけない』
半日有給休暇半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』

など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。

本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。



【本では読めない労務管理の"ミソ"】
▽    ▽   <登録はこちら>    ▽    ▽
http://www.growthwk.com/entry/2008/05/26/125405?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180628_1




■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

合格率0.07%を通り抜けた大学生。


今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。

子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。

「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。

私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。

実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。


どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。

そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。


http://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180628_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡




■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180628_3





■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。


一例として、

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休振替休日はいつまでに取ればいいの?


このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

▽    ▽   『仕事のハテナ 17のギモン』    ▽    ▽
http://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_clockperiod_common_20180628_4



■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□






┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃Copyright(c) 社会保険労務士 山口正博事務所 All rights reserved

┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


┃山口社会保険労務士事務所 
http://www.growthwk.com?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180628_5


┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




絞り込み検索!

現在22,382コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP