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複数の会社で働いている人の雇用保険はどうなるの?







2018年7月3日号 (no. 1110)
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http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【複数の会社で働いている人の雇用保険はどうなるの?】
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週20時間以上で働いている人は、
雇用保険に加入しているかと思います。

 

1つの会社で働いているだけならば、
その会社を経由して雇用保険に入りますから、
それ以外に考えることはありません。

 


しかし、2つ以上の会社で同時に勤務している人の場合、

 

どの会社で雇用保険に入るのか。
どこの会社でも雇用保険には入らないのか。
二重に雇用保険に入る(保険料も2件分?)のか。
 

このように、いくつか疑問が出てきます。

 


例えば、


とある所に、浜田さんという人(架空の人物です)がいたとして、


この人は、

会社Aで、週17時間働いている。

さらに、

会社Bでも、週19時間働いている。

 


1週間の労働時間は合計で36時間ですが、


この浜田さんは雇用保険に加入しているのでしょうか。

 

それとも、

加入していないのでしょうか。

 

 


■他の会社での労働時間は合算されない。

会社ごとの労働時間というのは、
会社ごとに区分されています。

 

そのため、

会社Aでは、週17時間働いている人と扱われます。

週20時間以上ではないため、
浜田さんは会社Aで雇用保険に入りません。


また、

会社Bでは、週19時間働いている人と扱われます。

ここでも、週20時間以上に達していないため、
浜田さんは会社Bでも雇用保険に入りません。

 


浜田さん本人は週36時間働いていますけれども、

 

職場が分散しているため、
雇用保険に入る条件を満たさないのですね。

 

 

 

■マルチジョブホルダーも雇用保険に。

2つ以上の職場で働く人を、

「マルチジョブホルダー」

と言います。


世間的には「掛け持ち」と言われることもありますね。


フルタイムの仕事を2つ以上掛け持ちするのは難しいですが、

パートタイムの仕事ならば、2つ、3つと組み合わせることも可能です。


ただ、

職場が分散すると、

先ほどのように、雇用保険に入る条件を満たせなくなることもあります。


そのため、こういう働き方をする人も雇用保険に入れるようにできないか。

政府内でもその点を検討している状況です。

 

 


■個人別ではなく、事業所別に公的保険に加入している。

雇用保険だけでなく、労災保険社会保険も、

個人では加入しておらず、

事業所なり会社を経由して加入しています。


そのため、加入条件を判断する際も、

会社単位で加入するかどうかを判定されるため、


複数の職場での労働時間を合算すると週36時間になったとしても、

雇用保険に加入しない人が出てくるわけです。

 

雇用保険料は安いですから、

先ほどの例だと、

会社A、もしくは会社B、いずれかで雇用保険に入るというのもアリです。


会社Aでの勤務時間を、週17時間から仮に週22時間まで延ばせば、
会社Aを経由して雇用保険に入れます。

 

もちろん、会社Bの方で勤務時間を延ばして、雇用保険に入ることも可能です。

 

 

 


失業手当が少なくなる?

もし、会社Aで週22時間勤務に変えて、雇用保険に入ったとして、

その後、失業したとすると、失業手当の金額はどうなるか。


雇用保険に入っているのは、会社Aを経由してですから、
失業手当の額は会社Aでの収入が基準になります。


仮に、失業手当の額が、在職時の収入の7割だとすれば、

会社Aでの月収が15万円だとすると、

失業手当は約10万円です。

※実際はもう少し細かい計算があり、支給額にも上限がありますが、内容を簡単にするため、今回は考慮しないものとします。

 

 

ですが、

 

浜田さんは会社Bでも働いており、

こちらは週19時間で、月収13万円だとすれば、

本来は、その7割、約9万円も失業手当として支給されるべきです。

 

つまり、合計で約19万円ほどが失業手当となるのが妥当なところ。

 


しかし、雇用保険に加入しているのは会社Aの方ですから、

失業手当の額を決めるときに、会社Bでの収入は考慮されないのです。


在職中は合計で月収28万円(15 + 13 = 28万円)。

失業すると、失業手当は約10万円。


在職時に比べて、収入が7割ほど減ります。


二重に雇用保険に入ることはできないものですから、
会社Aと会社Bの収入は合算されず、

会社Aの収入だけで失業手当の額が決まります。


これもマルチジョブホルダーが直面する問題の1つです。

 

 

 


労災保険社会保険でも同じような問題点がある。

2つ以上の会社で働いている人は、
労災保険に関しては、
どちらの会社でも加入していると扱われます。

 

雇用保険ではいずれか1つの会社でないと
入れませんが、


労災保険は違います。

 


なぜならば、

労災保険は会社が加入するもので、

従業員保険料を払う必要は無く、

自動的に全員が加入している状態になっています。

 

フルタイム社員、パートタイム社員、学生
などの区分に関わらず、全員が半ば自動的に
労災保険に入っています。

 


ですから、

2つの会社で、どちら側でも労災保険に入ることが可能なんですね。


労災に加入するところは良いのですが、

労災事故(もしくは通勤災害)が起こった時が問題です。

 

 

先ほどの例のように、

浜田さんに登場してもらい、

 

会社Aでは週22時間勤務(月収15万円)、
会社Bでは週19時間勤務(月収13万円)、

 

になっているとしましょう。

 


この前提条件の下、
会社Aで仕事中に怪我をして労災保険を使うことになったとします。

 

その場合、

労災の給付内容は、

会社Aでの収入が基準になります。


そこで、怪我で会社を休むことになり、
労災保険休業補償給付を受け取るようになったとしましょう。

休業補償給付は、労災が原因となった怪我や病気で休んだ時に、
収入の6割を給付する制度です。


浜田さんの収入は、合計で月収28万円です。

となると、この6割、約17万円ほどが
休業補償給付として支給されるべきところです。

 

しかし、労災事故が起こったのは会社Aです。

そのため、休業補償給付は、
会社Aでの収入が基準になり、

月収15万円の6割、9万円が給付されることになるのです。


このように、
雇用保険失業手当と同じことが労災保険でも起こります。

 

労災事故が起こった会社側の収入が基準になってしまうため、
本来支給されるべき水準よりも低い給付になってしまうんですね。


これもマルチジョブホルダーの問題点です。

 

 

 


■「1人の人間に職場は1つ」という前提。
 


雇用保険労災保険

 

さらに社会保険でも、

職場を分散すると、

 

週36時間勤務であっても、
会社経由で社会保険に入らない人が出てきます。

 


公的な制度は、

「1人の人間は1つの仕事だけやっていて、
職場も1つしか無い」

という前提で設計されています。


そのため、

複数の職場で働く人に制度が対応できず、

不具合が発生するのです。

 

パートタイムでの仕事を2つ以上掛け持ちしている人には、
今回の問題点を是非知っておいて頂きたいですね。

 



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合格率0.07%を通り抜けた大学生。


今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。

子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。

「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。

私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。

実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。


どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。

そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。


http://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180704_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡




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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
http://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_common_20180704_3





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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。


一例として、

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休振替休日はいつまでに取ればいいの?


このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

▽    ▽   『仕事のハテナ 17のギモン』    ▽    ▽
http://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_source=soumu&utm_medium=cm&utm_campaign=soumu_cm_clockperiod_common_20180704_4



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