こんにちは、
産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
産業医として化学工場、営業事務所、IT企業、電力会社、小売企業等で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。
さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を
資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった
産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
http://hatarakikatakaikaku.com/
今回は、「休業を伴うメンタル疾患への対応⑤(
復職準備編)」として、コラムを再アップさせていただきます。
労働衛生の取組を行うことで、
従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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休業を伴うメンタル疾患への対応⑤(
復職準備編)
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従業員の精神的なケアは、慎重に取り扱う必要がありますが、企業は病院ではありませんので、精神的なケアだけを行っていれば良いというわけでもありません。
今回は、メンタルの訴えで休業した場合の対応について、
復職準備中における対応について要点を示します。
なお、「企業は医師等といった医療の専門家では無い。」「主治医が主体的に企業の現状を知る術は無い。」「企業側の意思決定者は
事業者である。」という構造になっている前提で説明させていただきます。
産業医には、
労働安全衛生規則第15条の2第2項に該当する医師のうち
産業医と同様の業務を行える医師を含みます。
○
復職準備中の
従業員への対応について
復職準備は、事前に定めた様式と定量的な要件に対して、
従業員が努力して判断根拠を作成していくことになります。企業としては、
従業員と担当者間で定期的に以下の点について情報共有を行い、必要に応じて支援を行うと良いでしょう。
⦁ 主治医のもと治療に専念し、必要に応じて
復職準備の内容を主治医と共有し適切な指示を受けているかについて
⦁ 現時点の気分・睡眠・食欲等の状態と、前回の情報共有時の状態と比べた変化について
⦁
復職準備の進捗と、前回の情報共有時の達成水準と比べた変化について
⦁ その他、企業側に求めること等はあるかについて
また、経過観察の結果、
復職準備開始時点より客観的に状態が悪化している場合(食事の量が減る。睡眠時間が短くなる等)は、担当者は速やかに
従業員と
産業医等の面談を調整することが必要です。
○目標の水準が達成できない場合
復職準備は休業中に行うため、目標の水準を達成できなくても、励まし(※)に留め、強い指導等は行わないように注意しましょう。
また、長期にわたり、目標の水準が達成できない場合は、症状が悪化しているおそれがあります。その場合、担当者は
従業員と
産業医等の面談を調整することが必要です。
従業員の状態によっては、
産業医等の判断により、
復職準備を中止し再度治療に専念させることもあります。
※ うつ病の患者に対しては、「頑張れ」等のプレッシャーを与えるおそれがある励ましを行ってはいけません。しかし、
復職開始時点では、「休業を伴うメンタル疾患への対応④」の「○
復職準備を開始する前の確認事項について」において、「自傷他害の恐れがないこと(必要に応じて主治医に確認すること)」を確認していることから、うつ病を煩っていた患者であったとしても「自傷」のおそれがない段階まで回復していることを前提としています。強いプレッシャーを与えない「
復職準備で達成している項目に対しての前向きな共感」や「未達成な項目があることに対しての受容」等の励ましは良い結果につながります。
○
復職準備中の
復職する職場の対応について
企業側は、
従業員が
復職準備中に、職場の受け入れ体制を整える必要があります。以下の点に配慮して体制を組むと良いです。
なお、
復職する職場は、
従業員の
復職に係る負担を最小限とするために、休業前の職場に戻るのが原則です。
⦁
復職に関して、管理職や同僚の理解を得ること
⦁ 管理職が、
復職後の
従業員を経過観察する基準(記録表等)を準備すること
⦁
復職後に
従業員の状態が悪化した場合の対応を、想定し準備しておくこと
⦁ 健康情報の取扱について、整理しておくこと
○
復職準備中の企業側の原則対応
復職準備中は、
復職準備開始時点の
従業員の状態を基準として、
従業員の状態を判断する資料を作成し、状態を見守り必要に応じて支援することが原則となります。
その中で、
復職準備開始時点よりも睡眠状態や不安感の訴えが増える等、客観的に状態が悪化している場合、速やかに
産業医との面談を設定し、その意見を聴取する必要があります。
この段階の期間は私の経験上、概ね3ヶ月から6ヶ月を要します。また、本人の努力の程度でもその期間は大きく左右されます。企業としては、本人が
復職準備に専念できるように支援を行い、可能な限り
復職に関する外部機関の利用を促すことが良いでしょう。
実効性を上げるために、上司、
人事担当、労働衛生担当等の中で、誰が本人、
産業医、
復職に関する外部機関等と連絡をとり、記録を残すかについては事前に定めておく必要があります。
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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を
資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/
こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
産業医として化学工場、営業事務所、IT企業、電力会社、小売企業等で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。
さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
http://hatarakikatakaikaku.com/
今回は、「休業を伴うメンタル疾患への対応⑤(復職準備編)」として、コラムを再アップさせていただきます。
労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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休業を伴うメンタル疾患への対応⑤(復職準備編)
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従業員の精神的なケアは、慎重に取り扱う必要がありますが、企業は病院ではありませんので、精神的なケアだけを行っていれば良いというわけでもありません。
今回は、メンタルの訴えで休業した場合の対応について、復職準備中における対応について要点を示します。
なお、「企業は医師等といった医療の専門家では無い。」「主治医が主体的に企業の現状を知る術は無い。」「企業側の意思決定者は事業者である。」という構造になっている前提で説明させていただきます。
産業医には、労働安全衛生規則第15条の2第2項に該当する医師のうち産業医と同様の業務を行える医師を含みます。
○復職準備中の従業員への対応について
復職準備は、事前に定めた様式と定量的な要件に対して、従業員が努力して判断根拠を作成していくことになります。企業としては、従業員と担当者間で定期的に以下の点について情報共有を行い、必要に応じて支援を行うと良いでしょう。
⦁ 主治医のもと治療に専念し、必要に応じて復職準備の内容を主治医と共有し適切な指示を受けているかについて
⦁ 現時点の気分・睡眠・食欲等の状態と、前回の情報共有時の状態と比べた変化について
⦁ 復職準備の進捗と、前回の情報共有時の達成水準と比べた変化について
⦁ その他、企業側に求めること等はあるかについて
また、経過観察の結果、復職準備開始時点より客観的に状態が悪化している場合(食事の量が減る。睡眠時間が短くなる等)は、担当者は速やかに従業員と産業医等の面談を調整することが必要です。
○目標の水準が達成できない場合
復職準備は休業中に行うため、目標の水準を達成できなくても、励まし(※)に留め、強い指導等は行わないように注意しましょう。
また、長期にわたり、目標の水準が達成できない場合は、症状が悪化しているおそれがあります。その場合、担当者は従業員と産業医等の面談を調整することが必要です。従業員の状態によっては、産業医等の判断により、復職準備を中止し再度治療に専念させることもあります。
※ うつ病の患者に対しては、「頑張れ」等のプレッシャーを与えるおそれがある励ましを行ってはいけません。しかし、復職開始時点では、「休業を伴うメンタル疾患への対応④」の「○復職準備を開始する前の確認事項について」において、「自傷他害の恐れがないこと(必要に応じて主治医に確認すること)」を確認していることから、うつ病を煩っていた患者であったとしても「自傷」のおそれがない段階まで回復していることを前提としています。強いプレッシャーを与えない「復職準備で達成している項目に対しての前向きな共感」や「未達成な項目があることに対しての受容」等の励ましは良い結果につながります。
○復職準備中の復職する職場の対応について
企業側は、従業員が復職準備中に、職場の受け入れ体制を整える必要があります。以下の点に配慮して体制を組むと良いです。
なお、復職する職場は、従業員の復職に係る負担を最小限とするために、休業前の職場に戻るのが原則です。
⦁ 復職に関して、管理職や同僚の理解を得ること
⦁ 管理職が、復職後の従業員を経過観察する基準(記録表等)を準備すること
⦁ 復職後に従業員の状態が悪化した場合の対応を、想定し準備しておくこと
⦁ 健康情報の取扱について、整理しておくこと
○復職準備中の企業側の原則対応
復職準備中は、復職準備開始時点の従業員の状態を基準として、従業員の状態を判断する資料を作成し、状態を見守り必要に応じて支援することが原則となります。
その中で、復職準備開始時点よりも睡眠状態や不安感の訴えが増える等、客観的に状態が悪化している場合、速やかに産業医との面談を設定し、その意見を聴取する必要があります。
この段階の期間は私の経験上、概ね3ヶ月から6ヶ月を要します。また、本人の努力の程度でもその期間は大きく左右されます。企業としては、本人が復職準備に専念できるように支援を行い、可能な限り復職に関する外部機関の利用を促すことが良いでしょう。
実効性を上げるために、上司、人事担当、労働衛生担当等の中で、誰が本人、産業医、復職に関する外部機関等と連絡をとり、記録を残すかについては事前に定めておく必要があります。
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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/