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働き方改革関連法案通過による「名ばかり産業医」のリスク

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。
http://hatarakikatakaikaku.com/
 今回は、働き方改革関連法案が無事に成立したことから、「働き方改革関連法案通過による「名ばかり産業医」のリスク」についてコラムを作成しました。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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働き方改革関連法案通過による「名ばかり産業医」のリスク
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 第196回国会で、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案」が可決しました。
 その中の目玉法案として、産業医制度の改正等が労働安全衛生法第13条に盛り込まれましたが、大幅な改正がありましたのでコラムにしたいと思います。
 自社では産業医を適切に採用しているが、他社によっては名ばかり産業医を雇っていると聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、今回の法令改正で、名ばかり産業医のリスクは大幅に向上することになりました。この先も引き続き、適切な産業医の確保と安全衛生体制の構築に努めて下さい。

○誠実義務の明文化
 労働安全衛生法第13条第3項に「産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない。」と、明文化されました。
 逆に言えば、今まで誠実義務が産業医に課されていなかったことになります。従って、契約している産業医が誠実に対応していなくても、法令に違反していなければ、問題とすることが難しく、事業者にとっては労働衛生体制の構築が困難であった理由の1つとなっていました。
 そもそも、事業者のほとんどは医療の専門家ではないため、企業内で唯一医業が行える産業医が不誠実な時点で、事業者が適切な健康管理等を行うのは不可能と言えます。
 私は、過去に、事業者から産業医が法令に基づいた対応をとってくれないと、「名ばかり産業医」について何度も苦情を聴いたことがあります(※)。
 今回の法令改正により、事業者労働者の健康管理について産業医に助言や勧告等を求めたにも係わらず、産業医が「できない。」や「解らない。」等と産業医の業務を拒否する訴えをした場合、その産業医は、「医学に関する知識が乏しい者」か「不誠実な者」等と法令上整理されることになるといえます。
※ 当時は、企業や行政に職務があり、行政では国家公務員法により業務専念義務も課されていたため、傾聴と情報提供等しかできませんでしたが、現在、同様の事案があった場合は、労働衛生コンサルタントとして業務をお受けすることができますので、ご相談ください。体制を整えて支援させていただきます。

安全配慮義務上のリスク
 事業者には安全配慮義務が課せられているところですが、安全配慮義務は「危険予知義務」と「危険回避義務」に分けられます。
 従って、「名ばかり産業医」、「医学に関する知識が乏しい者」や「不誠実な者」等を産業医という役職に付けておくことは、事業者が適切な「危険回避義務」を行っていなかったことを問われるリスクがあります。 

事業者の働き方改革
 今回の法令改正前までは、産業医労働安全衛生法上、不誠実な対応をとっていた場合に、事業者労働安全衛生法令に基づく対応を行うことが困難という事例がありました。
 今回の法令改正により、事業者は労働衛生に関して、産業医に対し今まで以上に厳格な業務命令を行うことができ、事業者の負担を産業医に分担させやすくなったと言えます。つまり、事業者の働き方改革が行われたと言えるでしょう。

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