• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

武士は食わねど高楊枝(補給線の質向上の重要性)

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。
http://hatarakikatakaikaku.com/
 今回は、「武士は食わねど高楊枝(補給線の質向上の重要性)」についてコラムを作成しました。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
========================
武士は食わねど高楊枝(補給線の質向上の重要性)
========================
○武士は食わねど高楊枝
 「武士は食わねど高楊枝」は、武士はたとえ貧しくとも清貧に安んじ、気位が高いことを言い、広く使われている慣用句です。しかし、労働衛生上、食は最も重要であり、食べれないということは、健康管理上リスクが大変高く、疲労感が継続する等、生産性も大幅に低下するため、早急に改善する必要があります。
 日本産業衛生学会の前身である日本産業衛生協議会の初代理事長である暉峻義等先生も、当時の女性労働者の厳しい労働環境を配慮し、手を汚さず、素早くエネルギーを補給できる食品の開発に携われています(※)。
 この慣用句において重要なことは、「官人として武に携わることを本分とした武装集団」である武士だから食わなくても良いのであり、領民や農工商から食料等の富を受け取ることができる官人(マネージメント側)であるから可能であるという視点です。
 さらに、武装集団は適切に飢えている方が、勝利に対する渇望が強くなることから、士気が高くなるという効果もあります。
 「武士は食わねど高楊枝」が適応できる者は、限定されていると言えます。
※ 労研饅頭
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%B4%E7%A0%94%E9%A5%85%E9%A0%AD

○軍装備を揃え糧食を与え続けられる能力
 古代ギリシャの哲学者ソクラテスは、自らの戦争経験に基づき、「戦いにおける指揮官の能力を示すものとして、戦術が占める割合は僅かである。第一にして最も重要な能力は部下の兵士たちに軍装備を揃え、糧食を与え続けられる点にある。」と語っています。
 日本が対外戦で敗北したのは、文禄・慶長の役と第二次世界大戦を代表的なものとしてあげることができますが、様々な理由の中の1つとして、補給線を絶たれたことも含まれています。
 豊臣秀吉公が朝鮮在番の諸将に、「兵糧を日本の都へ届けるよりも、その方(朝鮮)に届けるほうが容易である。」と書状を発したように、温暖で水資源に恵まれている日本で育った将官は、自らが持つ補給線を過大評価(※)することがあるようです。
※ 補給線が十分で、現場が補給を求めていないのであれば、そもそも書状を書くような事態になっていないと考えられます。

○労働衛生管理をしない会社は、補給線の質を低くし、経営のハードルを上げている
 幹部は頭が廻れば仕事ができますが、現場に対しては、補給を十分にする必要があります。しかし、現在の市場経済において、考えなしに昇給等の賃金を与えても、収益性が低下し企業は潰れてしまいます。
 そこで、補給の「質」を向上させるために労働衛生の必要性が出てきます。具体的には、日本ビタミンの父と呼ばれた高木兼寛海軍軍医総監(※)が、食事の「量」ではなく「質」を変えたことで海軍の脚気を撲滅し、海軍の増強(企業で言えば生産性の向上)を行うことができました。要するに、給与や福利厚生費等といった「量」の改善のみならず、衛生的で快適な職場を形成するという「質」の改善に努める必要があると言えます。
 適切な労働衛生の取組をしない企業は、自ら補給線の質を低くしていると言え、課題を増やした高いハードルの中で、辛い経営をしているおそれがあります。
 個人も組織も「心・技・体」は重要です。精神論や資本力に加えて、「技」である科学の知識を取り入れ、バランスの良い経営をお勧めします。
※高木兼寛
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%9C%A8%E5%85%BC%E5%AF%9B

絞り込み検索!

現在22,361コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP