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コンプライアンス研修:不正のトライアングル

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第95号 ━ 2018.9.6━

コンプライアンス専門メルマガ     -中川総合法務オフィス 発行-

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┃目次|1.今日この頃思う事|9/6未明の北海道南部千歳等での地震発生
 2.本日のテーマ  |コンプライアンス研修:不正のトライアングル

1.本日H30/9/6未明の北海道南部千歳等での震度6強の地震が広範囲に発生

 日本列島は、災害列島であろう。

 災害は忘れたころにやってくるが、この頃は頻繁である。

 東日本大震災(2011/3/11)や熊本地震(2016年)が大きな被害をもたらしたが、
この原稿を書いている本日の朝3時頃にも北海道の千歳等の南部地方で広範囲に地
震が発生した。

 安平町で震度6強を観測したが、厚真町も震度6強だったとみられる。

 地域の人の生活を守るのは、この国では憲法の第8章や地方自治法1条の2にある
ように、市町村である。

 戦後改革の中で、警察は都道府県単位にしたが、消防は市町村に残したのは地
域の日常的な安寧は、最小行政単位の市町村がふさわしいからである。

 しかし、もう600回以上も地方公共団体でコンプライアンス・危機管理(リスク
マネジメント)などの講師を務めて災害危機管理のはなしをしているが、未だに
市町村振興協会などでは危機管理研修を市町村担当者に対して実施しても、多く
の参加者は消防の方ばかりで、リスク管理を地方公共団体挙げてやる体制になっ
ていないのでないか。

 また、講師の選定にも重大な疑問を感じる。大手の研修会社に丸投げしていた
り、いわゆる「人気講師」を読んで、リスク管理に強い「専門講師」を呼ばない。
その専門講師も某氏のようにマスコミ広報を危機管理の中心をする講師を呼んで
統合的リスクマネジメント態勢を地方公共団体で構築するのに何か意味があるの
か。自治体リスクアセスメントの詳細な分析ができているのか。

 これでは、貴重な税金や時間、人手を浪費しているに過ぎない。

 ISO31000等を基本から話して、民間のERM2017にも触れて、なおかつ地方公共団
体の運営実務にも詳しく、地方自治法や地方公務員法ばかりでなく、災害対策基
本法、災害救助法等に詳しい当職のような専門家を呼んで研修したらどうか。
 また、危機管理態勢の構築を当職のような地方公共団体実務に詳しいものでな
くて、大手の保険関係のリスクマネジメント会社に丸投げして数百万円を使うの
は如何なものか。

……………………………………………………………………………………
2 本日のテーマ:コンプライアンス研修で必ず触れるべき不正のトライアングル

 不正行為が起きる仕組みを説明する理論として、ドナルド・クレッシーの「不
正のトライアングル」がよく知られている。

 この理論では、不正行為は(1)不正行為が起き得る「機会」を認識し、(2)不正
行為に及ぶ「動機」を持つ者が、(3)自分は不正を犯しても許されるはずであると
いう「正当化」理由があると感じたときにはじめて起きると考えられている。

 コンプライアンス違反行為があるときには、特に横領行為などの領得行為が起
こるときには、この理論がよくあてはまるであろう。詳しく述べると、

(1)機会
 
 何といっても、自分一人で全部仕事が予算も含めて完結するときにはこの機会
が最も強くなろう。
 例えば、単独で業務を行う物理的な環境にあるとき、技術的・専門的に高度な
業務で管理職や他のものによる業務内容の管理が困難な場合、未熟なコンプライ
アンス態勢でチェック機能などの組織ルールが確立されていない場合や、形だけ
コンプライアンスで規則が機能していない場合等である。

(2)動機

 例えば、仕事のプレッシャーとしてのノルマや所与の業務量ばかりでなく処遇
への不満なども不正の動機が強くなる。
 また、ギャンブルやトラブルなどで個人的或いは家庭内の問題を抱えていて金
銭が何としても必要になっているときも強い動機が働こう。

(3)正当化

 法律や道徳・倫理の社会規範に反する人格態度を招いてしまうのは、悪い行為
を正当化する自己中心的な都合の良い解釈や他人への責任転嫁など、不正行為を
自ら納得させる事があるのが通常で、いわば自分勝手な悪事の言い訳であり理由
付けである。ただし、規範意識が鈍磨した常習犯のようなものは良心が極めて薄
くなっているために、強い正当化を要しない。

 以上のような不正のトライアングルが一定の検証の下で提唱されており、コン
プライアンス態勢の関連で、特に内部統制リスクマネジメント内部監査の文
脈でいわれることが多い。

 そこで、内部不正防止の為に、これら三つの発生要因を低減させる仕組み作り
が有益であろう。

 (1)機会は、私の講演では、リスクマネジメントとしてとりあげ、(2)動機は最
新リーダーシップ論で取り上げ、(3)正当化は職業倫理との関連で取り上げている。

 COSOの目的にコンプライアンスがあり、その構成要素として、リスクマネジメ
ント、統制環境があるので私のコンプライアンス体系では、公務員の教科書「道
徳編」で書いたように、論理的な整合性がある。


 以上のことをコンプライアンス研修では、必ず触れて欲しいものである。


※なお、冒頭で申し上げたように、コンプライアンスとともに、意欲をもって積
極的に全国の地方公共団体等で危機管理(災害リスクマネジメント)態勢構築の
普及のための講演や研修講師活動も続けていくので、私の講演の主要項目17原則
下記に挙げておく。
 このような網羅的で統合的リスクマネジメントが地方公共団体に必要になって
いる時代なのである。

1.災害対策本部の組織・運営

2.通信の確保

3.被害情報の収集

4.災害情報の伝達

5.応援の受入れ

6.広報活動

7.救助・救急活動

8.避難所等、被災者の生活対策

9.特別な配慮が必要な人への対策

10.物資等の輸送、供給対策

11.ボランティアとの協働活動

12.公共インフラ被害の応急処置等

13.建物、宅地等の応急危険度判定

14.被害認定調査、罹災証明の発行

15.仮設住宅

16.生活再建支援

17.廃棄物処理 


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