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スタートアップの人事・労務 2 雇用保険はどのように役立つか

こんにちは。社会保険労務士の田中です。
渋谷・新宿を中心にスタートアップ企業の支援などを行っています。


☆☆ スタートアップのための人事労務 ☆☆

このコラムは、成長ステージにあるスタートアップ企業に
人事労務面のアドバイスをご提供しています。

また、スタートアップ企業を対象とした無料相談も実施しています。

スタートアップ企業の支援プログラムはこちら↓
http://www.tanakajimusho.biz/startup


☆☆ 雇用保険は会社として入る義務がある ☆☆

前回の労災保険に引き続き、今回は雇用保険です。
会社(法人)を設立して従業員を雇うと、雇用保険に入る必要があります。

まず、会社として雇用保険の「適用事業所」の手続きをします。
つまり、会社そのものが雇用保険に入る、ということです。

次に週20時間以上かつ31日以上働く従業員1人1人について、
雇用保険被保険者資格取得届」の手続きをします。
こちらは、従業員雇用保険に入る、ということです。
アルバイトでもこの条件であれば、取得手続きが必要です。

前回に説明した労災保険は、いわば会社が丸ごと入るので
従業員ごとの個人名を出しての加入手続きはいりません。
会社として労災保険に入っていれば、そこに勤める従業員は、
自動的に労災保険が適用されます。

一方、雇用保険は、従業員の氏名、生年月日等を届け出ます。
届け出先はハローワークです。

なお、雇用保険は、会社と雇用関係にある人が対象となります。

仕事の一部を委託したフリーランサー・クラウドワーカーや、
提携するビジネスパートナーなどは、雇用保険の対象になりません。

一方、ICTツールを使い、サテライトオフィス・コワーキングスペースや
自宅でテレワークをしている場合でも、会社の指示で仕事をしているなど、
雇用関係にある場合は、雇用保険の対象となります。


☆☆ 雇用保険離職者失業給付がもらえる ☆☆

雇用保険に1年以上入っていた従業員が会社を退職すると、
失業給付(正確には基本手当)がもらえます。

会社を辞めて次の職を安心して探せるように、今までもらっていた
給料の概ね50~80%が、自己都合退職の場合で90日支給されます。


☆☆ 育児休業中には育児休業給付がもらえる ☆☆

離職者だけではなく、従業員育児休業に入った場合、
給料の50%を子供が2歳になるまでもらえます。
さらに最初の6ヶ月間は67%がもらえます。

なお、育児休業給付からは所得税が引かれませんので、
同じ金額で比較すると、給料よりも手取り額は多くなり、
育児休業中の従業員にとっては、大きな所得補償となります。

また、育児休業給付は女性だけではなく、男性ももらえます。
(男性が育児休業を取得する場合、助成金の対象にもなります。)

スタートアップの場合、従業員の平均年齢が若いことが多く、
従業員出産・育児・育児休業復職後の勤務」
に対応すべきケースも多いと思います。

従業員の「出産・育児」に対する社会保険の給付は手厚く、
雇用保険以外でも、健康保険厚生年金からの
出産手当金出産育児一時金社会保険料の免除 等々があるので、
これらは確実に把握しておく必要があります。


☆☆ 60歳以上の従業員雇用継続給付がもらえる ☆☆

また、60歳から65歳の従業員の給料が、60歳時点の給料に比べて、
75%未満となった場合にもらえるのが「高年齢雇用継続給付」です。
最大でその月の給料の15%の給付がもらえます。


☆☆ 雇用保険は人を募集する際には必須 ☆☆

雇用保険の加入は法的義務であることはもちろん、
従業員にとっては、収入が無くなった時のセーフティネットです。

インターネットやSNSで、さかんに情報がやり取りされる昨今では、
従業員や求職者は、多くの知識や知見を得ることができます。
雇用保険に入っていないと、「ブラック企業」として見られかねません。


☆☆ 雇用保険についての基本的な注意 ☆☆

ごくごく基本的な雇用保険についての注意です。

まず、失業給付をもらう条件はあくまでも離職者が、
「転職するために仕事を探している」ことです。
失業給付は退職すると自動的にもらえるものではありません。

そして、自己都合退職の場合、給付制限期間といって、
3ヶ月間は失業給付をもらえません。 
(これを待期と混同することがありますが、待期は7日です。)

一方、会社都合や退職勧奨で離職した場合は、
給付制限がなく、待期7日が終わればすぐに失業給付をもらえます。
さらに自己都合の時の90日分よりも長い期間(最大330日)もらえます。

そのため、離職理由を「自己都合」なのに、「会社都合」「解雇」などに
変更して離職者の利益になるよう取り計らう事が稀にあります。
しかし、これは不正受給であり発覚した場合は失業給付の返還を求められ、
会社もペナルティの対象となります。

また、育児休業給付は、あくまでも「職場復帰する」ことが前提です。
育児休業をしたから」もらえるのではなく、
育児休業を終えたら復職する予定だから」もらえるものです。


☆☆ 雇用保険保険料はどれ位? ☆☆

従業員の給料に9/1000をかけた金額です。
内訳は、従業員が3/1000 会社が6/1000です。
会社の方が多く払うことになります。

たとえば、年収300万円の従業員がいる場合の保険料は、
従業員が年間9,000円、会社が18,000円です。
従業員雇用保険料は毎月の給与から控除します。
なお、会社が多く支払っていますが、これは助成金等の原資です。


☆☆ 会社は助成金をもらえる。 ☆☆

従業員だけではなく、会社も雇用保険からお金がもらえます。
前項の最後で触れた「助成金」です。
つまり、年収300万円の従業員1人について年間18,000円を
会社は雇用保険料として支払いますが、従業員の年収が増えたり、
人数が増え総人件費が大きくなれば、それだけ支払う保険料も多くなります。

そのため、もらえそうな助成金は申請して活用してください。
ただし、「助成金ありき」で助成金をもらうために、
無理に会社の仕組みや体裁を整えるのは本末転倒です。

あくまでも、日頃から行っている会社の取り組みが、結果として
助成金をもらえる条件に適っていた、というのが本来だと思います。

なお、スタートアップでは「時間外労働等改善助成金テレワークコース)」
という助成金をもらえる可能性が高いです。
テレワーク用のWeb会議用機器の購入や、クラウドサービスを導入すると、
その経費の一部として助成金がもらえます。

ただし、助成金申請には相応の時間が必要となりますので、
スタートアップの貴重な時期に、どこに時間を使うか、
という観点から考えるならば、あえて見送る、という選択もあり得ます。
(あるいは、社会保険労務士への委託という選択肢もある。)


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☆☆☆☆  スタートアップの人事労務 ☆☆☆☆ 
他にも、次のようなコラムがあります。よろしければ、お読みください。

1 スタートアップの人事労務 1 なぜ、労災保険は必要か?
  http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173536/

2 スタートアップの人事労務 2 雇用保険はどのように役立つか
  http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173554/

3 スタートアップの人事労務 3 人を採用する前後のアクション
  http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173565/

4 スタートアップの人事労務 4 法人社会保険の加入が法的に必須
  http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173577/

5 スタートアップの人事労務 5 就業規則を作った方が良い?
 http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173605/

6 スタートアップの人事労務 6 就業規則 作成時のポイント
 http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173676/

7 スタートアップの人事労務 7 フリーな勤務と裁量労働制
 http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173692/

8 スタートアップの人事労務 8 求人、採用時の注意点
  http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173711/

9 スタートアップの人事労務 9 黎明期の労務管理
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173723/

10 スタートアップの人事労務 10 助成金との適正な距離
  https://www.soumunomori.com/column/article/atc-173790/

11 スタートアップの人事労務 11 地味だけど大切な労使協定
  https://www.soumunomori.com/column/article/atc-173831/


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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田中事務所  特定社会保険労務士 田中理文
(立川・渋谷・新宿 で主に仕事をしています。)

未来を拓く次世代の経営者に、当所の経験とノウハウをお伝えします。
創業者が1人でスタートして、社会にインパクトを与える会社になるまで、
貴社に寄り添ってサポートします。

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