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自己都合退職トラブル

晩秋を迎える頃に、自宅から数駅離れた「光が丘公園」の銀杏並木は黄金色になります。
その街路には銀杏の木が100本以上は立っているでしょうか、ズラッと並んだその姿は壮観です。
且つては妻と歩いたその並木を、今は足を気遣い乍ら一人でゆっくりと歩きます。
見事に色づいた葉は、その美しさとともになぜか「はかなさ」も感じさせます。
枯れ果ててしまう寸前の黄ばんだ葉の美しさは、ろうそくが消える前に一瞬輝きを増すように、
死にゆくものの最後のきらめきを感じるからかもしれません。

 黄色い落ち葉は、はるか昔の小学生のとき、晩秋の校庭に落ちた銀杏の葉から、いい形のもの
を探し出し、押し花のように本の「しおり」にしていたことを思い出させます。
元気だった頃の妻と歩いていた時、こんな話をしたら“私もしたわよ”とポツリと言った妻の顔が、
古いセピア色の「しおり」の姿とともに私の頭の中によみがえります。

齢を取ってそろそろ人生の終末を意識するようになると終活とか遺産相続とか色んなことを
考えるようで、世の中にはそんな人を対象にしたビジネスも活況を呈しているそうです。
私は大そうな財産を残すわけでもないのでそんなことには興味がありませんが、人生の大半が
もう過ぎ去ってしまったと思うとき、今までの人生を振り返り、「楽しかったこと、辛かった
ことは何だっただろう」とときどき考えることがあります。
この間も一人で晩酌をしながら、“今までの人生で一番楽しかった時期はいつだったかなぁ?”
と思いを巡らせていると、「独身時代に親友と飲み歩いていたときの姿」がぼんやりと頭に
浮かびました。
私は、結婚するまで自宅に住んでいました。「学校を出て、就職をして親元に住む」:これは、
人から闘争心を無くす3大要素と言われています。何しろ、学校に行っているときは、食事も
住居費などもみんなタダで住んでいたのですから、その延長線上にある親元での独身生活が
苦しいわけがありません。
だから、このときは、貰った給料の大部分は友人との飲み代に消えていました。

当時私は、学校出立ての新入社員で、会社ではベテラン女性社員によくイジめられて
いました。昼間イジメられてショボンとしていても、夜、学生時代からの親友(上級職公務員
と飲むときは、そんなことはすっかり忘れてエリートサラリーマンを気取り大ボラを吹き
まくっていました。
未だお互いの将来が見渡せないのですから、“俺はいずれトップになる、少なくても役員だ”と
私がホラを吹くと、相手も負けじと“俺は局長が確実だ”とホラを吹いていました。
こうしてホラを吹き合っては飲み過ぎて、フラフラしながら家路についたものでした。
 そんな馬鹿をやっているときも、母親は“ちょっと飲み過ぎよ”と言いながらも
私の身体のことだけを心配してくれました。 その後の人生で、飲む機会は数知れず
ありましたが、あんな愉快な飲み会は、その後二度と訪れませんでした。
その友人とは今でも1年に2回ほどは会って飲みますが、もうお互いに社会人と
しての結果は出ていますからホラを吹くこともありません。淡々と世間話をしては、
楽しく飲んでいます。

 「結婚して家庭をつくり、子供が出来て家族をつくる」。それに連れてどんどん
責任が大きくなって肩ひじを張って生きてきたような感じがします。その後、子供たちが
独立していき、妻にも先立たれ、今また一人となりましたが、独身時代のようなあんな
愉快な飲み会にはもう巡り合えないだろうと思います。世の中を長く渡り過ぎ、「分別」
とかいうものが身についてしまったからです。
ときどき酒を飲んだ時、こんなことを思い出しては「あの頃は良かったなぁ!」と
一人懐かしんでいます…………。

前回の「厚生年金のパート適用」についての話は、如何でしたでしょうか。
今回は、「自己都合退職トラブル」についての話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「自己都合退職トラブル
───────────────────────────────
 退職の意思を会社に伝えようとする従業員に対し、会社が退職を認めないという
「自己都合退職トラブル」が増加しています。
「上司が面談に応じない」「退職届を受理しない」「離職票さえ渡さない」
有給休暇を取得させない」「辞めた場合は損害賠償請求すると脅迫する」などが
その代表例です。
昨年度、都道府県労働局及び労働基準監督署に寄せられた民事上の個別労働紛争
相談の内、「自己都合退職」は2番目に多い38,954件でした。この件数は
直近10年間で見ても増え続けており、平成27年度を境に「解雇」を上回っています
(厚生労働省「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」)。
かつての不況下においては解雇トラブルがよくみられましたが、人手不足の昨今は
自己都合退職トラブルが多くなり、この傾向はしばらく続くと思われています。
労働者は法律上、期間の定めのない雇用の場合、いつでも雇用の解約の申入れをする
ことができます。また、会社の承認がなくても、原則として解約の申入れの日から
2週間を経過したとき、雇用契約は終了します。
就業規則の「退職」の項目においては、業務の引継ぎ等の必要性から、「退職希望日の
少なくとも1カ月前に退職届を提出」等と規定することも多いですが、この規定のみを
理由に退職を認めないということはできません。
一度退職を決意しその意思を表明している従業員に対し、慰留・引留めを行っても
さほど効果は無いものですし、度を過ぎれば前述のような法的案件にもなりかねません。
従って、感情的な対応はせず、淡々と引継ぎや退職手続をさせた方が良いようです。
最近では民間企業(退職代行ビジネス)が本人に代わって退職手続を行うサービスを
利用して、会社との自己都合退職トラブルを防ごうとする退職者も増えています。
この場合は、本人と面と向かうことなく、会話もないまま退職が完了してしまいます。
従業員が自己都合退職に至る動機はさまざまですが、そもそも「辞めたい」と
思わせない会社づくりが基本であることはいうまでもありません。

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