齢を取ってそろそろ人生の終末を意識するようになると終活とか遺産
相続とか色んなことを
考えるようで、世の中にはそんな人を対象にしたビジネスも活況を呈しているそうです。
私は大そうな財産を残すわけでもないのでそんなことには興味がありませんが、人生の大半が
もう過ぎ去ってしまったと思うとき、今までの人生を振り返り、「楽しかったこと、辛かった
ことは何だっただろう」とときどき考えることがあります。
この間の夜も、一人で晩酌をしながら、“今までの人生で一番楽しかった時期はいつだったかなぁ?”
と思いを巡らせていると、「独身時代に親友と飲み歩いていたときの姿」がぼんやりと頭に浮かびました。
私は、結婚するまで自宅に住んでいました。「学校を出て、就職をして親元に住む」:これは、人から
闘争心を無くす3大要素と言われています。何しろ、学校に行っているときは、食事も住居費なども
みんなタダで住んでいたのですから、その延長線上にある親元での独身生活が苦しいわけがありません。
だから、このときは、貰った給料の大部分は友人との飲み代に消えていました。
当時私は、学校出立ての新入社員で、会社ではベテラン女性社員によくイジめられていました。
昼間イジメられてショボンとしていても、夜、学生時代からの親友(上級職
公務員)と飲むときは、
そんなことはすっかり忘れてエリートサラリーマンを気取り大ボラを吹きまくっていました。
未だお互いの将来が見渡せないのですから、“俺はいずれトップになる、少なくても
役員だ”と
私がホラを吹くと、相手も負けじと“俺は局長が確実だ”とホラを吹いていました。
こうしてホラを吹き合っては飲み過ぎて、フラフラしながら家路についたものでした。
そんな馬鹿をやっているときも、母親は“ちょっと飲み過ぎよ”と言いながらも
私の身体のことだけを心配してくれました。 その後の人生で、飲む機会は数知れず
ありましたが、あんな愉快な飲み会は、その後二度と訪れませんでした。
その友人とは今でも1年に2回ほどは会って飲みますが、もうお互いに社会人と
しての結果は出ていますからホラを吹くこともありません。淡々と世間話をしては、楽しく飲んでいます。
亡くなった妻にも「この話=人生で最も楽しかった時期」について話をしたことはありませんでした。
「独身の時が、一番楽しかった」と言うのが何となく憚れたからだろうと思います。そういえば病床の妻
に一度“一番楽しかったのはいつ頃だった?”と聞いたことがありましたが、何となく答えを
はぐらかされてしまいました。
きっと妻も“独身の時が、一番楽しかったんだろうな”と今でも思っています。
「結婚して家庭をつくり、子供が出来て家族をつくる」。それに連れてどんどん責任が大きくなって
肩ひじを張って生きてきたような感じがします。その後、子供たちが独立していき、妻にも先立たれ、
今また一人となりましたが、独身時代のようなあんな愉快な飲み会にはもう巡り合えないだろうと思います。
世の中を長く渡り過ぎ、「分別」とかいうものが身についてしまったからです。
ときどき酒を飲んだ時、こんなことを思い出しては「あの頃は良かったなぁ!」と
一人で懐かしんでいます…………
前回の「
厚生年金のパート適用」についての話は、如何でしたでしょうか。
今回は、「
従業員の
通勤事故リスク」についての話をします。
──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「
従業員の
通勤事故リスク」
───────────────────────────────
昨今、
通勤時の事故発生をめぐり会社が責任追及されるケースが増加しています。
本年10月1日、事故死したトラック運転手の遺族が、原因は
過重労働だとして
会社に約1億円の
損害賠償を求める訴えを起こしましたが、他にも
通勤途中で
発生した事故をめぐり会社が責任追及される事案が増えています。
(1)2017年10月、業務で公用ワゴン車を運転中に兵庫県川西市選挙管理
委員会の
職員が5人を死傷させる事故が発生しました。職員は、当時、参議院選挙対応で
約1カ月間休みがなく、200時間超の
時間外労働を行っていました。
2018年4月23日、運転していた職員は自動車運転処罰法違反(過失致死傷)で
書類
送検され、また過労状態を知りながら運転を命じたとして、上司も
道路交通法違反(過労運転下命)で書類
送検されています。
(2)2018年2月8日、横浜
地方裁判所川崎支部において、ある事件の
和解が
成立しました。この事件は、バイクで帰宅途中に居眠り運転で事故死した
従業員の遺族が、原因は
過重労働だとして会社に
損害賠償を求めたもので、
会社が7,590万円支払うこととなりました。
従業員は約22時間の
徹夜勤務明けで、
事故前1カ月の
時間外労働は約90時間でした。
上記事件で、裁判所は、
通勤時にも会社は社員が過労による事故を起こさない
ようにする
安全配慮義務があると認定し、公共交通機関の利用を指示するなどして
事故を回避すべきであったと指摘しています。
和解の内容には、
再発防止策として勤務間インターバル制度の導入、男女別仮眠室の
設置、深夜タクシーチケットの交付などの実施も盛り込まれました。これまで
通勤途上の事故で会社の責任を認めたものは殆どなかったため、会社の
安全配慮義務が
従業員の
通勤についても認められることを示した画期的な判断と
されています。
働き方改革法では、
労働時間把握が
使用者の義務として課されることとなりました。
しかし最近の情勢としては、会社に求められるのは、ただ単に省令に定める方法により
労働時間を記録等するだけではなく、過労状態のため
従業員が
通勤途上であっても事故を
起こさないような具体的対策を講じることまで求められていると言えるでしょう。
事務所のホームページを更新しております。
ご興味のある方は、
http://www.node-office.com/index/index.html
または、
http://www.humansource.co.jp/ へどうぞ
当事務所所長 野手 茂 著の「サラリーマン講座
退職金・年金編」が 文芸社
より、全国書店、ネット書店で販売中です。
齢を取ってそろそろ人生の終末を意識するようになると終活とか遺産相続とか色んなことを
考えるようで、世の中にはそんな人を対象にしたビジネスも活況を呈しているそうです。
私は大そうな財産を残すわけでもないのでそんなことには興味がありませんが、人生の大半が
もう過ぎ去ってしまったと思うとき、今までの人生を振り返り、「楽しかったこと、辛かった
ことは何だっただろう」とときどき考えることがあります。
この間の夜も、一人で晩酌をしながら、“今までの人生で一番楽しかった時期はいつだったかなぁ?”
と思いを巡らせていると、「独身時代に親友と飲み歩いていたときの姿」がぼんやりと頭に浮かびました。
私は、結婚するまで自宅に住んでいました。「学校を出て、就職をして親元に住む」:これは、人から
闘争心を無くす3大要素と言われています。何しろ、学校に行っているときは、食事も住居費なども
みんなタダで住んでいたのですから、その延長線上にある親元での独身生活が苦しいわけがありません。
だから、このときは、貰った給料の大部分は友人との飲み代に消えていました。
当時私は、学校出立ての新入社員で、会社ではベテラン女性社員によくイジめられていました。
昼間イジメられてショボンとしていても、夜、学生時代からの親友(上級職公務員)と飲むときは、
そんなことはすっかり忘れてエリートサラリーマンを気取り大ボラを吹きまくっていました。
未だお互いの将来が見渡せないのですから、“俺はいずれトップになる、少なくても役員だ”と
私がホラを吹くと、相手も負けじと“俺は局長が確実だ”とホラを吹いていました。
こうしてホラを吹き合っては飲み過ぎて、フラフラしながら家路についたものでした。
そんな馬鹿をやっているときも、母親は“ちょっと飲み過ぎよ”と言いながらも
私の身体のことだけを心配してくれました。 その後の人生で、飲む機会は数知れず
ありましたが、あんな愉快な飲み会は、その後二度と訪れませんでした。
その友人とは今でも1年に2回ほどは会って飲みますが、もうお互いに社会人と
しての結果は出ていますからホラを吹くこともありません。淡々と世間話をしては、楽しく飲んでいます。
亡くなった妻にも「この話=人生で最も楽しかった時期」について話をしたことはありませんでした。
「独身の時が、一番楽しかった」と言うのが何となく憚れたからだろうと思います。そういえば病床の妻
に一度“一番楽しかったのはいつ頃だった?”と聞いたことがありましたが、何となく答えを
はぐらかされてしまいました。
きっと妻も“独身の時が、一番楽しかったんだろうな”と今でも思っています。
「結婚して家庭をつくり、子供が出来て家族をつくる」。それに連れてどんどん責任が大きくなって
肩ひじを張って生きてきたような感じがします。その後、子供たちが独立していき、妻にも先立たれ、
今また一人となりましたが、独身時代のようなあんな愉快な飲み会にはもう巡り合えないだろうと思います。
世の中を長く渡り過ぎ、「分別」とかいうものが身についてしまったからです。
ときどき酒を飲んだ時、こんなことを思い出しては「あの頃は良かったなぁ!」と
一人で懐かしんでいます…………
前回の「厚生年金のパート適用」についての話は、如何でしたでしょうか。
今回は、「従業員の通勤事故リスク」についての話をします。
──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「従業員の通勤事故リスク」
───────────────────────────────
昨今、通勤時の事故発生をめぐり会社が責任追及されるケースが増加しています。
本年10月1日、事故死したトラック運転手の遺族が、原因は過重労働だとして
会社に約1億円の損害賠償を求める訴えを起こしましたが、他にも通勤途中で
発生した事故をめぐり会社が責任追及される事案が増えています。
(1)2017年10月、業務で公用ワゴン車を運転中に兵庫県川西市選挙管理委員会の
職員が5人を死傷させる事故が発生しました。職員は、当時、参議院選挙対応で
約1カ月間休みがなく、200時間超の時間外労働を行っていました。
2018年4月23日、運転していた職員は自動車運転処罰法違反(過失致死傷)で
書類送検され、また過労状態を知りながら運転を命じたとして、上司も
道路交通法違反(過労運転下命)で書類送検されています。
(2)2018年2月8日、横浜地方裁判所川崎支部において、ある事件の和解が
成立しました。この事件は、バイクで帰宅途中に居眠り運転で事故死した
従業員の遺族が、原因は過重労働だとして会社に損害賠償を求めたもので、
会社が7,590万円支払うこととなりました。従業員は約22時間の徹夜勤務明けで、
事故前1カ月の時間外労働は約90時間でした。
上記事件で、裁判所は、通勤時にも会社は社員が過労による事故を起こさない
ようにする安全配慮義務があると認定し、公共交通機関の利用を指示するなどして
事故を回避すべきであったと指摘しています。
和解の内容には、再発防止策として勤務間インターバル制度の導入、男女別仮眠室の
設置、深夜タクシーチケットの交付などの実施も盛り込まれました。これまで
通勤途上の事故で会社の責任を認めたものは殆どなかったため、会社の
安全配慮義務が従業員の通勤についても認められることを示した画期的な判断と
されています。
働き方改革法では、労働時間把握が使用者の義務として課されることとなりました。
しかし最近の情勢としては、会社に求められるのは、ただ単に省令に定める方法により
労働時間を記録等するだけではなく、過労状態のため従業員が通勤途上であっても事故を
起こさないような具体的対策を講じることまで求められていると言えるでしょう。
事務所のホームページを更新しております。
ご興味のある方は、
http://www.node-office.com/index/index.html
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