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法令遵守と利益の向上を両立した快適職場とは

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。
http://hatarakikatakaikaku.com/
 今回は、「法令遵守と利益の向上を両立した快適職場とは」コラムを作成しました。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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法令遵守と利益の向上を両立した快適職場とは
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 労働安全衛生法第3条第1項に、「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。」と示されており、快適職場とは、「安全と健康を確保することができる、法令の最低基準以上を達成した職場」といえます。
 ここで注意すべき点は、「安全と健康を確保すること」と「職場」を両立できていることが重要になります。具体的には、職場は労働により利益を出すことを目的としていることから、「業務起因の危険から、安全と健康を確保」と「利益の向上」を伴っていることが必要となります。従って、福利厚生の視点で快適性を向上させただけでは、企業にとっては福利厚生以上の価値はありませんし、さらに、法令に基づいた快適職場の形成とはいえません。

◎企業にとって価値になり、法令も遵守する快適職場とは
 「業務起因の危険から、安全と健康を確保」と「利益の向上」を両立することができる職場は、『資源』を『成果物』に変える『必要な人的エネルギー』を減らす仕組みが伴った職場ということができます。必要な人的エネルギーが減らされていることから、労働に伴う負担が減ることで、安全と健康の確保が見込まれ、さらに、成果物は維持され、必要なコストが低減することから利益の向上も見込めます。
 なお、『資源』は工場であれば原料、管理業務であれば白紙のファイル、営業であれば名刺交換しただけの人間関係といった加工前の状態のものを示し、『成果物』とは製品、完成ファイル、営業網といった労働により加工された状態のものを示します。
 例えば、大きな荷物を数km運ぶ際に、素手で運んで15万円がもらえる場合と、荷物をトラックに積んで運んで3万円もらえる場合があるとします。このとき、支払われる報酬は素手で運ぶより安いですが、ほとんどの人がトラックを使って運ぶことに快適さを感じて、選択するのではないでしょうか。
 素手で荷物を運ぶ人的エネルギーを、トラックという仕組みで減らすことで、業務起因の腰痛等といったリスクから健康を守り、荷物を運ぶという成果は維持することができます。

◎ハード面の快適職場
 快適職場を形成するためには、ハード面の視点とソフト面の視点が必要になります。
 ハード面の快適職場は、トラックの事例の様に、成果を出すために必要なエネルギーを物によって減らす仕組みになります。具体的には、車両や機械といった有形資産を導入し、従業員の負担を必要十分とした職場になります。

◎ソフト面の快適職場
 一方、ソフト面の快適職場は、有形資産以外で、成果物を作るための人的エネルギーを減らしている職場になります。具体的には、業務の工程数を減らす取り組み、良好事例や経験知識の水平展開、円滑な情報共有のために文言の定義を整理する等の取り組みが、職場内の文化や制度として広く浸透している職場になります。
 成果を出すために、担当者が費やした時間と労力は、経験者の指導を受けていれば不要であったのではないかという経験をされた方もいるのではないでしょうか。
 当然、社内の情報共有は、適宜行われているでしょう。しかし、重要なのは、職場内の文化や制度として広く浸透していることになります。
 「労働生産性の国際比較2018年版」によると、日本労働生産性はOECD加盟36カ国中20位で、主要先進7カ国でみると最下位という状況です。日本は工業化によりハード面の快適さは高い状態ですので、ソフト面の改善は、まだまだ余地があると見込まれます。
 なお、弊社の経験ではありますが、「働き方改革」や「健康経営」等の働く人の健康管理の取り組みを行う事業所において、労働衛生の担当者なら当然知っているべきことが、部署を超えて適切に共有されていないことから、類似の会議が複数立ち上がり、そこで議論している内容の1つが「残業を減らすために、会議の時間を減らす」であったという、落語のオチのような事例がありました。
 快適職場の在り方を定期的に見直し、専門家を活用することで、「業務起因の危険から、安全と健康を確保」と「利益の向上」を両立ができる快適職場という、有形かつ無形の資産を形成してください。

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