こんにちは。社会保険労務士の田中です。
渋谷を中心にスタートアップ企業の支援をしています。
☆☆ はじめに ☆☆
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☆☆☆☆☆☆ 第11回 地味だが大切。労使協定の手続き ☆☆☆☆☆☆
♯♯♯♯♯ そもそも労使協定とは何か? ♯♯♯♯♯
「労使協定」という言葉は聞き慣れないと思うので簡単に説明します。
従業員を雇用するには、「労働基準法」を遵守する必要があります。
他にも、労働安全衛生法や労働契約法等々、守るべき「労働法」は
いくつもありますが、一番大切なのは労働基準法です。
その労働基準法では、労働時間・休日・賃金の支払い方法など、
様々なルールが細かく、罰則付きで厳格に定められています。
そして、労働基準法の定めの中には、会社と労働者が協議して、
双方の同意があれば特例を認める、というものがあります。
例えば、次の様なものです。
1 「1日8時間 1週間40時間」という労働時間の制限を超えて、
適法に時間外労働(いわゆる残業)をできるようにする。
2 賃金は全額を支払う事が原則のところ、給与から旅行積立や
生命保険料などの控除をできるようにする。
3 時間外労働の時間数をしっかりと把握して、割増手当を支払う
事が原則のところ、あらかじめ労働時間を一定時間とみなす
ことをできるようにする。(つまり割増手当も一定額となる。)
上記は一例ですが、会社と従業員が協議した際、
その同意を書面で残すものが「労使協定」です。
上記の例ですと、それぞれ以下の「労使協定」になります。
1 時間外労働・休日労働に関する労使協定(いわゆる36協定)
2 賃金控除に関する労使協定
3 専門業務型裁量労働に関する労使協定
これら労使協定の詳しい解説は別の機会にいたしますが、
労使協定は「地味だけど、とても重要」と覚えてください。
♯♯♯♯♯ 労使協定は忘れやすい ♯♯♯♯♯
さて、労使協定は忘れやすい、という大問題があります。
さらに中小企業では「忘れた」以前に「知らなかった」という、
認知度が低い事から生じる根本的な問題もあります。
なぜ、「忘れた」「知らない」という事が起こるのでしょうか?
一つの理由として、労使協定は手続きを促す行政からの連絡が無い、
という事が考えられます。
例えば、「労働保険料の年度更新」や「社会保険の算定基礎届」は、
時期になると、労働局や年金機構から届出用紙が届きます。
さらに、手続きを忘れていると、繰り返し届け出の督促がなされます。
一方、労使協定は全ての会社が締結、届け出するものではないため、
行政が会社に対して締結・届け出を促す性質のものではありません。
そのため、事務経験の長いスタッフがいないスタートアップでは、
労使協定を忘れていることがありますので、ご注意ください。
♯♯♯♯♯ 労使協定はどう締結して届け出する? ♯♯♯♯♯
労使協定は厚生労働省(労働局)のHPに書式と記載例があります。
ただし、自社に合わせて記載例をカスタマイズする事が大切です。
労使協定は、会社が「労働組合」または「従業員代表」と締結しますが、
スタートアップでは労働組合は無い事が多いので、従業員代表と締結します。
双方が署名押印をして、労使協定によっては会社所在地を管轄する
労働基準監督署に届け出をします。(36協定、裁量労働の協定など)
届け出の際は、2部作成して1部を提出、1部は自社保管用としてください。
また、「従業員代表」の定め方には次のルールがあります。
「労働者の過半数を代表する者」「民主的な方法により選出される」
それぞれ、簡単に説明すると、「労働者の過半数を代表する者」にある
「労働者」には社員・アルバイトの他、管理職も含んでいます。
そして、「過半数を代表する者」は管理職以外から選びます。
「民主的な方法により選出」にある「民主的な方法」とは、
立候補、互選、推薦、選挙、話し合い などが考えられます。
要は会社が一方的に指名していない事がポイントです。
♯♯♯♯♯ 労使協定のポイントを再確認 ♯♯♯♯♯
さて、ここまでの労使協定でのポイントをまとめます。
1 労使協定の締結が必要な場合には、締結を絶対に忘れない。
2 従業員の代表はきちんとルールに従って定める。
そして、労使協定は「地味だが大切」と説明しました。
なぜならば、忘れるとリスクが大きいからです。
次回のコラムではこのリスクについてご説明いたします。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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田中事務所 特定社会保険労務士 田中理文
(立川・渋谷・新宿 で主に仕事をしています。)
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未来を拓く次世代の経営者に、当所の経験とノウハウをお伝えします。
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貴社に寄り添ってサポートします。
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☆☆☆☆ スタートアップの人事・労務 ☆☆☆☆
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