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働き方改革スタート直前 11時間インターバル勤務は意味ある?

こんにちは。社会保険労務士の田中です。
いよいよ働き方改革による労働基準法等の改正が迫ってきました。
皆様の会社ではご準備は進んでいますか?

今回は「勤務間インターバル制度」について改めて考えます。

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まず、再確認です。勤務間インターバル制度とは、
労働者の終業時刻から次の始業時刻の間に一定時間の休息を設定して、
労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康な生活を送るための制度です。
労働時間等設定改善法の改正です。


△□〇△□〇 勤務間インターバルの導入率はとても低い △□〇△□〇

同制度の導入率は、平成30年1月1日現在、1.8%という少なさです。
その理由は「制度を知らなかった」が40.2%と認知度が低いこと、
また、一般的なインターバル時間である11時間を
すでに確保している従業員が「全員」という会社が40.5%、
「ほとんど全員」が33.5%と、合わせて74%の人が、
実質的に11時間のインターバル時間を確保していることなどが、
同制度の導入率の低さにつながっているようです。
( 導入率のデータは「平成30年就労条件総合調査」による。)

確かに始業が午前9時、終業が午後6時の会社の場合、
午後10時まで仕事をしても翌日の始業時刻まで11時間の
インターバルを取る事ができます。

最近は時間外労働の削減が進んでいることもあり、
午後10時までには余程の事がない限り退勤できるでしょう。
従って、特に何もせずとも11時間のインターバルは確保される
会社がほとんどではないでしょうか。

それならば、あえて「11時間のインターバルを確保する」と
気負わずに、何もしなくても良いのでは?という声もあがってきます。
そもそも同制度は努力義務ですので、対応は必須ではありません。


△□〇△□〇 勤務間インターバルを導入するメリット △□〇△□〇

それでも導入する意味はあるのでしょうか?
私は、次の様なメリットがあり、導入する意義はあると考えます。

1 採用(特に若年層や新卒)の際に会社のアピールポイントとなり、
 人材確保で他社に比べて有利となる。
 同制度を新鮮に感じる人が多い現時点では、なおさら有利でしょう。

2 インターバル時間の目安は11時間だが、すでに多くの企業では
  この時間を達成しており、導入に際して新たな負担は発生しない。
  また、労使協定を締結する必要も無いため、導入は容易である。

3 制度導入は努力義務なので、柔軟な運用ができる。
  例えば、年末年始や繁忙期は同制度の対象外としたり、
  特定の部署のみを対象とする事などができる。
  また、「試験的な運用」という位置づけをすれば、
  一定期間で成果が見られない時に中止することができる。

4 制度を導入することが、「働き方改革」に向けての全社的な意識変化の
  きっかけとなったり、従業員モチベーションアップにつながる。

5 同制度により睡眠時間が確保でき、従業員の健康に配慮できる。
  そもそも11時間という時間設定は6時間の睡眠が確保できる、  
  という前提からの逆算で求められた時間でもあります。
  
  なお、睡眠時間の算出根拠は次のコラムをご参照ください。
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-173632/

6 平成31年度から制度導入に助成金が設定される予定である。
 (平成30年度の助成金は受付を締め切りましたが、
  より大きな金額での助成金が予定されているようです。)


△□〇 事例に見る勤務間インターバル制度のメリット △□〇 

実際に同制度を導入している会社の事例を見てみましょう。
(出典「勤務間インターバル制度 導入事例集」 厚生労働省)
http://urx3.nu/QgGX

ここで紹介されている10社が、同制度のメリットとして、
インタビューで挙げている概要をお伝えします。

 ・社員の意識が変わり、残業が少なくなった。
 ・人材確保の際、同制度を導入していることが強みになる。
 ・新卒を対象とした会社説明会で学生(特に女子学生)からの評価が高い。
 ・社員の睡眠時間が確保され、健康、特にメンタル面に良い影響があった。

時間外労働が減少」「人材採用で有利」が複数の会社で見られます。

なお、事例の会社では、勤務間インターバル制度の他にも、
「部門間のコミュニケーションの改善を図る」「育児支援に力を入れる」
従業員満足度の向上を目指す」などの複数の施策を実行しています。

従って、勤務間インターバル制度以外の施策による効果もあるでしょう。
しかし、それは同制度の有効性を決して否定するものではなく、
複数の施策を組み合わせる事で、より大きな効果が得られるという事です。

勤務間インターバル制度の導入を、会社・従業員ともに積極的に、
意識変革のきっかけとすることが大切かと考えます。

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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「働き方改革への我が社の対応」シリーズ
よろしければご一読ください。

その1 時間外労働の上限規制 
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173516/

その2 有休5日付与が義務に
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173530/

その3 高度プロフェッショナル制度
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173547/

その4 3ヶ月単位のフレックスタイム制
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173592/

その5 勤務間インターバル制度
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173632/

その6 産業医との連携を強化
http://www.soumunomori.com/column/article/atc-173655/
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