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高圧室内業務等・平成30年度労働衛生コンサルタント試験解説

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。
 さらに、健康経営に関する公的資格者のために、安価で好立地のインキュベーションオフィスも展開しています。
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 今回は、「高圧室内業務等・平成30年度労働衛生コンサルタント試験解説」を作成しました。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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高圧室内業務等・平成30年度労働衛生コンサルタント試験解説
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 平成30年度労働衛生コンサルタント試験(労働衛生一般)の問5は、高圧室内業務等に関係するものでした。私が、実務で経験が乏しい有害作業になりますが、以下の様に、教科書的な解答及び解説を示します。

●高圧室内業務又は潜水業務における高気圧障害とその予防に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)高気圧障害とは、高気圧による減圧症、酸素、窒素又は炭酸ガスによる中毒その他の高気圧による健康障害をいう。
(2)気こう室とは、高圧室内業務に従事する労働者が作業室への出入りに際し、加圧又は減圧を受ける室をいう。
(3)水深40メートルを超える潜水業務においては、窒素を呼吸用不活性ガスとして用いることが望ましい。
(4)健康診断の結果、肺活量が著しく減少している場合は、慢性酸素中毒のおそれがある。
(5)ヘリウムは、熱伝導性が高いために潜水者の体温を奪いやすい欠点がある。

【解答】
(3)

【解説】
 高気圧作業安全衛生規則における各種定義は、以下の様に定められています。
一 高気圧障害 高気圧による減圧症、酸素、窒素又は炭酸ガスによる中毒その他の高気圧による健康障害をいう。
二 高圧室内業務 労働安全衛生法施行令第六条第一号の高圧室内作業に係る業務をいう。
三 潜水業務 労働安全衛生法施行令第二十条第九号の業務をいう。
四 作業室 潜函 工法その他の圧気工法による作業を行うための大気圧を超える気圧下の作業室をいう。
五 気こう室 高圧室内業務に従事する労働者が、作業室への出入りに際し加圧又は減圧を受ける室をいう。
六 不活性ガス 窒素及びヘリウムの気体をいう。
従って、(1)、(2)は正しいです。
 平成27年1月9日付け基発0109第2号「高気圧作業安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(以下「改正時の通達」という。)の第3の(9)のエにおいて、「呼吸用ガスとして空気を用いることが認められない水深40メートルを超える潜水業務においては、ヘリウムを呼吸用不活性ガスとして用いることが望ましいこと。」とされており、(3)は適切ではありません。
 また、改正時の通達の第3の(6)のアにおいて、「高圧則第38条第1項の規定に基づき実施した健康診断において、同項第6号の肺活量の測定の結果が著しく減少している場合は、慢性酸素中毒のおそれがあることから精密検査を実施することが望ましいこと。また、可能な範囲で、定期の健康診断のほか、高気圧作業実施期間の前後にも肺活量を測定することが望ましいこと。」とされており、(4)は正しいです。
 (5)については、熱伝導率の計算より求められますが、イメージとして説明しますと、気体分子の平均運動エネルギーは(3/2)kT=(1/2)mv2(kは定数)であることから、温度(T)が上昇した場合、質量(m)が小さいほど、気体の平均速度(v)は速くなります。ヘリウムの原子量は小さいことから、気体の熱伝導率は152.7(mW/m・K)と空気の26.14(mW/m・K)に比べて高いです。従って、(5)は正しいです。
 (5)については、実際に業務でヘリウムを利用していない場合は、解答にたどり着くのは難しいと思います。実際の試験では、消去法で(3)と(5)に絞り、高圧になればなるほど、窒素中毒(窒素が原因となる神経症状)が発症しやすくなることから、適切でないものとして(3)を解答することになると考えます。

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