こんにちは、
産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
産業医として化学工場、営業事務所、IT企業、電力会社、小売企業等で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。
さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を
資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった
産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
http://hatarakikatakaikaku.com/
今回は、「熱ストレス」を作成しました。
労働衛生の取組を行うことで、
従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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熱ストレス・平成30年度労働衛生コンサルタント試験解説
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平成30年度労働衛生コンサルタント試験(労働衛生一般)の問8は、熱ストレスに関係するものでした。
以下の様に、解答及び解説を示します。
●場における熱ストレスなどに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)WBGT値は、熱ストレスを数値化して評価する指数であり、屋外で太陽照射のある作業場については、自然気流下の湿球温度と黒球温度によって計算される。
(2)熱ストレスに強く影響するエネルギー代謝率(RMR)は、作業時間中の総消費エネルギー量と基礎代謝量の比である。
(3)熱中症は、業務上疾病の中で物理的因子による疾病に分類され、屋外での熱ストレスが最も影響するため、建設業における熱中症による死傷者数は全体の半数以上を占めている。
(4)熱中症発生が懸念される屋外作業場における作業環境管理では、WBGT値の低減、
休憩場所の整備などが必要である。
(5)熱疲労(II度の熱中症)では、長時間にわたる発汗によって体内の水分と塩分が喪失し、脱水症状、顔面の蒼白化、全身倦怠感、めまい、吐き気や嘔吐、頭痛のほか、明らかな体温上昇が認められる。
【解答】
(4)
【解説】
労働衛生上、熱ストレスを評価する指標は、WBGT(湿球黒球温度:Wet Bulb Globe Temperature)値になり、算出方法は、以下の様になります。WBGT値は基本事項ですので、係数も含めて正確に覚えておくことが必要です。
屋外:WBGT = 0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
屋内:WBGT = 0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
従って、(1)は誤りになります。
また、熱中症の発生が懸念される
事業場においては、作業環境管理として、WBGT値の低減、
休憩室の設置、作業管理として、服装の改善、作業時間の短縮、熱への順化対策、健康管理として、水分と塩分の補給、健診結果に基づく措置、日常の健康管理、
従業員の健康状態確認を行う必要があります。従って、(4)は正しいです。
エネルギー代謝率(RMR:relative metabolic rate)は、「総消費エネルギー」から「安静時消費エネルギー」を引き、さらに、「基礎代謝」で割った値で、活動あるいは労働の強度を表す指標です。従って、(2)は誤りになります。
平成29年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確報)によると、平成29年の死傷者数は544人、そのうち建設業は141人であり、(3)は誤りになります。(3)は、統計に関して、年代等のバックグラウンドの定義がされていないことから、有力な誤りの選択肢となるでしょう。
熱中症は、Ⅰ度(軽症)、Ⅱ度(中等症)、Ⅲ度(重症)に分けられます。主な各症状は以下になります。
Ⅰ度:手足のしびれ、筋肉の痙攣、こむら返り、皮膚蒼白、血圧低下等
Ⅱ度:強い疲労感、頭痛、嘔気、倦怠感、めまい、下痢等
Ⅲ度:深部体温上昇、意識混濁、意識消失、肝機能障害、血液凝固障害等
(5)については、Ⅱ度でも体温の上昇は認められるが、必ず上昇するというわけではないことから、「明らかな体温の上昇」が、Ⅱ度に該当しないため誤りになるといえます。ただし、(5)の選択肢の表現だけで、誤りを確定することは難しいと考えます。実際の試験では、(4)と(5)に絞って、より正しい表現である(4)を選択する流れになると思われます。
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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を
資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/
こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
産業医として化学工場、営業事務所、IT企業、電力会社、小売企業等で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。
さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
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今回は、「熱ストレス」を作成しました。
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熱ストレス・平成30年度労働衛生コンサルタント試験解説
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平成30年度労働衛生コンサルタント試験(労働衛生一般)の問8は、熱ストレスに関係するものでした。
以下の様に、解答及び解説を示します。
●場における熱ストレスなどに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)WBGT値は、熱ストレスを数値化して評価する指数であり、屋外で太陽照射のある作業場については、自然気流下の湿球温度と黒球温度によって計算される。
(2)熱ストレスに強く影響するエネルギー代謝率(RMR)は、作業時間中の総消費エネルギー量と基礎代謝量の比である。
(3)熱中症は、業務上疾病の中で物理的因子による疾病に分類され、屋外での熱ストレスが最も影響するため、建設業における熱中症による死傷者数は全体の半数以上を占めている。
(4)熱中症発生が懸念される屋外作業場における作業環境管理では、WBGT値の低減、休憩場所の整備などが必要である。
(5)熱疲労(II度の熱中症)では、長時間にわたる発汗によって体内の水分と塩分が喪失し、脱水症状、顔面の蒼白化、全身倦怠感、めまい、吐き気や嘔吐、頭痛のほか、明らかな体温上昇が認められる。
【解答】
(4)
【解説】
労働衛生上、熱ストレスを評価する指標は、WBGT(湿球黒球温度:Wet Bulb Globe Temperature)値になり、算出方法は、以下の様になります。WBGT値は基本事項ですので、係数も含めて正確に覚えておくことが必要です。
屋外:WBGT = 0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
屋内:WBGT = 0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
従って、(1)は誤りになります。
また、熱中症の発生が懸念される事業場においては、作業環境管理として、WBGT値の低減、休憩室の設置、作業管理として、服装の改善、作業時間の短縮、熱への順化対策、健康管理として、水分と塩分の補給、健診結果に基づく措置、日常の健康管理、従業員の健康状態確認を行う必要があります。従って、(4)は正しいです。
エネルギー代謝率(RMR:relative metabolic rate)は、「総消費エネルギー」から「安静時消費エネルギー」を引き、さらに、「基礎代謝」で割った値で、活動あるいは労働の強度を表す指標です。従って、(2)は誤りになります。
平成29年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確報)によると、平成29年の死傷者数は544人、そのうち建設業は141人であり、(3)は誤りになります。(3)は、統計に関して、年代等のバックグラウンドの定義がされていないことから、有力な誤りの選択肢となるでしょう。
熱中症は、Ⅰ度(軽症)、Ⅱ度(中等症)、Ⅲ度(重症)に分けられます。主な各症状は以下になります。
Ⅰ度:手足のしびれ、筋肉の痙攣、こむら返り、皮膚蒼白、血圧低下等
Ⅱ度:強い疲労感、頭痛、嘔気、倦怠感、めまい、下痢等
Ⅲ度:深部体温上昇、意識混濁、意識消失、肝機能障害、血液凝固障害等
(5)については、Ⅱ度でも体温の上昇は認められるが、必ず上昇するというわけではないことから、「明らかな体温の上昇」が、Ⅱ度に該当しないため誤りになるといえます。ただし、(5)の選択肢の表現だけで、誤りを確定することは難しいと考えます。実際の試験では、(4)と(5)に絞って、より正しい表現である(4)を選択する流れになると思われます。
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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
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