こんにちは。
社会保険労務士の田中です。
2019年4月から出入国管理法が改正されています。
「特定技能」という新たな資格で働く外国人も増える予定です。
【 アジア諸国の外国人が支えるビジネス現場 】
年々、日本で働く外国人は増えており、現在、約150万人です。
特に販売、外食、宿泊・飲食サービス産業で働く外国人が多く、
約150万人のうち、30%を超えています。
すでに日本社会は中国、ベトナム、フィリピンをはじめとする、
諸外国から日本に働きに来る人達に支えられている一面があります。
これからもアジア諸国を中心とした外国人
労働者は増える見通しです。
より正しい理解を持って、迎え入れ、お付き合いしていきたいです。
今回は、その理解の一つとして「外国人と
社会保険」をお伝えします。
会社は外国人
労働者への労働法規・
社会保険の正しい適用はもちろん、
外国人が安心して働けるよう、丁寧で親身な説明をする事が必要です。
【 数字で確認。日本で働く外国人
労働者 】
日本の
雇用者(会社・団体等の
役員及び社員)は5953万人(2019.01)
そのうち、外国人は146万人です。(2018.10現在)約2.5%です。
この146万人の
在留資格別の比率は次の通りです。(高い順)
・身分に基づき在留する人(日本人の配偶者、
永住者等)33.9%
・留学生等の資格外活動(アルバイト等)23.5%
・技能実習(いわゆる実習生) 21.1%
・専門的・技術的分野の
在留資格(技術、国際業務、介護等)19.0%
(出典 「外国人
雇用状況」の届出状況まとめ 厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03337.html
おそらく、デスクワークを中心とした会社では
在留資格のうち、
「専門的・技術的分野の
在留資格」での外国人を
雇用することが、
また、コンビニエンスストアや飲食店で働く外国人には、
留学生の資格外活動でのアルバイトが多いのではないかと思います。
【 出入国管理法の改正で新たな資格「特定技能」 】
前述のように2019年4月から入管法が改正されて、新たな資格
「特定技能1号・2号」が設けられます。(当面は1号のみ)
介護、外食、建設、ビルクリーニング、飲料品製造をはじめとする、
14業種で最大34万人の新たな外国人の就労が予想されています。
比較的、
労働者不足といわれる業種が対象となっています。
現在の外国人
労働者が146万人ですから、特定技能として新たに
就労する34万人という人数が多いことが分かります。
△□〇 外国人
労働者への労働法・
社会保険適用 △□〇
外国人
労働者にも
労働基準法、
労働安全衛生法、
労働契約法などの
労働法全般が日本人
労働者と同じように適用されます。
従って、
最低賃金も東京都では985円、神奈川県では983円
埼玉県では898円、千葉県では895円です。
また、
厚生年金・
健康保険・
介護保険・
労災保険・
雇用保険の
社会保険も
日本人
労働者と同じように適用されます。
【 外国人
労働者は日本の年金をもらえるのか? 】
前段で、外国人
労働者も日本人
労働者と同じように
厚生年金が
適用されるとお伝えしましたが、そこで当然に疑問が生じます。
「数年で母国に帰る外国人は
厚生年金保険料を払うだけで、
もらえないのではないか?それは損ではないか?」という疑問です。
外国人
労働者への年金支払いには次の3パターンがあります。
その1
脱退一時金
古くからある制度です。外国人
労働者が日本を出国してから請求できます。
自分自身が支払った
厚生年金保険料が戻ってくるイメージです。
ただし例えば、
被保険者期間が12ヶ月以上18ヶ月未満の場合は、
支払った
保険料の12ヶ月分が戻ってきます。
つまり、17ヶ月の
被保険者期間がある人は、5ヶ月分が戻りません。
さらに、同期間が3年間以上の場合は一律で36ヶ月分が戻るだけ、
というように、
厚生年金への加入期間の長さによって、「損をした」と
感じてしまうケースはあります。
また、会社負担分は
被保険者期間にかかわらず、常に戻りません。
詳細はこちらをご覧ください。
http://urx.space/wyiW
(
日本年金機構 「短期在留
外国人の脱退一時金」)
その2 母国の年金制度と通算して将来、母国でもらう。
「
社会保障協定」を締結している国があります。これにより
保険料の
掛け捨てとならないよう、日本の年金加入期間と母国(締結国)での
年金加入期間を通算して、日本や母国(締結国)での年金が受給できます。
なお、この協定には母国企業と日本企業(母国企業の日本
法人など)とに、
二重に在籍している社員の
保険料の二重払い防止という目的もあります。
協定の締結前は両国への
年金保険料の支払い義務があったところ、
5年以内の一時派遣の場合は母国の年金だけを支払い、
5年を超える場合は日本の年金だけを支払う、というルールです。
「
社会保障協定」の締結は2000年2月にドイツとのものが最初でした。
続いて、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー等の18ヶ国と締結。
なお、イタリア、スロバキア、中国との協定は発効準備中です。
詳細はこちらをご覧ください。
http://urx.space/W6NM
(
日本年金機構「協定を結んでいる国との協定発効時期及び
対象となる
社会保障制度」)
その3 10年以上の滞在で日本の年金をもらう。
日本で年金をもらうには、
被保険者期間が25年以上必要でしたが、
2017年8月から10年の
被保険者期間でもらえるようになりました。
(
厚生年金と
国民年金の期間を合わせて10年)
従って、日本で働く期間が10年を超えた外国人
労働者は、
日本の
老齢厚生年金、
老齢基礎年金を受給できます。
ただし、年金は支払った期間に応じて受給できるものなので、
支払った10年分に見合った受給額ではあります。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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田中事務所 特定
社会保険労務士 田中理文
(立川・渋谷・新宿 で主に仕事をしています。)
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こんにちは。社会保険労務士の田中です。
2019年4月から出入国管理法が改正されています。
「特定技能」という新たな資格で働く外国人も増える予定です。
【 アジア諸国の外国人が支えるビジネス現場 】
年々、日本で働く外国人は増えており、現在、約150万人です。
特に販売、外食、宿泊・飲食サービス産業で働く外国人が多く、
約150万人のうち、30%を超えています。
すでに日本社会は中国、ベトナム、フィリピンをはじめとする、
諸外国から日本に働きに来る人達に支えられている一面があります。
これからもアジア諸国を中心とした外国人労働者は増える見通しです。
より正しい理解を持って、迎え入れ、お付き合いしていきたいです。
今回は、その理解の一つとして「外国人と社会保険」をお伝えします。
会社は外国人労働者への労働法規・社会保険の正しい適用はもちろん、
外国人が安心して働けるよう、丁寧で親身な説明をする事が必要です。
【 数字で確認。日本で働く外国人労働者 】
日本の雇用者(会社・団体等の役員及び社員)は5953万人(2019.01)
そのうち、外国人は146万人です。(2018.10現在)約2.5%です。
この146万人の在留資格別の比率は次の通りです。(高い順)
・身分に基づき在留する人(日本人の配偶者、永住者等)33.9%
・留学生等の資格外活動(アルバイト等)23.5%
・技能実習(いわゆる実習生) 21.1%
・専門的・技術的分野の在留資格(技術、国際業務、介護等)19.0%
(出典 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ 厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03337.html
おそらく、デスクワークを中心とした会社では在留資格のうち、
「専門的・技術的分野の在留資格」での外国人を雇用することが、
また、コンビニエンスストアや飲食店で働く外国人には、
留学生の資格外活動でのアルバイトが多いのではないかと思います。
【 出入国管理法の改正で新たな資格「特定技能」 】
前述のように2019年4月から入管法が改正されて、新たな資格
「特定技能1号・2号」が設けられます。(当面は1号のみ)
介護、外食、建設、ビルクリーニング、飲料品製造をはじめとする、
14業種で最大34万人の新たな外国人の就労が予想されています。
比較的、労働者不足といわれる業種が対象となっています。
現在の外国人労働者が146万人ですから、特定技能として新たに
就労する34万人という人数が多いことが分かります。
△□〇 外国人労働者への労働法・社会保険適用 △□〇
外国人労働者にも労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法などの
労働法全般が日本人労働者と同じように適用されます。
従って、最低賃金も東京都では985円、神奈川県では983円
埼玉県では898円、千葉県では895円です。
また、厚生年金・健康保険・介護保険・労災保険・雇用保険の社会保険も
日本人労働者と同じように適用されます。
【 外国人労働者は日本の年金をもらえるのか? 】
前段で、外国人労働者も日本人労働者と同じように厚生年金が
適用されるとお伝えしましたが、そこで当然に疑問が生じます。
「数年で母国に帰る外国人は厚生年金保険料を払うだけで、
もらえないのではないか?それは損ではないか?」という疑問です。
外国人労働者への年金支払いには次の3パターンがあります。
その1 脱退一時金
古くからある制度です。外国人労働者が日本を出国してから請求できます。
自分自身が支払った厚生年金保険料が戻ってくるイメージです。
ただし例えば、被保険者期間が12ヶ月以上18ヶ月未満の場合は、
支払った保険料の12ヶ月分が戻ってきます。
つまり、17ヶ月の被保険者期間がある人は、5ヶ月分が戻りません。
さらに、同期間が3年間以上の場合は一律で36ヶ月分が戻るだけ、
というように、厚生年金への加入期間の長さによって、「損をした」と
感じてしまうケースはあります。
また、会社負担分は被保険者期間にかかわらず、常に戻りません。
詳細はこちらをご覧ください。
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(日本年金機構 「短期在留外国人の脱退一時金」)
その2 母国の年金制度と通算して将来、母国でもらう。
「社会保障協定」を締結している国があります。これにより保険料の
掛け捨てとならないよう、日本の年金加入期間と母国(締結国)での
年金加入期間を通算して、日本や母国(締結国)での年金が受給できます。
なお、この協定には母国企業と日本企業(母国企業の日本法人など)とに、
二重に在籍している社員の保険料の二重払い防止という目的もあります。
協定の締結前は両国への年金保険料の支払い義務があったところ、
5年以内の一時派遣の場合は母国の年金だけを支払い、
5年を超える場合は日本の年金だけを支払う、というルールです。
「社会保障協定」の締結は2000年2月にドイツとのものが最初でした。
続いて、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー等の18ヶ国と締結。
なお、イタリア、スロバキア、中国との協定は発効準備中です。
詳細はこちらをご覧ください。
http://urx.space/W6NM
(日本年金機構「協定を結んでいる国との協定発効時期及び
対象となる社会保障制度」)
その3 10年以上の滞在で日本の年金をもらう。
日本で年金をもらうには、被保険者期間が25年以上必要でしたが、
2017年8月から10年の被保険者期間でもらえるようになりました。
(厚生年金と国民年金の期間を合わせて10年)
従って、日本で働く期間が10年を超えた外国人労働者は、
日本の老齢厚生年金、老齢基礎年金を受給できます。
ただし、年金は支払った期間に応じて受給できるものなので、
支払った10年分に見合った受給額ではあります。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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田中事務所 特定社会保険労務士 田中理文
(立川・渋谷・新宿 で主に仕事をしています。)
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