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コラムの泉

私傷病により業務に支障をし生じている社員の医療機関の受診命令

令和元年8月15日 第191号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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私傷病により業務に支障をし生じている社員の医療機関の受診命令が出せるか

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1. はじめに
 業務上の理由で怪我や病気になった場合には、その治療のために休業させた
り残業時間の抑制等を行う必要があります。
 しかし業務外、所謂プライベートで怪我や病気になる事があります。私傷病
による問題についてどのように考えればいいのでしょうか。
 「血圧が高い」「自律神経の乱れにより欠勤が多い」など色々あります。
休日にスポーツ等により怪我をするケースもあります。
 私傷病により業務の能力が落ちる場合にしっかりと治療をしてくれれば問題
ありません。
就業規則等の規定により休職の発令を行い復職に向け治療に専念してくれれば
会社としても見守ることが出来ます。
 しかし、最近「治療をしない」労働者の取り扱いについてご相談をいただく
ようになりました。
 この場合にどの様な対応をすればいいのでしょうか。今回はこの点を掘り下
げてみたいと思います。
 
2.私傷病を知っていて働かせた場合のリスク
(1)能力が落ちているとの判断
 「労働契約に決められている所定労働時間に、求められている能力を発揮し
て仕事をしてもらう」ということが使用者の権利です。
 ですから私傷病により100%の能力を発揮できない状態で、その労務の提
供を拒否することが出来るのか。
 これはできます。例えば二日酔いで出勤した社員。出勤してからずっとトイ
レを占領している様では仕事ができません。腰痛で椅子に座っていられないな
どもこの様なケースです。
 この様な事例はわかりやすく「今日は帰りなさい」と命令しても誰も疑問に
感じないでしょう。
 しかしプライベートの問題で心が病んでいる場合などは「仕事の効率」は落
ちていますが、二日酔いや腰痛などの明確なものがありません。どこまで効率
が落ちたら注意をすべきなのか。ここがポイントです。
 そもそも人間はストレスを感じて生きています。そのストレスにより日常生
活に支障が出た場合に治療が必要な病気となります。
 ストレスにより自律神経が乱れて自律神経失調症を発症したり、パニック障
害を発症したりするケースもありますが業務に支障がなければ問題ありません
が、業務に支障が出てくる場合には対策が必要になってきます。

(2)使用者責任が発生する場合
 私傷病により労働契約で定められている能力が発揮できない。
この状態を使用者が知っていて労働者を使用する場合には、その私傷病が悪化
しないように配慮する責任が生じます。
 しかし、私傷病により労働契約書で定められている能力を発揮できないから
その状態が治癒するまで労務の提供を受領しないということはできます。
 「勤務日数を減らしてほしい」「労働時間を短縮してほしい」といったこと
から「責任を減らしてほしい」とか「業務が軽易な部署に配置転換させてくだ
さい」といったことも拒否することが出来ます。
 この場合には「治療してください」と休職発令することとなります。休職
間満了日までに復職できない場合には自然退職となります。
 「100%の能力を発揮できる状態」であるかどうかが復職の判断基準にな
ります。
この様に私傷病による怪我や病気であることをわかって業務に就かせることは、
それにより怪我や病気の状態が悪化した場合には使用者責任が問われることと
なりますので、それを踏まえて対応することが望まれます、

3.私傷病を治療しない場合どうすればいいのか
(1)受診をさせないと使用者責任が問われる可能性あり
 前述の通り怪我や病気の労働者を働かせる場合には使用者責任が生じる可能
性があり、その状態が悪化しないように十分な配慮が必要になります。
 治癒へ向けてしっかりと治療をしてくれればいいのですが病院へ行かない労
働者もいます。毎年定期健康診断で高血圧の診断がなされている労働者も多い
と思います。
 その診断結果が重篤なものである場合には治療を受けさせなければなりませ
ん。
私傷病ですから自己管理の問題として放置しておくと使用者責任を問われかね
ません。治療をしてもらわなければ使用者が責任を問われるわけですから医療
機関の受診等を促します。家族を巻き込んで本人を説得することが必要です。
それでも医療機関を受診しない場合には治療をする気がないとして懲戒処分
視野に対応することが望ましいです。
これは結果的に労働者の健康の増進に繋がりますから労働者の為になるのです。

(2)病識欠如の場合
 血圧や血糖値など数値に現れる病気であればいいのですが、精神的な疾患の
場合には難しい場合があります。前述の通り人間はストレスを感じる動物です
から、日常生活を送るうえでストレスと向き合わなければなりません。
 そのストレスが日常生活に支障を及ぼす場合については治療が必要になりま
す。「電車に乗れない」「不眠症」など周りから見て明らかにおかしいと感じ
られる症状であれば医療機関の受診を促すことが出来るのですが、そうではい
精神疾患の場合には本人が日常生活に支障をきたしていることを理解していな
いケースも多いわけです。
 この様な場合でも「病気が強く疑われる」状態ですから、使用者責任が生じ
る可能性があります。
 精神疾患により異常な言動が生じている場合にはその時点で休職発令をしま
しょう。
 そこまでの状態ではないが職場に影響が出ているケースでは業務命令として
精神科の受診を発令して様子を見ることがいいと思います。
 精神科の受診を業務命令で発令することが出来るのか。
この点については、使用者安全配慮義務を負っている以上、自傷行為も考え
られる疾患ですから妥当な措置であると考えられます。
 どちらの場合でもご家族との連携により進めていくことが望ましいでしょう。

4.まとめ
100%の能力を発揮できない労働者についての取り扱いについてはこの号に
よらず、今回は受診命令を発令できるのかを中心にお話をしました。
 安全配慮義務を負っている以上、しっかりとした対応をすべきと考えます。
ご参考にしていただければ幸いです。

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