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立体商標と商品形態の保護の可能性

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ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
弁護士法人クラフトマン 第236号 2017-10-15

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1 今回の事例 立体商標と商品形態の保護の可能性
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東京地裁平成30年12月27日判決

 A社は、ランプシェードを指定商品とする立体商標権を有してい
ます。

 A社はB社に対し、B社の商品の販売が商標権侵害に当たると主
張して、販売の差止と損害賠償請求などをしました。

 なお、A社の立体商標とB社の商品の各画像は、以下のページか
らご覧になれます。


http://www.ishioroshi.com/biz/mailmag/topic/topic20191015




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2 裁判所の判断
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 裁判所は以下のように判断し、A社の請求を認めました。

 ・ A社の商標とB社の商品はランプシェードの直径の比につい
  て若干の相違があるものの、全体を見た際に判別し得る相違点
  とはいえず、外観は同一であると認められ、商品の出所を誤認
  混同するおそれがないとはいえない。

 ・ B社は、B社商品を販売するに当たり、A社商品が正規品で
  あることやB社商品がリジェネリック・リプロダクト品である
  ことを強調し、A社商品に比べて低価格で販売していたと主張
  するが、だからといって出所の混同を生ずるおそれがないとは
  いえない。




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3 解説
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(1)商品形態の保護を図る法律上の制度

 メーカーとしては、自社が苦労してデザインしたり開発した商品
を他社が模倣することを防止したいと考えるのは無理もありません。

 本稿では、商品形態を法的に保護する制度を概観したいと思いま
す。現行法で活用できる可能性のあるのは、主に以下のものです。
 (a)意匠権(意匠法)
 (b)立体商標商標法)
 (c)商品形態模倣(不正競争防止法2条1項3号)
 (d)周知商品等表示(不正競争防止法2条1項1号)
 (e)著作権(著作権法)

 以下、各制度の概要とメリット・デメリットを簡単に見ていたい
と思います。


(2)意匠権(意匠法)

 意匠権の登録は、商品形態の保護としては効果的な方法です。意
匠権として登録を受ければ、設定日から20年間、そのデザインを
独占でき、他社による同一又は類似の形態の商品の販売を差し止め
ることができます。

 ただし、意匠登録を受けるためには、出願の時点で同一・類似の
意匠が存在しないこと(新規性)や、既存の意匠と比較して創作性
が低いとはいえないこと(創作非容易性)などの要件が必要です。

 それで、ある商品を販売してしまった後は、原則として意匠登録
を受けられないといったデメリットがあります。

 それで、「とりあえず販売してみてよく売れるなら意匠登録する」
といった方法は使えません。しかし、今後主力商品となる計画の商
品であるとか、目新しいデザインの商品であるとか、商品寿命が長
い商品として見込まれる商品などは、意匠登録を検討してもよいか
もしれません。


(3)立体商標商標法)

 今回の事例にように商品の形態を、「立体商標」として商標登録
を受けるという選択肢もあります。例えば、コカ・コーラのボトル
や、ペコちゃん人形、ヤクルトの容器などは立体商標として登録を
受けています。

 商標権の場合、意匠権とは異なって10年ごとに更新が可能で更新
さえすれば半永久的に登録が維持されますので、長期間にわたり、
商品形態を保護できることになります。

 ただし、立体商標の登録には、高いハードルがあります。商標
が保護するのは、典型的には商品名やロゴなどの商品の「印」が持
つ信用です。したがって、あるい立体形状が「商標」として登録さ
れるためには、その形状が、形を見ただけで「あの会社・ブランド
の、あの商品だ」と多くの消費者が識別できる目印として機能する
必要があります。

 それで、商品形状については、形状自体から立体商標として登録
できるほどの識別力が認められる場合は少なく、長期にわたる使用
実績が問われることが少なくありません。


(4)商品形態模倣(不正競争防止法2条1項3号)

 ある商品の形態の販売日から3年間は、これをほぼそっくりその
まま模倣したような他社の製品の販売を差し止めることができる権
利が定められています。

 この権利行使のためには、意匠や商標などの登録の必要がないと
いう点はメリットですが、他社の製品は単に類似するだけでは足り
ず、実質的に見て同一といえるほど酷似した商品ではないと権利行
使できないという点がデメリットといえます。


(5)最後に

 長くなりすぎますので、本稿では、(d)周知商品等表示(不正
競争防止法2条1項1号)と(e)著作権(著作権法)については
省略します。

 いずれにせよ、どの制度も「決め手」はありませんので、各制度
のメリットとデメリットを踏まえつつ、自社の商品の性質やデザイ
ンの重要性を踏まえて適切な戦略を取ることができると思います。




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4 弊所ウェブサイト紹介~商標法 ポイント解説
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弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企
業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。

例えば本稿のテーマに関連した商標法については

  http://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/shouhyou/index/

において解説しています。必要に応じてぜひご活用ください。

なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイト
において解説に加えることを希望される項目がありましたら、メー
ルでご一報くだされば幸いです。

 


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本稿の無断複製、転載はご遠慮ください。

ただし、本稿の内容を社内研修用資料等に使用したいといったお申
出については、弊所を出典として明示するなどの条件で、原則とし
て無償でお受けしています。この場合、遠慮なく下記のアドレス宛、
メールでお申出ください。
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【執筆・編集・発行】
弁護士・弁理士 石下雅樹(いしおろし まさき)

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