先日、高度成長期の昭和時代を舞台にした映画を観ていたら、当時のサラリーマンが
働いているシーンがありました。
「もうもうとタバコの煙が燻ぶるオフィス。登場人物たちは咥えタバコで電話をかけまくる。
深夜になっても書類の山をかき分けるように仕事を続ける」という描写は、高度成長期の象徴
としての職場シーンを描いたものでした。確かに私が現役でバリバリ(?)働いていた頃の
職場はこんな感じでした。
ずいぶん昔のこんなシーンを見ていると当時の猛烈社員時代を懐かしく思い出す一方で、
もし今、同じようなことをやっている会社があれば、間違いなく「ブラック企業」と
非難されるんだろうなとも思いました。
調べてみると、「ブラック企業」という言葉が使われ始めたのは、2000年代に入ってからのようです。
IT企業の、特にSE(システムエンジニア)たちがネットスラングとして使い始めたのが発祥だそうです。
当時は「IT企業
定年35歳説」なんていうのが、SEたちの間で囁かれていました。
あまりにも過酷な労働を強いられ、消耗品としてポイ捨てされる存在だったSEたちは、その過酷さ故に
35歳以上では働けない(もしくは35歳までにSEを辞めたい)という思いから使い始めたと言われています。
でも「ブラック企業」という言葉でこそ呼ばれなかったものの、ブラック企業的な職場は昔からありました。
戦後から高度成長期あたりの日本は、欧米に追いつけ追い越せを合言葉に働いていた時代です。
サラリーマンも、ガムシャラに働くこと、夜遅くまで働くことに、歪んだ優越感を感じ「うちの会社は、
俺が支えているんだ!」なんて自己満足を持っていました。
そんな意識が、サラリーマンたちを
過重労働(仕事があろうとなかろうと夜遅くまで会社に残ること)に
駆り立てていたように思います。
厳しい国際競争に晒される現在では、会社の屋代骨を支えてきた中間管理者層の中にも、会社の
人事制度変革の流れに乗れず辛い目に会ってしまう人も出て来ているようですが、
それでも部下からみれば、上司。
部下からその行動を見られています。こんな話が紹介された記事を見つけました。
(1)「ある資料がなくなったと職場が大騒ぎになったとき、上司は部下を疑っていたようなのですが、
実はその資料、上司本人が持っていたんです。途中で上司もそれに気づいたらしく“ここにあったぞ”と、
さも自分が見つけたかのように装っていましたが、周囲にはバレバレでした」。
(2)「いつもは電話をとらない上司が、たまたま内線と間違えて外線電話に出たところ、運が悪いことに
顧客からのクレームだったんです。すると電話口に向かって“僕、ペーペーなんでよく分りません、
担当者に代わります”と言いながら“頼む!電話代わってくれ!”と押し付けてきた。
いくらなんでも“それはないよ”と思いましたね」。
「上には逆らえないし、部下には尊敬されたいし」と上司だって辛いんです。
前回の「
パワハラ指針の骨子案」についての話は、如何でしたでしょうか。
今回は、「育休中社員からの
退職申出」についての話をします。
──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「育休中社員からの
退職申出」
───────────────────────────────
今月末で
育児休業が終了する社員が
育児休業終了後、残っている
年次有給休暇を全部消化
してから
退職したいという申出があった場合、会社としては、この申出を受けざるを
得ないのでしょうか?
まず、
育児休業期間中の
年次有給休暇の請求についてみてみると、
育児休業期間中は単に
会社に籍があるにとどまり、会社に対する労働の義務が免除されている期間といえます。
他方、社員の
年次有給休暇は、
賃金の減収を伴うことなく労働義務の免除を受けるものであって、
労働の義務がない日については
年次有給休暇を請求する余地が無いので、
育児休業期間中は
年次有給休暇を請求することができないということになります。つまり、
年次有給休暇を
請求するのであれば、いったん会社に復帰することが必要となります。
また、いったん復帰ということになると、
社会保険料の免除の対象ではなくなり、
会社、本人とも
保険料の負担が発生することになります。
ところで本件の場合、
育児休業中の社員が、
退職を希望しているとのことですので、
いずれにしても
退職日を特定してもらう必要があります。この場合、
退職日が
育児休業終了日と
同日である場合には、
年次有給休暇を請求することはできないということになりますので、
申出を受ける必要はありません。
しかし、
退職日が
育児休業終了日より後の日である場合には、
育児休業終了後いったん復帰する
ことを前提に、
退職日までの間の労働の義務のある日(労働日)について
年次有給休暇の請求が
あった場合には、認めないということはできません。
従って、その場合は
年次有給休暇を消化してもらうことになります。
なお、消化できなかった
年次有給休暇については、買い上げるか、本人に諦めてもらうかしか
ありません。もちろん、法律上は
退職までに
年次有給休暇を全部消化させなければならないと
いうものではありません。
事務所のホームページを更新しております。
ご興味のある方は、
http://www.node-office.com/index/index.html
または、
http://www.humansource.co.jp/ へどうぞ
当事務所所長 野手 茂 著の「サラリーマン講座
退職金・年金編」が 文芸社
より、全国書店、ネット書店で販売中です。
先日、高度成長期の昭和時代を舞台にした映画を観ていたら、当時のサラリーマンが
働いているシーンがありました。
「もうもうとタバコの煙が燻ぶるオフィス。登場人物たちは咥えタバコで電話をかけまくる。
深夜になっても書類の山をかき分けるように仕事を続ける」という描写は、高度成長期の象徴
としての職場シーンを描いたものでした。確かに私が現役でバリバリ(?)働いていた頃の
職場はこんな感じでした。
ずいぶん昔のこんなシーンを見ていると当時の猛烈社員時代を懐かしく思い出す一方で、
もし今、同じようなことをやっている会社があれば、間違いなく「ブラック企業」と
非難されるんだろうなとも思いました。
調べてみると、「ブラック企業」という言葉が使われ始めたのは、2000年代に入ってからのようです。
IT企業の、特にSE(システムエンジニア)たちがネットスラングとして使い始めたのが発祥だそうです。
当時は「IT企業定年35歳説」なんていうのが、SEたちの間で囁かれていました。
あまりにも過酷な労働を強いられ、消耗品としてポイ捨てされる存在だったSEたちは、その過酷さ故に
35歳以上では働けない(もしくは35歳までにSEを辞めたい)という思いから使い始めたと言われています。
でも「ブラック企業」という言葉でこそ呼ばれなかったものの、ブラック企業的な職場は昔からありました。
戦後から高度成長期あたりの日本は、欧米に追いつけ追い越せを合言葉に働いていた時代です。
サラリーマンも、ガムシャラに働くこと、夜遅くまで働くことに、歪んだ優越感を感じ「うちの会社は、
俺が支えているんだ!」なんて自己満足を持っていました。
そんな意識が、サラリーマンたちを過重労働(仕事があろうとなかろうと夜遅くまで会社に残ること)に
駆り立てていたように思います。
厳しい国際競争に晒される現在では、会社の屋代骨を支えてきた中間管理者層の中にも、会社の
人事制度変革の流れに乗れず辛い目に会ってしまう人も出て来ているようですが、
それでも部下からみれば、上司。
部下からその行動を見られています。こんな話が紹介された記事を見つけました。
(1)「ある資料がなくなったと職場が大騒ぎになったとき、上司は部下を疑っていたようなのですが、
実はその資料、上司本人が持っていたんです。途中で上司もそれに気づいたらしく“ここにあったぞ”と、
さも自分が見つけたかのように装っていましたが、周囲にはバレバレでした」。
(2)「いつもは電話をとらない上司が、たまたま内線と間違えて外線電話に出たところ、運が悪いことに
顧客からのクレームだったんです。すると電話口に向かって“僕、ペーペーなんでよく分りません、
担当者に代わります”と言いながら“頼む!電話代わってくれ!”と押し付けてきた。
いくらなんでも“それはないよ”と思いましたね」。
「上には逆らえないし、部下には尊敬されたいし」と上司だって辛いんです。
前回の「パワハラ指針の骨子案」についての話は、如何でしたでしょうか。
今回は、「育休中社員からの退職申出」についての話をします。
──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「育休中社員からの退職申出」
───────────────────────────────
今月末で育児休業が終了する社員が育児休業終了後、残っている年次有給休暇を全部消化
してから退職したいという申出があった場合、会社としては、この申出を受けざるを
得ないのでしょうか?
まず、育児休業期間中の年次有給休暇の請求についてみてみると、育児休業期間中は単に
会社に籍があるにとどまり、会社に対する労働の義務が免除されている期間といえます。
他方、社員の年次有給休暇は、賃金の減収を伴うことなく労働義務の免除を受けるものであって、
労働の義務がない日については年次有給休暇を請求する余地が無いので、育児休業期間中は
年次有給休暇を請求することができないということになります。つまり、年次有給休暇を
請求するのであれば、いったん会社に復帰することが必要となります。
また、いったん復帰ということになると、社会保険料の免除の対象ではなくなり、
会社、本人とも保険料の負担が発生することになります。
ところで本件の場合、育児休業中の社員が、退職を希望しているとのことですので、
いずれにしても退職日を特定してもらう必要があります。この場合、退職日が育児休業終了日と
同日である場合には、年次有給休暇を請求することはできないということになりますので、
申出を受ける必要はありません。
しかし、退職日が育児休業終了日より後の日である場合には、育児休業終了後いったん復帰する
ことを前提に、退職日までの間の労働の義務のある日(労働日)について年次有給休暇の請求が
あった場合には、認めないということはできません。
従って、その場合は年次有給休暇を消化してもらうことになります。
なお、消化できなかった年次有給休暇については、買い上げるか、本人に諦めてもらうかしか
ありません。もちろん、法律上は退職までに年次有給休暇を全部消化させなければならないと
いうものではありません。
事務所のホームページを更新しております。
ご興味のある方は、
http://www.node-office.com/index/index.html
または、
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当事務所所長 野手 茂 著の「サラリーマン講座 退職金・年金編」が 文芸社
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