昨今の「働き方改革」の推進によって、企業では中間管理職に業務のシワ寄せが行っているとの話
をよく聞くようになりました。
働き方改革の本質は、企業が業務実態を分析、再検討して「無駄な仕事の整理」や「業務の効率化」など
によって業務量を減らし、長時間労働を削減するということにあるのですが、それが出来ている会社は
そう多くはないようです。それにもかかわらず、長時間労働を削減しようという社会的な風潮が強くなり、
特に若手社員には残業をさせづらくなってきました。でも仕事は、量・質ともに以前と変わりません。
そこで中間管理者層が、若手社員のやり残した業務をこなし、経営層やクライアントの要求水準に
応えなければならない羽目に追い込まれてしまったのです。
更に会社での在社時間制限も厳しくなってきました。夜遅くまで会社に残って仕事を続けるわけにも行きません。
その結果として「持ち帰り残業」が増えてしまったという例も出て来ているようです。
そんな管理職の現状を眺めている若手社員からは、“課長にはなりたくないよなぁ”とか
“あんなに働かされるなら、今の給料のままでいいわ”という声も、聞こえて来るそうです。
時代が変わり、働き方に対する考え方も時代の変遷とともに随分と変わって来ているのでしょうか?
こんな動きを反映して、仕事帰りの居酒屋でも酒の席の話題に“『ゆとり世代』は使えない”とか
“『団塊世代』は熱すぎて困る”とかの世代論が熱く語られるそうです。
でも、実際のところ「世代によってどんな特徴があるのか、自分がどの世代に入るのか」などを知らないまま
語られていることも少ないようですが………。
今でも何かにつれて語られる『団塊世代』)とは、オイルショック後の日本経済が、世代の加齢とともにどのように
変容するかを描いた堺屋太一氏の小説の題名がその名前の由来だそうです。
その後を継いだのが『バブル世代』)。日本がバブル景気に沸き、企業の大量
採用期に社会人となりました。
“24時間戦えますか?”と高らかに歌う栄養ドリンク剤のテレビコマーシャルが大ヒットした時代です。
これに対し、『ゆとり世代』は、授業時間数の削減など「詰め込み教育からゆとり教育へ」の転換がはかられた時代に
学齢期を過ごした世代です。深夜まで働いて
残業代を稼ぐよりも、ワークライフバランスを重視。
「飲みに行くぞ」の誘いをきっぱりと断り、上司をがっかりさせることもあります。
「ブランドのバッグがほしい」「カッコイイ車に乗りたい」など、バブル世代が縛られている物欲からも解放されているようです。
世代とは、同じ時期に生まれ、育った時代環境を共有するグループを指します。世代が違えば、考え方や価値観は異なり、
戦後の短期間に激しい社会変化を経験した日本では、とくに世代間の価値観のギャップが顕著だと言われています。
それがもとで世代間に葛藤(断絶)が生じ、社会の様々なトラブルに繋がっているのかもしれません。
ゆとり世代の中には、新入社員として配属された部署で、「“私、カワイイから嫉妬されちゃって、あまりお仕事とか
教えてもらえないんですぅ~”と言った新人がいたり、
“教えてもらわなくても出来ます”と宣言した後、何にも出来ない事実が判明して落ち込んだりなどなど
私には信じられない「嘘のような話」が伝わってきます。
こんな時代の中間管理者は、きっと“サラリーマンは辛いなぁ”という言葉を実感しているかもしれません。
前回の「育休中社員からの
退職申出」についての話は、如何でしたでしょうか。
今回は、「
時間外労働の上限規制」についての話をします。
──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「
時間外労働の上限規制」
───────────────────────────────
2020年年4月1日から、中小企業でも
時間外労働は原則「1か月
45時間」「1年3
60時間」とされ、
36協定で
特別条項を定めた場合も法定の上限を超えると
罰則の対象となる「
時間外労働の上限規制」が適用されます。
厚生労働省では、この適用に向けて、今年度下半期を集中的施策パッケージの実施期間と位置づけ、
主に次のような取組みを行っています。
(1)
36協定未届
事業場への案内文の送付
今年度より
36協定未届で
労働者数が10人以上の
事業場等に「自主点検表」を送付し、提出を求めるだけでなく
個別訪問等も実施しています。集中的施策パッケージでは、この自主点検により把握した
36協定の届出が必要と
考えられる
事業場に対し、案内文を送付しています。
(2)
特別条項締結
事業場への集中対応
36協定の
特別条項は、通常予見できない業務量の大幅増加等の場合に限り、上記の限度時間を超えて働かせても
法違反とならない
免罰効果を有する定めですが、上限規制により、法定の時間を超えると6か月以下の懲役または
30万円以下の罰金に処せられます。
集中的施策パッケージでは、
時間外労働時間を月80時間超とする
特別条項付き36協定を届け出た
事業場に対する
説明会の開催、不参加
事業場への個別訪問等を実施して、上限規制への対応を求めています。
2020年4月1日以降を始期とする
36協定届は、新様式にて作成します。新様式には、上限規制について、
時間外労働時間に係るものと
時間外・休日労働時間の両方に係るもののいずれをもクリアしている内容を記載
しなければなりません。
また、新設されたチェックボックスへのチェック漏れがあるとその場で修正する「補正」ではなく「再提出」扱い
となってしまう等、記入上の注意点が複数あります。
さらに、
従業員代表者が不適格と判断される等により
36協定そのものが無効になってしまうと、
時間外・休日労働を
行わせること自体が違法行為となります。
来年度の
36協定届の作成と提出では、「年中行事の1つ」との楽観視はせずに、監督署に提出する前に専門家に
アドバイスを求めることをお勧めします。
事務所のホームページを更新しております。
ご興味のある方は、
http://www.node-office.com/index/index.html
または、
http://www.humansource.co.jp/ へどうぞ
当事務所所長 野手 茂 著の「サラリーマン講座
退職金・年金編」が 文芸社
より、全国書店、ネット書店で販売中です。
昨今の「働き方改革」の推進によって、企業では中間管理職に業務のシワ寄せが行っているとの話
をよく聞くようになりました。
働き方改革の本質は、企業が業務実態を分析、再検討して「無駄な仕事の整理」や「業務の効率化」など
によって業務量を減らし、長時間労働を削減するということにあるのですが、それが出来ている会社は
そう多くはないようです。それにもかかわらず、長時間労働を削減しようという社会的な風潮が強くなり、
特に若手社員には残業をさせづらくなってきました。でも仕事は、量・質ともに以前と変わりません。
そこで中間管理者層が、若手社員のやり残した業務をこなし、経営層やクライアントの要求水準に
応えなければならない羽目に追い込まれてしまったのです。
更に会社での在社時間制限も厳しくなってきました。夜遅くまで会社に残って仕事を続けるわけにも行きません。
その結果として「持ち帰り残業」が増えてしまったという例も出て来ているようです。
そんな管理職の現状を眺めている若手社員からは、“課長にはなりたくないよなぁ”とか
“あんなに働かされるなら、今の給料のままでいいわ”という声も、聞こえて来るそうです。
時代が変わり、働き方に対する考え方も時代の変遷とともに随分と変わって来ているのでしょうか?
こんな動きを反映して、仕事帰りの居酒屋でも酒の席の話題に“『ゆとり世代』は使えない”とか
“『団塊世代』は熱すぎて困る”とかの世代論が熱く語られるそうです。
でも、実際のところ「世代によってどんな特徴があるのか、自分がどの世代に入るのか」などを知らないまま
語られていることも少ないようですが………。
今でも何かにつれて語られる『団塊世代』)とは、オイルショック後の日本経済が、世代の加齢とともにどのように
変容するかを描いた堺屋太一氏の小説の題名がその名前の由来だそうです。
その後を継いだのが『バブル世代』)。日本がバブル景気に沸き、企業の大量採用期に社会人となりました。
“24時間戦えますか?”と高らかに歌う栄養ドリンク剤のテレビコマーシャルが大ヒットした時代です。
これに対し、『ゆとり世代』は、授業時間数の削減など「詰め込み教育からゆとり教育へ」の転換がはかられた時代に
学齢期を過ごした世代です。深夜まで働いて残業代を稼ぐよりも、ワークライフバランスを重視。
「飲みに行くぞ」の誘いをきっぱりと断り、上司をがっかりさせることもあります。
「ブランドのバッグがほしい」「カッコイイ車に乗りたい」など、バブル世代が縛られている物欲からも解放されているようです。
世代とは、同じ時期に生まれ、育った時代環境を共有するグループを指します。世代が違えば、考え方や価値観は異なり、
戦後の短期間に激しい社会変化を経験した日本では、とくに世代間の価値観のギャップが顕著だと言われています。
それがもとで世代間に葛藤(断絶)が生じ、社会の様々なトラブルに繋がっているのかもしれません。
ゆとり世代の中には、新入社員として配属された部署で、「“私、カワイイから嫉妬されちゃって、あまりお仕事とか
教えてもらえないんですぅ~”と言った新人がいたり、
“教えてもらわなくても出来ます”と宣言した後、何にも出来ない事実が判明して落ち込んだりなどなど
私には信じられない「嘘のような話」が伝わってきます。
こんな時代の中間管理者は、きっと“サラリーマンは辛いなぁ”という言葉を実感しているかもしれません。
前回の「育休中社員からの退職申出」についての話は、如何でしたでしょうか。
今回は、「時間外労働の上限規制」についての話をします。
──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「時間外労働の上限規制」
───────────────────────────────
2020年年4月1日から、中小企業でも時間外労働は原則「1か月45時間」「1年360時間」とされ、
36協定で特別条項を定めた場合も法定の上限を超えると罰則の対象となる「時間外労働の上限規制」が適用されます。
厚生労働省では、この適用に向けて、今年度下半期を集中的施策パッケージの実施期間と位置づけ、
主に次のような取組みを行っています。
(1)36協定未届事業場への案内文の送付
今年度より36協定未届で労働者数が10人以上の事業場等に「自主点検表」を送付し、提出を求めるだけでなく
個別訪問等も実施しています。集中的施策パッケージでは、この自主点検により把握した36協定の届出が必要と
考えられる事業場に対し、案内文を送付しています。
(2)特別条項締結事業場への集中対応
36協定の特別条項は、通常予見できない業務量の大幅増加等の場合に限り、上記の限度時間を超えて働かせても
法違反とならない免罰効果を有する定めですが、上限規制により、法定の時間を超えると6か月以下の懲役または
30万円以下の罰金に処せられます。
集中的施策パッケージでは、時間外労働時間を月80時間超とする特別条項付き36協定を届け出た事業場に対する
説明会の開催、不参加事業場への個別訪問等を実施して、上限規制への対応を求めています。
2020年4月1日以降を始期とする36協定届は、新様式にて作成します。新様式には、上限規制について、
時間外労働時間に係るものと時間外・休日労働時間の両方に係るもののいずれをもクリアしている内容を記載
しなければなりません。
また、新設されたチェックボックスへのチェック漏れがあるとその場で修正する「補正」ではなく「再提出」扱い
となってしまう等、記入上の注意点が複数あります。
さらに、従業員代表者が不適格と判断される等により36協定そのものが無効になってしまうと、時間外・休日労働を
行わせること自体が違法行為となります。
来年度の36協定届の作成と提出では、「年中行事の1つ」との楽観視はせずに、監督署に提出する前に専門家に
アドバイスを求めることをお勧めします。
事務所のホームページを更新しております。
ご興味のある方は、
http://www.node-office.com/index/index.html
または、
http://www.humansource.co.jp/ へどうぞ
当事務所所長 野手 茂 著の「サラリーマン講座 退職金・年金編」が 文芸社
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