こんにちは。社会保険労務士の田中です。
「昔からこの方法でやってきた…」
「前任者からこのように引き継いだ…」
長年に渡って、前任者からそのまま引き継いできた
労働法関連の誤った運用があります。
前回は、
1. 時間外手当の単価誤り
2. 振休と代休の誤った運用
についてお伝えしました。
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-174476/
今回は、
3. 就業規則が古い
4. 労使協定を締結していない
という、よくある誤った運用についてお伝えします。
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3.就業規則が古くなってしまった…
就業規則が最新の法令に合っていない、
社内ルールが変わったり、独自の運用をしているため、
就業規則と実態が乖離してしまった、
などという事は、多く見かけられます。
労働基準法、労働安全衛生法、労働契約法はじめ、
育児介護休業法など、労働法関連は近年、特に改正が多いです。
そして、就業規則がこれらの法改正を反映させていないと
「気付いたら、就業規則が古くなっていた」となってしまいます。
また、就業規則とは異なる、従業員に有利なルールを運用している
ケースもあります。これが労使慣行として長年、続いていると
それを正そうとしても難しいです。(実際にはできないでしょう。)
これらの問題は、普段は気づかないものです。
労使トラブルなどがあり、初めて表面化します。
そして、会社側に不利な展開になる可能性が高いです。
できれば1年に1回は、就業規則・給与規程等の
一連の規程類を見直すことをおすすめします。
特に社歴の長い企業では就業規則の改正がされていない事が散見されます。
4 賃金の控除についてなどの労使協定が締結されていない。
給与から「旅行積立」「社員会費」「食事代」等々を控除する場合、
「賃金の控除に関する労使協定」が必要です。(労基法第24条)
給与からは、社会保険料・所得税・住民税は控除できますが、
それ以外のお金は、労使協定を締結しないと控除できません。
賃金控除の労使協定は一度、締結すれば期限の定めはないので、
過去に締結していれば問題はありません。
しかし、締結から相当な年数が経過している場合、
労使協定そのものが無くなっていたり、
どこかに入り込んだりして、出てこない事があります。
また、古い協定では定めていない項目を、現時点の給与では
控除していることもあります。この場合は新たな協定が必要です。
これを機会に、「賃金控除の労使協定」を改めて締結して、
従業員に周知することをお奨めします。
なお、賃金控除の労使協定は労働基準監督への届け出は不要です。
締結した後は、社内で保管しておけばよいです。
その他、「1年単位の変形労働時間制」も会社カレンダーの作成に
エネルギーが向かい、労使協定を忘れていることが散見されます。
こちらは労働基準監督署への届け出をしておかないと、無効です。
そして、協定が無効になっていると次のような問題が起こります。
例えば、会社が労使協定は有効に成立していると誤認して、
土曜日の出勤日に割増賃金を支払っていないとします。
しかし、労使協定を労働基準監督署に届け出していなかったり、
労働者代表の選出に問題がある、などの事由で協定が無効であれば、
遡って土曜日の出勤に対しての割増賃金の支払いが発生します。
労使協定は締結していなかったり、内容に不備があっても
気付きにくいのですが、労使トラブルになると金銭的リスクが
大きくなる可能性が高いです。
労使協定の締結・運用も忘れずに定期的に見直してください。
なお、労働者代表の選出について厳しくなっています。
詳細は下記コラムをご確認ください。
過半数代表者の選出がより厳格になっています。(労基則6条の2)
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-174364/
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働き方コンプライアンスチェックを提供しています。
就業規則や、日々の運用、労使慣行などもチェックします。
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今回も最後までお読みいただきありがとうございました。(2020.02.25)
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田中事務所 特定社会保険労務士 田中理文
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