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副業者に朗報 副業先で病気や怪我をした際の労災給付が増える。


2019年12月11日号 (no. 1160)
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http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【副業者に朗報 副業先で病気や怪我をした際の労災給付が増える】
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複数就業、労災対象に 兼業・副業促進に対応―厚労省
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019121000806

( - 引用開始 - )
 厚生労働省は10日、労働政策審議会の部会に複数の職場で就業する人に対する労災給付の方針を示し、了承された。休業補償については、労働災害が起きた職場と他の職場の賃金を合算して金額を決め、実際の収入額に応じた給付が受けられるようにする。政府は労働者の兼業や副業を促進しており、働き方の多様化に合わせ、セーフティーネットを拡充する。
 厚労省は来年の通常国会に関連法の改正案を提出し、来年度中の施行を目指す。
 これまでは労災が起きた職場の賃金に基づき給付額を決定。このため、他の仕事を休むことになってもその分の賃金が反映されず、複数就業者に対する給付額は少なくなっていた。
( - 引用終了 - )



■1人で2つ以上の仕事をするのは珍しくない。

1人につき1つの仕事、というのが今までの当たり前の考え方、というか働き方でしたが、
1人で複数の仕事、つまりは副業する人が増えつつあります。

例えば、フルタイムで仕事をしつつ、空いてる時間や休みの日に、パートタイムで仕事をする。他には、パートタイムの仕事を2つやってるとか、3つやってるとか、そういう働き方もあります。

さらに、フルタイムの仕事と自営業を組み合わせる、自営業の仕事とパートタイムの仕事を組み合わせるとか、このような副業の形もあります。

収入が増えるのはもちろんですが、普段とは違う仕事ができて気分転換になるでしょうし、副業と思ってやっていたことが大きくなって、メインの仕事に変わったという方もいらっしゃるのでは。

何が副業で、何が本業なのか。そこを厳密に分けるのは、難しい時もあって、単純に収入だけで主従関係を決める、というのも何だか実態に合っていない感じがします。気持ちの込め具合だとか、コミットの程度とか、自分の好き嫌いで主従を決めるなど、基準は人によって変わるでしょう。

本業が疎かになる、情報の漏洩が、などの理由で副業を禁止する事業所もあるでしょうが、「仕事が終わった後に何をするかは勝手だ」、「休みの日に何をするかまで会社は介入できないだろう」と反発を受けると、これに対して会社側が切り返すのは困難です。



■複数の職場で就業する人に対する労災給付とは何か。

普段はフルタイムでの仕事だけしかしてない方だと、イメージしにくいのですが、労災保険というのは、会社で働く人は自動的に加入するもので、従業員本人は保険料を負担していません。会社が労災保険保険料を全額負担しています。

雇用保険料健康保険料、厚生年金保険料は、給与明細に記載されていて、本人もその半分を負担してるのですが、労災保険の場合は、会社が保険料を全て払っています。

そのため、給与明細に表示されておらず、加入してるのかどうかが従業員には分かりにくいのです。労働保険が適用されている事業所ならば、自動的に従業員労災保険に入っていると考えて良いでしょう。稀に、労災保険雇用保険が適用されていない事業所がありますが、未適用事業所と言われ、労働基準監督署から指導を受けます。

仮に2つの会社で働いてるとすると、労災保険にも2つ入っている状態になります。

「ん? どういうこと?」と思うでしょうが、労災保険は事業所ごとにアカウントが分かれていて、A事業所とB事業所で働いている方がいれば、その人はAとB、両方の事業所で労災保険に入っているわけです。

健康保険だと、保険証は1枚だし、公的な保険に2つ入ると言うのはイメージしにくいですが、労災保険は、働いている事業所の数だけ加入するようになっています。従業員の立場では。

ですから、3つの職場で働いていれば、労災保険に3つ加入しているわけです。5つの職場で働いていれば、5つの労災保険に入っているのです。労災保険は1種類だけですが、それに重複して加入していると考えてください。

労災保険は、労災事故が起こった事業所での収入を基準にして、その給付額が決まる仕組みです。特に、「労災事故が起こった事業所での収入を基準にして」という部分がポイントです。

例えば、月収150,000円の収入を得ている職場(副業先の仕事だとしましょう)で、病気や怪我をすれば、その月収150,000円を基準に、労災保険の給付額も決まるわけです。

ここまでは何も問題ありませんよね。。

では、他の職場で、月収500,000円の収入を得ていたとすると、この人の総収入は、合計で月に650,000円になります。

650,000円ということは、その収入を基準に、本来だったら労災保険の給付を決めてもらわないといけないはずです。

労災事故で休業して条件を満たすと、休業補償給付が支給されます。

これは労災の事故によって、休業することになった場合に給付されるものですが、おおよそ収入の8割になります。厳密には給付基礎日額という数字に支給率を掛け合わせて、給付額を算出しますが、ここでは収入の8割が休業補償給付として支給されるとします。

この休業補償給付が支給されるとして、月収150,000円を基準に支給されると、月120,000円の給付額になります。

一方で、月収650,000円を基準にすると、520,000円が休業補償給付の金額になります。この両者の違いが問題だと指摘されてきました。

副業先の収入を基準に、労災給付の中身を決められてしまうと、本来支給されるべき金額よりも少なくなってしまいます。そのため、その人が得る収入の総額を基準にして支給した方が良いのではないか、と議論されてきました。

制度が改正され、労災給付の金額を決める時は、副業先だけでなく、他の仕事からの収入も勘案する、というのが改正の中身です。



■恩恵を受けるのは、会社員の身分を複数持っている人。

会社員としての身分を複数持って働いてる人は、今回の改正によって利益を受けるでしょう。

フルタイムでの仕事とパートタイムの仕事を組み合わせている人。他には、パートタイムの仕事を2つやっているとか。複数の会社で働いているというのがポイントです。

ですから、自営業者とか、自分で法人を持って働いてる人が、他に副業で働いた場合は、今回の改正の対象外になる場合があります。複数の会社で、労災保険に複数加入する必要がありますから。

複数の会社で、労災保険に加入しており、主な収入を得る職場がまず1つあって、その他に1つ、2つ、細かな収入、月収100,000円位のものがある方は、良い意味で影響受けるでしょう。

なぜこの改正が実現できたかというと、まず労災保険は事業主から保険料を回収しているし、実際に支払った賃金をベースに保険料を決めていますから、副業をしている人がいたとしても、労災保険料はきっちりと回収できます。

そのため、副業者に対して、複数の就業先の収入を合算して、労災の給付を実施したとしても、財政面では問題ないのです。

なお、制度が変わる時期は、2020年度中と予定されています。 

一方、社会保険に関しては、複数の就業先での収入を合算して、保険料をどうのこうのするには解決し難い点があって、おそらく実現はしないだろうと思います。

労災保険には加入条件というものがなく、従業員側に、例えば週25時間以上働いてる人が加入対象になるとか、月に 70,000円以上の収入がある人が対象だとか、そういう基準がないので、複数の就業先の収入を合算して加入者を取り扱っても支障があまりないのです。

一方で、社会保険には、従業員側に加入条件があり、月収88,000とか、月に30時間弱働くなどの基準があり、副業先もそういう条件を満たせるのかどうか、足並みを揃えるのが難しいのです。加入条件を満たしていない事業所から社会保険料を回収することはできませんから。

そのため、社会保険の場合は、複数の就業先の収入を合算して加入する、という仕組みにするのは難しいわけです。




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メールマガジン【本では読めない労務管理のミソ】のご紹介


内容の一例・・・
『定額残業代残業代は減らせるのか』
『15分未満の勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=法定休日と思い込んではいけない』
半日有給休暇半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』

など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。

本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。



【本では読めない労務管理のミソ】
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https://www.growthwk.com/entry/2008/05/26/125405?utm_campaign=soumu_cm_common_20191211_1



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合格率0.07%を通り抜けた大学生。


今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。

子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。

「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。

私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。

実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。


どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。

そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。


https://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_campaign=soumu_cm_common_20191211_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡



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【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】

高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
https://www.growthwk.com/entry/2019/11/08/214715?utm_campaign=soumu_cm_common_20191211_3


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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
https://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_campaign=soumu_cm_common_20191211_4



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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。


一例として、

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休振替休日はいつまでに取ればいいの?


このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

▽    ▽   『仕事のハテナ 17のギモン』    ▽    ▽
https://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_campaign=soumu_cm_common_20191211_5



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