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利益があるから診断書や領収書を偽造する。

2019年11月30日号 (no. 1164)
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http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【利益があるから診断書や領収書を偽造する。】
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診断書偽造、283日不正休暇 職員を懲戒免職―関東農政局
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112901016

( - 引用開始 - )
 診断書を偽造するなどして不正に病気休暇や特別休暇を計283日取得したとして、農林水産省関東農政局は29日、同局消費・安全部の新井次男主任広域監視官(55)を懲戒免職処分とした。監視官は不正を認めているという。同局は不正分の賃金に相当する約600万円の返還を求めており、刑事告訴も検討している。

 同局によると、新井監視官は2013年1月~18年12月の間、医師の診断書などの証明書類計62通を偽造するなどし、病気休暇と特別休暇計283日4時間15分を不正取得していたという。
 ( - 引用終了 - )



■診断書を信用する人。診断書で騙される人。

医師の診断書があれば、有給で休むことができる。ならば、診断書を自分で作ってしまえばいいじゃないか。そう思う人が出てくるのは無理からぬ事。

ただの病気欠勤だと、給与が出ませんし、人事評価にも影響があるでしょうから、休む側の気持ちとしては、診断書を持って行って有給の休みにしたいと思うもの。

病気で休むとき、その場の気分で「じゃあ、診断書持ってきて」などと言う人がいますが、診断書を作ってもらうのはタダではありませんし、就業規則に予め定めていることも必要です。

人によって対応を変える人もいて、ある人には診断書を求めないのに、別の人には診断書を要求するなんてこともあります。普段から仲の良い人は診断書を持ってこなくていいが、それ以外の人には診断書を要求する。もはや職場のルールや就業規則など無関係で、マイルールで労務管理をやっているとこんなことも起こります。

約6年間で283日の休暇ですから、1年あたり40日強、つまり1年のうち1割は不正な休暇だったというわけです。

病気で休むことは誰にでもあることですけれども、10日に1日程度のペースで病気欠勤する人がいたら、何だか変だよねと感じることもあったのでは。

インフルエンザや感染性胃腸炎だと数日で治癒しますし、症状も比較的はっきりしていますから、診断書を自分で作るのは難しいのではないかと思います。他方で、うつ病の診断となると、本人の自己申告によるところもありますし、医師も客観的に診断しにくいものですから、実際に症状はないのに診断書が作られてしまう可能性もありそうです。

どのような症状で診断書が作成されていたのかは明らかではありませんが、6年間で62通の診断書を作ったとなれば、おそらく精神疾患を装って作り出したものではないかと想像します。インフルエンザなど症状がはっきり出るものは、頻繁に罹患するものではありませんし、精神疾患だと外見から判断しづらいので、診断書を偽造するには好都合です。「詐病利得」という言葉もあるぐらいですからね。

受け取る方は、医師の診断書だからという理由でチェックもせずに受け付けてしまいがちです。一方、渡す方は、診断書があれば有給で休めるという利益があるため、何か理由を付けて診断書を作り出してやろうという不順な動機を持ちやすいものです。

 

■利益があるから書面を偽造する。

診断書の偽造は領収書の偽造に通じるところがあります。

世の中には、領収書を打ち出の小槌のように使う人がいて、領収書を然るべきところに持っていけば、記載金額の現金を受け取れると考え、本来は支出していない領収書を作り出すわけです。

領収書を偽造し、お金を手に入れる。一時期、地方自治体で政務調査費に関するニュースが報道されていました。政務調査という名目で支出し、領収書を作ってもらえば、後日、その領収書を事務局に持っていくと現金が振り込まれる。他にも、切手を10万円ほど買って、それを政務調査費として、実質無料で切手を手に入れるとか。

領収書現金に変わるとなると、偽札作りのように、領収書を偽造する人が出てきます。これは政治家に限ったことではなく、民間企業でも起こります。

とある書類が経済的価値を生み出すとなると、それを自ら作り出そうとする人が出てきます。偽札などはその典型。他にも、コンサートのチケット、ギフト券などの金券、もう廃止されましたが高速道路の通行券も偽造のターゲットにされやすいものです。

診断書も、勤務先にそれを提出すれば、給与を貰いながら休めますので、金券類と同じです。

無給で休むだけならば、さほど利益はありませんが、有給となれば二重にオイシイ。だから、「よし、作ったれ」と悪いことをやっちゃう。

 

■その診断書、本当に必要ですか?

どういう場合に診断書が必要なのか。この基準がはっきりしない職場は少なくないのでは。

上司の気分次第で、診断書を要求したりしなかったり。これでは困るわけです。

風邪で休むときに診断書が必要でしょうか。
インフルエンザで休むときは診断書は要るのか。
感染性胃腸炎で休んだときはどうか。
うつ病で休んだときは必要なのか。

怪我の場合でも、転んで捻挫した程度で診断書が必要なのか。それとも骨折までしたらそれが必要なのか。

単に、ズル休みをさせないために診断書を要求しているだけでは、と疑いたくなるときもあるぐらい、どういう基準で診断書を求めているのかはっきりしないのです。

有給の病気休暇や特別休暇となると、給与が出るため、診断書が必要なのかもしれません。しかし、経済的利益があると書面は偽造されやすくなりますから、その点への対応が必要になります。

おそらく、無給の休暇だけならば、あえて診断書を偽造してまで休む人は少ないはずです。休めば収入がありませんし、ズル休みが続けば「アイツ、使えねーな」と他者からの評価も下がります。

どうしても診断書が必要だと考えるならば、書面を作成した相手先の医療機関に問い合わせるぐらいの気概を持たないといけないでしょう。私文書偽造や詐欺も関連してくる行為ですから、偽造されたものとなれば、医療機関の医師、診断書を持ってきた本人は責任を負います。

金銭がらみの不正は少額でも懲戒解雇としている会社もあります。不正に休暇を取り、給与が支給されたとなれば、懲戒解雇もあり得ます。

「調査なんて、面倒くさい」と思うならば、最初から診断書など求めないことです。取るだけ取って、確かな書面かどうかもチェックしない。だったら最初から取るな、と。

他には、有給の病気休暇を作らないのも対策の1つです。有給の休みは有給休暇だけに限定し、他の休暇は無給にしておくと、経済的利益がありませんから、診断書を偽造するインセンティブが減ります。

病気でそれなりの期間、休む場合は、健康保険から傷病手当金が支給されますから、なおさら病気休暇を有給にする必要はないのです。

無給でもズル休みしたい人がいるならば、それは勝手にさせておきます。給与も無しに休み続けるのは楽なものではありませんし、他者からの評価も下がります。




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メールマガジン【本では読めない労務管理のミソ】のご紹介


内容の一例・・・
『定額残業代残業代は減らせるのか』
『15分未満の勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=法定休日と思い込んではいけない』
半日有給休暇半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』

など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。

本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。



【本では読めない労務管理のミソ】
▽    ▽   <登録はこちら>    ▽    ▽
https://www.growthwk.com/entry/2008/05/26/125405?utm_campaign=soumu_cm_common_20201130_1



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合格率0.07%を通り抜けた大学生。


今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。

子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。

「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。

私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。

実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。


どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。

そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。


https://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_campaign=soumu_cm_common_20201130_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡



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【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】

高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
https://www.growthwk.com/entry/2019/11/08/214715?utm_campaign=soumu_cm_common_20201130_3


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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
https://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_campaign=soumu_cm_common_20201130_4



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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。


一例として、

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休振替休日はいつまでに取ればいいの?


このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

▽    ▽   『仕事のハテナ 17のギモン』    ▽    ▽
https://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_campaign=soumu_cm_common_20201130_5



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