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休業中の給与を補助 雇用調整助成金の支給率が最大90%に


2020年3月30日号 (no. 1169)
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http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【休業中の給与を補助する制度 雇用調整助成金の支給率が最大90%に。】
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■最大2/3の支給率を90%に引き上げ。


新型コロナウィルス感染症への対策の1つとして、2020年4月から雇用調整助成金の支給率が引き上げられます。

雇用調整助成金とは、仕事や注文が減ったり、お客さんが減って、従業員を休ませる時に、労働基準法26条に基づく休業手当を支払うと、その一部が助成金として補助される制度です。

雇用調整助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

休業手当とは、従業員を休ませたときに支払う給与です。仕事をしていなければ給与は出ない、と思っている方もいらっしゃるでしょうが、使用者の都合で従業員を休ませた場合は、一定額以上の給与(平均賃金の60%以上)を支払う必要があります。

従業員を休業で休ませて、休業手当を支払うと、雇用調整助成金を受給できるというわけです。

収益が減っている中、給与を払い続けるのは負担ですから、その負担を軽くするために雇用調整助成金が用意されているのです。

雇用調整助成金の支給率は、休業手当として支払った額の2/3もしくは1/2です。通常の場合は。

中小企業の場合は支給率2/3、大企業の場合は1/2となっています。支給額の上限額は、1日あたり8,330円。

この8,330円という金額は、雇用保険基本手当、つまり失業手当の1日あたりの金額の最も高い額と同じになっています。

45歳から59歳の人が離職して失業手当を受け取ると、最も上限額が高くなり、その額が8,330円になります。

雇用保険基本手当日額が変更になります ~令和 2 年 3 月 1 日から~
https://www.mhlw.go.jp/content/000602232.pdf


仮に休業手当として1日1万円を支給したとすると、中小企業の場合はその2/3ですから、約6,600円が助成金補助されます。

ただし、この金額が助成金として支給されるとしても、残りの約2,400円ほどは会社が負担しなければいけません。

助成金だけで休業手当の全額をカバーしてくれれば、事業主側の負担は楽になるのですけれども、雇用保険料社会保険料は発生しますから、人件費がゼロになるわけではないです。

雇用調整助成金の支給率を引き上げると、中小企業は支給率が90%になり、大企業は75%に変わります。

とはいえ、支給率が100%にならない限り、会社側の費用負担は続きます。

仮に、支給率を100%にしたとしても、1日あたり8,330円で助成金の額は上限に達しますから、無制限に助成金が増えていくことはありません。

支給率を引き上げるならば、予算の制約などもあるでしょうが、早い段階で助成金の支給率を100%にしてしまった方がいいのではないかと思います。

新型コロナウィルス感染症が収束するまで時間がかかると判断されれば、さらに雇用調整助成金の支給率が上がる可能性もありそうです。

上限額が1日あたり8,330円で、さほど高い水準ではないため、給与水準が高い人を休業させると、助成金では足りない場合もあります。

1日の給与が2万円の人を休業させると、その60%を休業手当として支払うとすれば、12,000円。この金額だと助成金の上限額8,330円を超えますから、超えた額は会社の資金から支払う必要があります。

雇用調整助成金を利用しても、現金は必要になりますので、融資で資金を集めておくよう行動しないといけません。




■無休で従業員を休ませることはできない。


一時帰休や自宅待機、休業など色々な表現がありますけれども、新型コロナウイルス感染症でお客さんが減ったり、注文が減ったりして、従業員を休ませた場合は、使用者の都合で休ませたことになり、給与を支払う必要があります。

「出勤していない、働いていないんだから、給与は払わなくてもいいんじゃないか」
「ノーワークノーペイでいいんじゃないか」

そう考える経営者の方や事業者の方がいるかもしれませんが、従業員雇用契約の通りに働けるにもかかわらず、使用者側の判断で仕事を休みにすると、休業手当という形で給与を支払わなければいけなくなるのです。

例えるならば、雇用契約における違約金のようなものです。

従業員を休ませれば人件費がかからない、賃金を払う必要がない、というのは間違いで、仕事を休ませても給料払わなければいけないのが雇用契約なのです。

給与(今回の場合は休業手当ですが)を払わずに、従業員を自宅待機させる会社もあるようですが、雇用契約で働いてもらっている従業員の場合は、無休で自宅待機させるのは法律違反になります。

なお、委託契約請負契約という形で働いている人の場合は、雇用契約ではありませんから、労働基準法26条は適用されません。

これはフルタイムで働いている従業員だけでなく、パートタイムで働いている従業員も同様です。

正社員を休ませた時は、休業手当を払わなければいけないけれども、パートタイムで働いている人たちを休ませた場合は、休業手当を払う必要はない、というものではないのです。

雇用契約を締結して働いてもらっている従業員ならば、全員が休業手当を支給される対象となるわけです。

夏に、台風が来て、雨や風が強いのに、小売チェーンや外食チェーンのお店が通常通りに営業していますが、休ませてしまうと給与を払う必要があると知っているため、臨時休業にしないのです。

休業する原因が新型コロナウイルス感染症なのだから、使用者の責任や都合ではないのではないか、そう考える使用者や事業主もいらっしゃるでしょう。

従業員が新型コロナウイルス感染症に感染して、仕事を休むことになったなら、それは本人の問題ですから、使用者の責任ではなく、休業手当の支払いも必要ありません。

しかし、働こうと思えば働ける人、病気や怪我をしてない人たちを休ませてしまうと、それは使用者の都合で休ませていることになるのです。

例えば、コールセンターで感染者が出たので、そのセンターで働く人全員を自宅待機させたとなれば、健康な人も多数含まれますから、その方々には休業手当を支払って休んでもらう必要があるのです。

ちなみに、夏に台風が来て、お客さんが少ないから仕事を休みにしたり、従業員を早退させたりした場合も、使用者の責任になります。

また、雪が降って、お客さんがお店に来ない。そのため、従業員を休みにしたり、早退させたりする。この場合も使用者の都合で労働者を休ませてることになり、休業手当が必要になります。

感染予防という理由であっても、健康な人を休ませると、休業手当が必要になる。このように理解していただくと良いでしょう。

営業を止めているのに給与は必要になるのですから、その費用負担を軽くするために、雇用調整助成金が用意されているのです。




■数日の臨時休業ならば、振替休日で対処可能。


営業を止めるといっても、数日ならば、他の出勤日と振り替えることで、休業を回避できます。

例えば、週末、土日の2日間だけ臨時休業にしたとすれば、その代わりに、他の休みの日を出勤日に変えて、休業日にならないようにします。

振替休日と同じ考え方です。

ただ、休業期間なり自粛期間が長期間、1ヶ月や2ヶ月となれば、振り替えて対処できる日数ではありませんから、その場合は休業手当を支給し、雇用調整助成金で負担を軽くする流れになります。




休業手当は必ずしも60%でなくてもいい。


労働基準法26条では、休業手当平均賃金の60%以上となっていますが、この条件を満たすならば、支給率を変えても構いません。

休業手当という名称ではなく、法律に基づいて付与されるものとは別枠で、特別有給休暇を付与しても休業手当を支払うのと同じ効果を得られます。

給与は全額支給(休業手当の支給率100%)、社会保険料は会社が全額負担(従業員負担の部分も含めて)。こういう会社もありました。2009年の初め、リーマンショックの頃の話ですが。

休業となれば、「会社が潰れるんじゃないか」と従業員が動揺するでしょうし、1ヶ月や2ヶ月で通常営業に復帰できる見込みがあるならば、給与や社会保険料でこのような対応をするのも1つの方法なのかもしれません。

資金に余裕があり、短期間で通常の営業状態に戻れるという会社に限りますが。






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メールマガジン【本では読めない労務管理のミソ】のご紹介


内容の一例・・・
『定額残業代残業代は減らせるのか』
『15分未満の勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=法定休日と思い込んではいけない』
半日有給休暇半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』

など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。

本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。



【本では読めない労務管理のミソ】
▽    ▽   <登録はこちら>    ▽    ▽
https://www.growthwk.com/entry/2008/05/26/125405?utm_campaign=soumu_cm_common_20200330_1



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合格率0.07%を通り抜けた大学生。


今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。

子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。

「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。

私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。

実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。


どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。

そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。


https://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_campaign=soumu_cm_common_20200330_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡



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【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】

高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
https://www.growthwk.com/entry/2019/11/08/214715?utm_campaign=soumu_cm_common_20200330_3


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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
https://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_campaign=soumu_cm_common_20200330_4



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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。


一例として、

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休振替休日はいつまでに取ればいいの?


このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

▽    ▽   『仕事のハテナ 17のギモン』    ▽    ▽
https://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_campaign=soumu_cm_common_20200330_5



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