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休日を減らして有給奨励日を設定してもいいのかどうか。


2019年10月16日号 (no. 1170)
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http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【休日を減らして有給奨励日を設定してもいいのかどうか。】
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ドトール、休日減らして「有給奨励日」に 有給取得の“水増し”に厚生労働省「望ましくない」
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1910/16/news012.html

( - 引用開始 - )
 「ドトールコーヒーショップ」を運営するドトールコーヒー(東京都渋谷区)は、今年度から本社の年間休日を「119日」に固定した。従来は土日祝日を公休日としていたが、変更により一部の祝日が出勤日となった形だ。出勤日となった祝日については「有給奨励日」という形を取っている。同社と、さらにグループ会社で厨房設備の販売などを手掛けるマグナ(東京都港区)の従業員が対象だという。労働組合はないため、過半数代表者の同意によって就業規則を変更した。
( - 引用終了 - )


従来は休みになっていた祝日が有給奨励日になり、休みが減ってしまっているのが問題のようです。

休日だったものが有給休暇に変わってしまうと、「休日 + 有給休暇」のところ「有給休暇」になりますから、休日が消滅します。

年に5日は年次有給休暇を取るように義務化され、それに対応するため祝日を有給休暇に変え、年間の休日日数の帳尻を合わせた結果とのこと。

年間休日の中に年次有給休暇の日数まで含めて固定されると、有給休暇が増えれば他の休日を減らさざるを得なくなります。

とはいえ、従業員にとっては、休日が1日なくなってしまい何だか納得できないところ。

 

有給休暇の取得を奨励することは構わない。

有給奨励日を設けることそのものは問題ありません。しかし、有給休暇を取得した日数の分だけ休日を減らしては従業員にとっては意味がない。言うなれば朝三暮四です。

休日から「休日 + 給与」という形に変わっていますから、若干の変化はありますが。

祝日が有給休暇に変わってしまうケースでは、祝日をどのように取り扱うかが問題となります。

法定休日を潰して有給休暇を取るのは労働基準法35条違反になりますが、それ以外の休日をどうするかは雇用契約就業規則で決めます。

例えば、毎週土日が休みだとして、日曜日は休日にして、土曜日を有給休暇に変えた場合。日曜日に法定休日を取れていますから、土曜日に有給休暇を入れたとしても、法律上の問題はありません。ただし、雇用契約就業規則に反する可能性はあります。

有給休暇の取得を奨励するならば、「毎月、有給休暇を1日取っていただくのが望ましい」という形で取得してもらうのも一案です。

勤務シフトを作成する段階で、毎月、どこかに1日の有給休暇を入れていく。仮に、月に1日の有給休暇を取り続けていくと、2年で24日になりますから、年次有給休暇時効で消滅することはありません。月に1日だけならば影響も大きくないのでは。

子供の運動会を見に行くというようなイベントに絡めて有給休暇を使ってもらうのも良い方法です。

運動会は日曜日に開催されるため、もともと日曜日が休みの職場では意味がないものの、年中無休のサービス業だと有給休暇を取って運動会を見に行くことができます。

学生ならばテスト休みに有給休暇を使ってもらう。風邪で休んだ日に有給休暇を使ってもらう。入学式や卒業式を見に行くために有給休暇を使ってもらう。

何らかのイベントに絡めて有給休暇を取るように奨励していけば、日数の消化も進むのではないでしょうか。

 

 
有給休暇を取得する期間と日数で条件を設定する。

他の方法としては、強制的に有給休暇を取らせるのではなく、まずは任意で取得してもらい、一定期間内に取得日数が少ない人は、会社が時季指定するというのもありです。

例えば、4月から9月までに有給休暇を3日以上取得する。さらに、10月から翌年3月までに有給休暇を3日以上取得する。これだと年間で6日以上になるので、年5日の義務ラインを超えることができます。

期間ごとにリミットを設定して、有給休暇を取っていく。指定の日数以上に有給休暇を取得できていれば、会社が時季指定する必要はなくなります。

従業員にとっては、自分のスケジュールで有給休暇を入れることができます。一方、会社にとっては、時季指定する手間を省ける。一石二鳥です。

このように有給休暇を取得する期間と日数にリミットを設定して運用するのが良いのではないかと思います。

休みだった日を有給休暇に変える。これは就業規則を変更すれば実現可能ではあります。

しかし、職場では今まで祝日は休みだったという既得権が出来上がっており、ここが就業規則を変更する際の壁になります。


 

有給休暇は使えば無くなる。

日数無制限で有給休暇を使えるものではなく、勤務形態や勤続年数で変わりますが、年間で最大でも20日付与されるにとどまります。

毎月1日ずつ使っていくと、2年で全て消化してしまう程度のものですし、使えるときに使ってもらうぐらいの対応で良いのではないかと思います。

有給休暇は給与と同じぐらい関心度が高いところで、有給休暇を使いにくくするのは給与を減らすぐらい印象の悪いものです。

有給休暇の使い方で嫌な思いをして、従業員が辞めて、また新しい人を採用して、教育したものの、また辞める。

人が辞めやすい職場になり、有給休暇を取らせているよりも費用がかかる可能性もあるのでは。

逆に解釈すると、有給休暇を取りやすい職場は人が辞めにくい職場なのだろうと思えます。

年次有給休暇をいかに満足できる形で使ってもらえるか。これは給与や賞与と同じように考えていかないといけないところです。法律だけでなく、人の感情も考えていくのが労務管理なのです。






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メールマガジン【本では読めない労務管理のミソ】のご紹介


内容の一例・・・
『定額残業代残業代は減らせるのか』
『15分未満の勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=法定休日と思い込んではいけない』
半日有給休暇半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』

など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。

本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。



【本では読めない労務管理のミソ】
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https://www.growthwk.com/entry/2008/05/26/125405?utm_campaign=soumu_cm_common_20191016_1



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合格率0.07%を通り抜けた大学生。


今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。

子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。

「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。

私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。

実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。


どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。

そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。


https://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_campaign=soumu_cm_common_20191016_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡



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【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】

高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
https://www.growthwk.com/entry/2019/11/08/214715?utm_campaign=soumu_cm_common_20191016_3


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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
https://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_campaign=soumu_cm_common_20191016_4



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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。


一例として、

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休振替休日はいつまでに取ればいいの?


このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

▽    ▽   『仕事のハテナ 17のギモン』    ▽    ▽
https://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_campaign=soumu_cm_common_20191016_5



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