2019年7月29日号 (no. 1174)
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本日のテーマ【副業の
残業代を出したくても出せない事情。】
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■
労働時間を通算できる環境なのかどうかが境目。
以前書いた内容(副業・兼業の
労働時間を通算して
残業代を払える?
https://www.growthwk.com/entry/2019/07/25/124012)への追記に近い内容ですが、副業の
労働時間も合算して
割増賃金を計算するのかどうかという話です。
【主張】通算
労働時間管理で警鐘 労働新聞社
https://www.rodo.co.jp/column/76189/
( - 引用開始 - )
三重・伊賀
労働基準監督署(久保田洋一署長)は、
労働基準法第38条の異なる
事業場で働かせた場合の
労働時間通算規定を適用し、違法
時間外労働として
事業者を書類
送検した。
(中略)
労働時間を通算した結果、法定時間を超えると
36協定の締結、
割増賃金支払いが必要となる。
割増賃金の支払い義務が課されるのは、原則として時間的に後で
労働契約を締結した企業と解釈している。後で
労働契約を締結した企業は、その
労働者が他の企業で何時間労働しているかを確認したうえで
契約すべきということになろう。
( - 引用終了 - )
労働基準法38条1項(以下、38条1項)を適用した事例ですが、これは
事業場は異なるものの、事業主が同一であるため、勤怠データを集約できるため、
労働時間も通算できます。それゆえ、38条1項を適用させて、通算した
労働時間で
時間外労働が発生したかどうかを判定したわけです。
労働基準法38条1項
労働時間は、
事業場を異にする場合においても、
労働時間に関する規定の適用については通算する。
さらに読むと、『伊賀労基署の
送検は、問題となった2つの
事業場が同一事業主により経営されていたため、責任の所在は明白という特殊性はあるものの』と書かれています。
同一事業主により経営されている、という点が重要です。事業主が同じならば、
事業場が異なっていても、
労働時間のデータを集めることができますから、
労働時間を通算する必要があるのです。
珍しい事例であるかのように紹介されていますが、事業主が同一のケースならば38条1項が適用されるのは当然です。
問題になるのは、事業主が異なる場合でも38条1項を適用し、
労働時間を通算できるのかどうかです。
■他の会社の勤怠情報は流れてこない。
<働き方改革の死角>「副業の
労働時間 合算せず」 企業の管理義務廃止案
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201907/CK2019072502000143.html
38条1項の規定を削除するとの検討がなされているようで、この点に対して、長時間労働を許すような結果を招き、懸念があると書かれています。
なぜ38条1項を削除しようとしているのかというと、この規定が現実的に使いにくいものだからです。
先程のように、同一事業主であり
事業場を異にする場合は、38条1項を適用できます。しかし、複数の職場で働いており、それぞれ異なる事業主である場合は38条1項を適用したくてもできません。
なぜならば、他社の勤怠データを取得できないため、正確な
労働時間を把握できず、さらに、仮に何らかの方法で
労働時間を通算できたとしても、
割増賃金を支払うのはどこの会社なのかを判断できないからです。
労働者に他社での
労働時間を自己申告してもらうという話もありますが、他社で働くことを良しとしない会社ならば、自己申告すればあまり良い評価をされない可能性の方が高いですし、自己申告してネガティブな
人事評価をされるなら黙っておこうと考えるものです。
仮に申告してもらったとしても、正確な
労働時間を伝えてくる保障はありません。自己申告で勤怠データを集めようなどと本気で言っているのか分かりませんが、現実的な解決策ではありません。
『「副業先を含めた
労働時間の管理が大変」とする企業が多く』という部分に対しては、そもそも副業先の事情まで考慮する必要はありませんし、そこで何時間働いているかまで把握しろと求めるのは酷です。
38条1項を適用できるのは、事業主が同一の場合だけです。事業主が異なってしまえば、もう勤怠データを集めることができませんから、副業先の
労働時間を管理することなど無理です。
この38条1項は拡大解釈されているフシがあり、同一事業主だけでなく異なる事業主の場合にまで適用されるかのように思われていますが、異なる事業主の場合にまで適用するのは困難です。
■
割増賃金を支払うのはどこの会社?
『複数の企業で働き、通算
労働時間が法定を超えた場合は、後から
雇用契約を結んだ企業が
割増賃金を払う』という部分も、実際にこういう支払いができるのかというと、まず不可能です。
時間的に後で
雇用契約を締結したほうが
割増賃金を支払うという理屈だと、あとから
雇用契約を締結した方の事業主は納得しません。
仮に、会社Aで週25時間、会社Bで週23時間働いている人がいて、
雇用契約を締結したのは会社Aの方が先だとしましょう。
この場合、週に8時間の
時間外労働が発生しますが、この
割増賃金を支払うのは会社Bになってしまうわけです。
こうなると、会社Bは、「うちでは週23時間しか働いてもらっていないのに、なぜ
時間外労働に対する
割増賃金を払わないといけないのか」と反発するでしょう。これは当然の反応です。
雇用契約の時間的前後で
割増賃金の支払い主体が変わるというのは不合理です。
事業主が異なっている場合は、38条1項は適用したくてもできないのが現実です。それゆえ、38条の内容を削除するかどうかを検討しているというわけなのです。
会社員の身分を2つ以上持たなければ、この問題に直面しませんから、「会社員 + 自営業」だとか、「会社員 + 会社経営」のように違う働き方を組み合わせるようにすれば
労働者個人で自衛策を講じることができます。
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メールマガジン【本では読めない
労務管理のミソ】のご紹介
内容の一例・・・
『定額
残業代で
残業代は減らせるのか』
『15分未満の
勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の
変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=
法定休日と思い込んではいけない』
『
半日有給休暇と
半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は
賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』
など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。
本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。
【本では読めない
労務管理のミソ】
▽ ▽ <登録はこちら> ▽ ▽
https://www.growthwk.com/entry/2008/05/26/125405?utm_campaign=soumu_cm_common_20190729_1
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合格率0.07%を通り抜けた大学生。
今、私はこうやって
社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。
子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く
認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が
社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。
私が
社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが
社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、
社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。
「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、
社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。
私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。
実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって
社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
とはいえ、学生の人が
社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。
そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。
https://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_campaign=soumu_cm_common_20190729_2
大学生が独学で
社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡
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【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の
従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で
労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の
従業員と同じ。
週3日出勤で
契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には
有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない
労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような
労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの
労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
https://www.growthwk.com/entry/2019/11/08/214715?utm_campaign=soumu_cm_common_20190729_3
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残業で悩んでいませんか?
「長時間の残業が続いている」
「
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」
こういう悩み、よくありますよね。
ニュースでも未払い
残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。
法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、
割増賃金が必要になります。
とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?
毎日8時間の時間制限があると、柔軟に
勤務時間を配分できませんよね。
例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
仕事に合わせて、ある日は
勤務時間を短く、ある日は
勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。
「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。
『残業管理のアメと罠』
https://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_campaign=soumu_cm_common_20190729_4
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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、
雇用保険や
社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、
休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。
有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が
労務管理では起こります。
一例として、
Q:会社を休んだら、
社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:
休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、
残業代が増える?
Q:喫煙時間は
休憩なの?
Q:
代休や
振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
▽ ▽ 『仕事のハテナ 17のギモン』 ▽ ▽
https://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_campaign=soumu_cm_common_20190729_5
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本日のテーマ【副業の残業代を出したくても出せない事情。】
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■労働時間を通算できる環境なのかどうかが境目。
以前書いた内容(副業・兼業の労働時間を通算して残業代を払える?
https://www.growthwk.com/entry/2019/07/25/124012)への追記に近い内容ですが、副業の労働時間も合算して割増賃金を計算するのかどうかという話です。
【主張】通算労働時間管理で警鐘 労働新聞社
https://www.rodo.co.jp/column/76189/
( - 引用開始 - )
三重・伊賀労働基準監督署(久保田洋一署長)は、労働基準法第38条の異なる事業場で働かせた場合の労働時間通算規定を適用し、違法時間外労働として事業者を書類送検した。
(中略)
労働時間を通算した結果、法定時間を超えると36協定の締結、割増賃金支払いが必要となる。割増賃金の支払い義務が課されるのは、原則として時間的に後で労働契約を締結した企業と解釈している。後で労働契約を締結した企業は、その労働者が他の企業で何時間労働しているかを確認したうえで契約すべきということになろう。
( - 引用終了 - )
労働基準法38条1項(以下、38条1項)を適用した事例ですが、これは事業場は異なるものの、事業主が同一であるため、勤怠データを集約できるため、労働時間も通算できます。それゆえ、38条1項を適用させて、通算した労働時間で時間外労働が発生したかどうかを判定したわけです。
労働基準法38条1項
労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
さらに読むと、『伊賀労基署の送検は、問題となった2つの事業場が同一事業主により経営されていたため、責任の所在は明白という特殊性はあるものの』と書かれています。
同一事業主により経営されている、という点が重要です。事業主が同じならば、事業場が異なっていても、労働時間のデータを集めることができますから、労働時間を通算する必要があるのです。
珍しい事例であるかのように紹介されていますが、事業主が同一のケースならば38条1項が適用されるのは当然です。
問題になるのは、事業主が異なる場合でも38条1項を適用し、労働時間を通算できるのかどうかです。
■他の会社の勤怠情報は流れてこない。
<働き方改革の死角>「副業の労働時間 合算せず」 企業の管理義務廃止案
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201907/CK2019072502000143.html
38条1項の規定を削除するとの検討がなされているようで、この点に対して、長時間労働を許すような結果を招き、懸念があると書かれています。
なぜ38条1項を削除しようとしているのかというと、この規定が現実的に使いにくいものだからです。
先程のように、同一事業主であり事業場を異にする場合は、38条1項を適用できます。しかし、複数の職場で働いており、それぞれ異なる事業主である場合は38条1項を適用したくてもできません。
なぜならば、他社の勤怠データを取得できないため、正確な労働時間を把握できず、さらに、仮に何らかの方法で労働時間を通算できたとしても、割増賃金を支払うのはどこの会社なのかを判断できないからです。
労働者に他社での労働時間を自己申告してもらうという話もありますが、他社で働くことを良しとしない会社ならば、自己申告すればあまり良い評価をされない可能性の方が高いですし、自己申告してネガティブな人事評価をされるなら黙っておこうと考えるものです。
仮に申告してもらったとしても、正確な労働時間を伝えてくる保障はありません。自己申告で勤怠データを集めようなどと本気で言っているのか分かりませんが、現実的な解決策ではありません。
『「副業先を含めた労働時間の管理が大変」とする企業が多く』という部分に対しては、そもそも副業先の事情まで考慮する必要はありませんし、そこで何時間働いているかまで把握しろと求めるのは酷です。
38条1項を適用できるのは、事業主が同一の場合だけです。事業主が異なってしまえば、もう勤怠データを集めることができませんから、副業先の労働時間を管理することなど無理です。
この38条1項は拡大解釈されているフシがあり、同一事業主だけでなく異なる事業主の場合にまで適用されるかのように思われていますが、異なる事業主の場合にまで適用するのは困難です。
■割増賃金を支払うのはどこの会社?
『複数の企業で働き、通算労働時間が法定を超えた場合は、後から雇用契約を結んだ企業が割増賃金を払う』という部分も、実際にこういう支払いができるのかというと、まず不可能です。
時間的に後で雇用契約を締結したほうが割増賃金を支払うという理屈だと、あとから雇用契約を締結した方の事業主は納得しません。
仮に、会社Aで週25時間、会社Bで週23時間働いている人がいて、雇用契約を締結したのは会社Aの方が先だとしましょう。
この場合、週に8時間の時間外労働が発生しますが、この割増賃金を支払うのは会社Bになってしまうわけです。
こうなると、会社Bは、「うちでは週23時間しか働いてもらっていないのに、なぜ時間外労働に対する割増賃金を払わないといけないのか」と反発するでしょう。これは当然の反応です。
雇用契約の時間的前後で割増賃金の支払い主体が変わるというのは不合理です。
事業主が異なっている場合は、38条1項は適用したくてもできないのが現実です。それゆえ、38条の内容を削除するかどうかを検討しているというわけなのです。
会社員の身分を2つ以上持たなければ、この問題に直面しませんから、「会社員 + 自営業」だとか、「会社員 + 会社経営」のように違う働き方を組み合わせるようにすれば労働者個人で自衛策を講じることができます。
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メールマガジン【本では読めない労務管理のミソ】のご紹介
内容の一例・・・
『定額残業代で残業代は減らせるのか』
『15分未満の勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=法定休日と思い込んではいけない』
『半日有給休暇と半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』
など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。
本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。
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合格率0.07%を通り抜けた大学生。
今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。
子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。
私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。
「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。
私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。
実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。
どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。
社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。
とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。
そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。
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大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡
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【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】
高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。
中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。
若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。
それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。
もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。
週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。
休憩時間無しで働いている。
採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。
「学生には有給休暇が無い」と言われた。
テスト休みを取って時給を減らされた。
など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。
何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。
(知らないからといって許されるものではありませんけれども)
このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。
一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。
学生から好まれる職場と嫌われる職場。
その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。
「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
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残業で悩んでいませんか?
「長時間の残業が続いている」
「残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」
こういう悩み、よくありますよね。
ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。
法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。
とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?
毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。
例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。
仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。
でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。
「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。
『残業管理のアメと罠』
https://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_campaign=soumu_cm_common_20190729_4
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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。
他には、雇用保険や社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。
労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。
しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。
一例として、
Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休や振替休日はいつまでに取ればいいの?
このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。
▽ ▽ 『仕事のハテナ 17のギモン』 ▽ ▽
https://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_campaign=soumu_cm_common_20190729_5
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