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喫煙者にペナルティを課すのではなく、喫煙しない人へご褒美を。


2019年7月2日号 (no. 1177)
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http://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/





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---3分労働ぷちコラム---
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本日のテーマ【喫煙者にペナルティを課すのではなく、喫煙しない人へご褒美を出す。】
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■改正健康増進法、第二段階施行。

2018年7月25日に公布された改正健康増進法は、3つの段階に分けて施行されています。

受動喫煙対策(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000189195.html

まず2019年1月24日に一部が施行され、さらに7月1日から第二段階の内容が施行されました。2020年4月になれば改正内容が全面施行され、飲食店や事務所なども対象になります。

2019年7月1日からは、学校や病院など、法律では第一種施設と呼ばれていますが、やや公的な施設で敷地内禁煙となります。

病院ではすでに禁煙となっているところがほとんどですし、大きな病院に行くと喫煙室が設けられていて、その場所に限って喫煙可能となっています。

学校では、構内に灰皿は無いものの、建物の外に灰皿を置いて喫煙所にしているところがあります。この場合も、煙が流れていかないように措置をとっていく必要があります。

2019年1月24日の第一段階では、喫煙時に周囲の状況に配慮するところまででしたが、7月の第二段階では「禁煙」という言葉を出して制限を強めています。

規制を強める一方で、受動喫煙を防ぐためには相応の設備が必要ですから、そのための助成金が用意されています。

受動喫煙防止対策助成金(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000049868.html

助成額は、要した費用の2分の1(飲食店は3分の2)で、上限額は100万円。煙を取り除くための換気装置、煙が流れてこないようにエアカーテンを設置するなどに要した費用が助成の対象になります。


 

■タバコの価格は2倍。喫煙者数は半減。

喫煙者には肩身が狭い世の中ですが、世の中の潮流は禁煙の方へ流れているため、それに抵抗するのは難しいでしょう。

じりじりとタバコの価格も上がっています。以前1箱1,000円という話が出てきて、賛否両論が起こったものの、一気に価格を上げるのではなく、じわじわと上げているのが現実です。

来月から1,000円となれば実現しにくいですが、数十円ずつ年数をかけて上げていけば、いずれは1,000円近くまで上がっていくはずです。

1990年頃、お使いでタバコを買いに行っていたのですが、1箱240円だったと記憶しています。今はタバコを購入する際にtaspoが必要ですから、子供がお使いで買うことはできません。

90年に240円だったものが2019年だと1箱480円ほどに価格が上昇しています。30年でタバコの価格は約2倍になっているわけです。

成人喫煙率(JT全国喫煙者率調査 http://www.health-net.or.jp/tobacco/product/pd090000.html)によると、30歳代男性の喫煙率は1990年時点でおよそ68.5%。それが2018年になると、33.1%に低下しています。

価格は2倍になり、喫煙者も半減したわけです。

ちなみに、昭和40年だと、全世代で男性の約8割が喫煙者だったとのデータもあり、2019年現在からすると想像できないほどの喫煙者率です。


負の外部性を発生させるものには課税するのが税制です。ガソリン車は排気ガスを出しますから、車両やガソリンに対して課税されています。

一方、ハイブリッド車やEV車は環境に対する負荷がガソリン車に比べて小さいため、車両を取得するとき、その後の維持費でも負担が軽くなるように制度が設計されています。

タバコも煙を出して人に嫌がられるものですから、ガソリン車に似ています。それゆえ、たばこ税が課せられているわけです。

 


■非喫煙者に対する優遇策。

喫煙者を採用しない企業もあるぐらい喫煙に対する風当たりが強くなっていますが、喫煙しない人に対するご褒美を用意する企業もあります。

一例として、非喫煙者は年次有給休暇を年4日加算するところがあります。

喫煙のための小休止を積み上げていくと、年間で10日ほどになるようで、その代償として喫煙しない人には年次有給休暇が4日増えるようです。

喫煙者に対してペナルティを課すのではなく、非喫煙者に対してインセンティブを与える方向にしているのが良いところです。


他には、スポーツクラブやジムの会費を補助というのも良いかもしれません。毎月1万円程度の会費がかかるところ、その半分が補助されれば嬉しいでしょう。

喫煙せず、さらに運動で体を動かす。健康へのインセンティブがより強まります。


自転車通勤している非喫煙者に対し、自転車の購入費を補助するのもアリです。例えば、勤続期間3年ごとに1万円を補助します。

喫煙者はあまり自転車に乗りたがらないもので、喫煙せず自転車通勤している人を優遇すれば健康への意識は高まりやすいでしょう。

また、自転車通勤には通勤手当が出ていないところが多いですから、自転車の購入費補助でもって通勤手当に代えるという発想もあります。

 


■喫煙可能かどうかが飲食店を評価する基準に。

料理の美味しさや接客サービスで飲食店を評価するのが通例ですが、今後は喫煙可能なお店なのかどうかも評価に加わってくるのではないかと思います。

喫煙可能、分煙、完全禁煙、この情報を利用者が事前に把握できれば、喫煙したい人は喫煙可能なお店に行きますし、タバコの煙が嫌な人は禁煙のお店を選ぶでしょう。

どちらが良くて、どちらがダメというものではなく、消費者の嗜好で判断されるところです。どこのお店でも禁煙というわけではなく、喫煙可能であることをアピールして集客するのも手です。

食べログのような飲食店情報を集めたウェブサイトに喫煙情報を掲載するのが当たり前になっていくだろうと思います。

 

 
■喫煙のための小休止をやめる。

休憩時間中に喫煙したとしても特に問題は無いのですが、就業時間中に喫煙すると、非喫煙者から「不公平だ」と不満が出ます。

そのため、就業時間中は禁煙とする企業もあります。

休憩時間に限って喫煙可能で、就業時間内は禁煙。労務管理としては現実的な対応です。

喫煙は飲み物を飲むのと同じだという理屈で就業時間中でも許すべきという人もいますが、飲み物は全員が飲みますが、喫煙は対象者が限られます。

男性の喫煙率は全年齢平均で3割を下回っていますし、女性にいたっては1割未満です。

非喫煙者が多数派になっている現在では、喫煙するための理屈をこねても負けてしまいます。


喫煙に対するインセンティブを変えて、喫煙しないほうが得だと感じればやめるもの。

タバコの価格はじわじわと上がり続けていますし、今後も上がることはあっても下がる可能性はなさそうです。

非喫煙者に対する優遇策が増えていき、喫煙者を採用しない企業が増えてくると、自ずと喫煙者は減っていくはずです。

禁止するだけでは人は行動を改めないもの。しかし、ご褒美を用意すると人は動きます。

ドーナツ2個を無料で貰えるというだけでお店の前に行列を作るぐらいですし、牛丼一杯を無料で提供するだけで道路が渋滞します。

喫煙しなければ良いことがある。いかにそう思わせるかが工夫のしどころです。

 

 




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メールマガジン【本では読めない労務管理のミソ】のご紹介


内容の一例・・・
『定額残業代残業代は減らせるのか』
『15分未満の勤務時間は切り捨て?』
『4週4日以外の変形休日制度もある』
『長時間残業を減らす方法は2つある』
『管理職は週休3日が理想』
『日曜日=法定休日と思い込んではいけない』
半日有給休暇半日欠勤の組み合わせはダメ?』
『寸志は賃金or贈り物?』
『ケータイは仕事道具か遊び道具か』

など、その他盛りだくさんのテーマでお送りしています。

本に書いていそうなんだけど、書いていない。
そんな内容が満載。



【本では読めない労務管理のミソ】
▽    ▽   <登録はこちら>    ▽    ▽
https://www.growthwk.com/entry/2008/05/26/125405?utm_campaign=soumu_cm_common_20190702_1



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合格率0.07%を通り抜けた大学生。


今、私はこうやって社労士という職業で仕事をしているわけですが、子供の頃からなりたかった職業というわけではなくて、大学生の頃に遭遇したきっかけが始まりです。

子供の頃になりたい職業というと、男の子ならば、警察官やスポーツ選手、パイロットというのが良くあるもの。女の子だと、スチュワーデス(今はキャビンアテンダント)、花屋さん、ケーキ屋さん、保育園の先生とか。そういう社会的に広く認知されたものが選ばれるので、小学生や中学生が社労士になりたいなんてことはゼロではないのでしょうが、極めて稀でしょう。

私が社労士試験に合格したのは大学4年のときで、いわゆる「現役合格」です。けれども、3年の時に一度不合格になって、ヘコんだんです。「たかが社労士試験ごときにオチたのか」って。だって、簡単そうなイメージがするでしょ、社労士なんて。チョチョッと勉強すれば、スルッと合格できるだろう。そう思っている人も少なくないはず。

「よく知られている資格 = 難しい」、「あまり知られていない資格 = 難しくない」。こういう判断基準があって、社労士は後者に該当するため、難しくないだろうと思われてしまうわけです。

私もそうやってナメていたクチですから、不合格になったんです。

実際は、想像しているよりも難易度は高くて、大学生の頃に約1年ほど時間を投じて、やっとこさ合格したのが本当のところ。


どうすると不合格になるか。どんなテキストや問題集を使えばいいか。問題集の使い方。スマホをどうやって社労士試験対策に活用するか、などなど。学生の頃の視点で書いています。

社労士試験というと、社会人の受験者が多いですから、学生の人の経験談が少ないんですよね。だから、私の経験が学生の人に役立つんじゃないかと思います。

とはいえ、学生の人が社労士に興味を持つというのはやはりレアで、何らかのきっかけが無ければ出会えないでしょうね。ただ、珍しいといっても、毎年、1割弱ほどは学生の受験者がいるので、受験者の総数を5万人と仮定すると、その1割弱なら3,000人から4,000人ぐらいは学生がいます。

そういう方の役に立つならば、私の経験も使っていただきたいですね。


https://www.growthwk.com/entry/2017/02/28/121910?utm_campaign=soumu_cm_common_20190702_2
大学生が独学で社労士試験に合格する方法: 合格率0.07%の軌跡



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【学生から好かれる職場と学生から嫌われる職場】

高校生になれば、アルバイトをする機会があり、
過去、実際に経験した方、
もしくは、今まさに働いている学生の方もいるのでは。

中には、
「学生時代はアルバイトなんてしたことないよ」
という方もいらっしゃるかもしれません。

そういう稀な方は経験が無いでしょうけれども、
学生のアルバイトというのは、
何故か、不思議と、どういう理屈なのか分かりませんが、
雑というか、荒っぽいというか、
そういう手荒い扱いを受けるんです。

若いし、体力もあるし、
少々、手荒に扱っても大丈夫だろうという感覚なのでしょうか。

それ、気持ちとしては分かりますけれども、
法令上は、学生も他の従業員と(ほぼ)同じであって、
一定のルールの下で労務管理しないといけないのです。

もちろん、
18歳未満は夜22時以降は働けないとか、
8時間を超えて働けないとか、
そういう学生ならではの制約は一部ありますけれども、
それ以外のところは他の従業員と同じ。

週3日出勤で契約したはずなのに、
実際は週5日出勤になっている。

休憩時間無しで働いている。

採用時に、1日5時間働くと決めたのに、
実際は1日3時間程度しか勤務させてもらえない。

「学生には有給休暇が無い」と言われた。

テスト休みを取って時給を減らされた。

など、
やってはいけない労務管理がなされてしまっている
という実情もあるようです。

何をやってはいけないかを知らないまま、
間違った対応をしてしまうこともあるでしょう。

(知らないからといって許されるものではありませんけれども)

このような労務管理をすると、学生から好感を持たれ、
辞めていく人が減るのではないか。

一方で、
「これをやってしまってはオシマイよ」
な感じの労務管理だと、
ザルで水をすくうように人が辞めていく。

学生から好まれる職場と嫌われる職場。

その境目はどこにあるのかについて書いたのが
『学校では教えてもらえない学生の働き方と雇い方 - 35の仕事のルール』
です。

「学生が好む職場」と「学生が嫌う職場」 その違いは何なのか。
https://www.growthwk.com/entry/2019/11/08/214715?utm_campaign=soumu_cm_common_20190702_3


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残業で悩んでいませんか?

「長時間の残業が続いている」
残業代の支払いが多い」
「残業が減らない」

こういう悩み、よくありますよね。

ニュースでも未払い残業代の話題がチラホラと出てくるぐらい、残業に対する関心は高くなっています。

法律では、1日に8時間まで、1週間では40時間までしか仕事ができません。その水準を超えてしまうと、残業となり、割増賃金が必要になります。

とはいえ、1日で8時間と固定されていると不便だと感じませんか? 1週間で40時間と固定されていると不便だと感じませんか?


毎日8時間の時間制限があると、柔軟に勤務時間を配分できませんよね。

例えば、月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務というわけにはいかない。

仕事に合わせて、ある日は勤務時間を短く、ある日は勤務時間を長くできれば、便利ですよね。

でも、実は、「月曜日は6時間の勤務にする代わりに、土曜日を10時間勤務にして、平均して8時間勤務なので、残業は無し」こんなことができる仕組みがあるんです。

「えっ!? そんな仕組みがあるの?」と思った方は、ぜひ『残業管理のアメと罠』を読んでみてください。


『残業管理のアメと罠』
https://www.growthwk.com/entry/2012/05/22/162343?utm_campaign=soumu_cm_common_20190702_4



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決まったことを決まった手順で処理するのは難しいものではありません。例えば、給与計算。毎月1回は給与が支給されるので、その計算作業も毎月ありますけれども、頭を悩ませるほどのものではありません。

他には、雇用保険社会保険への加入手続きもちょくちょくと発生しますけれども、これも必要な書類を揃えて出すだけですから難しくない。

労務管理ではルーティンな業務があり、それらを処理するには特別な能力や知識は必要ありません。

しかし、時として、普段は遭遇しないような問題が起こります。例えば、休憩時間を1回ではなく何回かに分けて取るのはいいのかどうか。有給休暇を半日や時間単位で細かく分けて取ると便利なのかどうか。仕事着に着替える時間には給与は支払われるのかどうかなど。答えが1つに定まりにくい問題が労務管理では起こります。


一例として、

Q:会社を休んだら、社会保険料は安くなる?
Q:伊達マスクを付けて仕事をするの?
Q:休む人が多くて勤務シフトに穴が開く。対処策は?
Q:休憩時間を分けて取ってもいいの?
Q:残業を許可制にすれば残業は減る?
Q:残業しないほど、残業代が増える?
Q:喫煙時間は休憩なの?
Q:代休振替休日はいつまでに取ればいいの?


このような問題に対して、どのように対処するか。それについて書いたのが『仕事のハテナ 17のギモン』です。

▽    ▽   『仕事のハテナ 17のギモン』    ▽    ▽
https://www.growthwk.com/entry/2017/05/23/132023?utm_campaign=soumu_cm_common_20190702_5



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