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新型コロナウイルスの影響、コーポレートガバナンス・コード改訂

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第96号 ━ 2020.4.28━

コンプライアンス専門メルマガ     -中川総合法務オフィス 発行-

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┃目次|1.今日この頃思う事|新型コロナウイルスの日本社会全体への甚大な影響
 2.本日のテーマ  |コーポレートガバナンス・コード改訂版について

1.新型コロナウイルスの日本社会全体への甚大な影響と中川総合法務オフィス運営

 新常態(New Normal)に移行するのか、当たり前の日常( Natural everyday life)
に戻るのか。武漢ウイルス(COVID-19)パンデミック蔓延の終息あればの話だが。

どうにも憂鬱な日が続く。巡り合わせが自分の人生の間にあるとは思わなかった。この
ような伝染病が蔓延するとは思いもしなかった。

自宅での孤独な仕事に疲れたら、自宅のある長岡京市の街を毎日散歩したりしている。


問題は、私の人生の行方も含めて、武漢ウイルス(COVID-19)パンデミック蔓延の終息
あれば、新常態(new Normal)に移行するのか、当たり前の日常( Natural everyday l
ife)に戻るのか。

終息時期の問題が大きいのである。時期が遅ければ、それまでに、これまでの当たり前
が消えて二度と戻らないかもしれない。私と私の家族生活にも甚大な影響を与えよう。

人と人がウイルスの感染を恐れて離れて過ごさざるを得ない時期がこれからずっとなの
か、1年なのか、これまでに接近して生活していたものが新常態では消えざるを得ない
のか。

そうなれば、社会全体に大きな変化が発生するし、経済のみならず、文化やスポーツに
も大きな影響を与えよう。教育現場で教室にはいって一斉授業ということも非常にやり
にくくなろう。

私の研修や講演でも同じことである。会場にたくさんの人が席を詰めて講演を聞くこと
や研修を受けることもなくなろうか。

相続における相談業務にも大きな影響が出てこよう。書類を見ながら話すには接近せざ
るを得ないからである。

……………………………………………………………………………………
2 本日のテーマ:コーポレートガバナンス・コードの改訂

1.コーポレートガバナンス・コードの改訂理由

株式会社日本取引所グループ(Japan Exchange Group, Inc.)が、2018/06/01に「改訂
コーポレートガバナンス・コード」を公表した。

改訂理由は、「…金融庁及び当取引所が事務局をつとめる『スチュワードシップ・コー
ド及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議』において、企業と投資
家との対話を通じ、コーポレートガバナンス改革をより実質的なものへと深化させてい
くため、コードの改訂が提言された…」ことである。

また、ESGに関する対話が進む中、…コードの第3章「考え方」において、「非財務
情報」にいわゆるESG要素に関する情報が含まれることを明確化するためである。

2.コーポレートガバナンス・コード「5つの基本原則」の確認

(1)【株主の権利・平等性の確保】
上場会社は、株主の権利が実質的に確保されるよう適切な対応を行うとともに、株主
その権利を適切に行使することができる環境の整備を行うべきである。
また、上場会社は、株主の実質的な平等性を確保すべきである。少数株主や外国人株主
については、株主の権利の実質的な確保、権利行使に係る環境や実質的な平等性の確保
に課題や懸念が生じやすい面があることから、十分に配慮を行うべきである。

⇒上場会社には、株主を含む多様なステークホルダーが存在しており、こうしたステー
クホルダーとの適切な協働を欠いては、その持続的な成長を実現することは困難である。
その際、資本提供者は重要な要であり、株主はコーポレートガバナンスの規律における
主要な起点でもある。上場会社には、株主が有する様々な権利が実質的に確保されるよ
う、その円滑な行使に配慮することにより、株主との適切な協働を確保し、持続的な成
長に向けた取組みに邁進することが求められる。
また、上場会社は、自らの株主を、その有する株式の内容及び数に応じて平等に取り扱
会社法上の義務を負っているところ、この点を実質的にも確保していることについて
広く株主から信認を得ることは、資本提供者からの支持の基盤を強化することにも資す
るものである。

(2)【株主以外のステークホルダーとの適切な協働】
上場会社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は、従業員、顧客、取引
先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーによるリソースの提供や
貢献の結果であることを十分に認識し、これらのステークホルダーとの適切な協働に努
めるべきである。
取締役会・経営陣は、これらのステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を
尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきである。

⇒上場会社には、株主以外にも重要なステークホルダーが数多く存在する。これらのス
テークホルダーには、従業員をはじめとする社内の関係者や、顧客・取引先・債権者等
の社外の関係者、更には、地域社会のように会社の存続・活動の基盤をなす主体が含ま
れる。上場会社は、自らの持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を達成するために
は、これらのステークホルダーとの適切な協働が不可欠であることを十分に認識すべき
である。また、近時のグローバルな社会・環境問題等に対する関心の高まりを踏まえれ
ば、いわゆるESG(環境、社会、統治)問題への積極的・能動的な対応をこれらに含
めることも考えられる。
上場会社が、こうした認識を踏まえて適切な対応を行うことは、社会・経済全体に利益
を及ぼすとともに、その結果として、会社自身にも更に利益がもたらされる、という好
循環の実現に資するものである。

(3)【適切な情報開示と透明性の確保】
上場会社は、会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・経営課題、リスク
やガバナンスに係る情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行うとと
もに、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである。
その際、取締役会は、開示・提供される情報が株主との間で建設的な対話を行う上での
基盤となることも踏まえ、そうした情報(とりわけ非財務情報)が、正確で利用者にと
って分かりやすく、情報として有用性の高いものとなるようにすべきである。

⇒上場会社には、様々な情報を開示することが求められている。これらの情報が法令に
基づき適時適切に開示されることは、投資家保護や資本市場の信頼性確保の観点から不
可欠の要請であり、取締役会監査役監査役会・外部会計監査人は、この点に関し財
務情報に係る内部統制体制の適切な整備をはじめとする重要な責務を負っている。
また、上場会社は、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである。
更に、我が国の上場会社による情報開示は、計表等については、様式・作成要領などが
詳細に定められており比較可能性に優れている一方で、会社の財政状態、経営戦略、リ
スク、ガバナンスや社会・環境問題に関する事項(いわゆるESG要素)などについて
説明等を行ういわゆる非財務情報を巡っては、ひな型的な記述や具体性を欠く記述とな
っており付加価値に乏しい場合が少なくない、との指摘もある。取締役会は、こうした
情報を含め、開示・提供される情報が可能な限り利用者にとって有益な記載となるよう
積極的に関与を行う必要がある。
法令に基づく開示であれそれ以外の場合であれ、適切な情報の開示・提供は、上場会社
の外側にいて情報の非対称性の下におかれている株主等のステークホルダーと認識を共
有し、その理解を得るための有力な手段となり得るものであり、『責任ある機関投資
家』の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》」を踏まえた建設的な対話にも資
するものである。

(4)【取締役会等の責務】
上場会社の取締役会は、株主に対する受託者責任説明責任を踏まえ、会社の持続的成
長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図るべく、

1企業戦略等の大きな方向性を示すこと
2経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
3 独立した客観的な立場から、経営陣(執行役及びいわゆる執行役員を含む)・取締
役に対する実効性の高い監督を行うこと

をはじめとする役割・責務を適切に果たすべきである。
こうした役割・責務は、監査役会設置会社(その役割・責務の一部は監査役及び監査役
会が担うこととなる)、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社など、いずれの
機関設計を採用する場合にも、等しく適切に果たされるべきである。

⇒上場会社は、通常、会社法(平成26 年改正後)が規定する機関設計のうち主要な3
種類(監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社)のいずれか
を選択することとされている。前者(監査役会設置会社)は、取締役会と監査役・監査
役会に統治機能を担わせる我が国独自の制度である。その制度では、監査役は、取締
役・経営陣等の職務執行の監査を行うこととされており、法律に基づく調査権限が付与
されている。また、独立性と高度な情報収集能力の双方を確保すべく、監査役株主
会で選任)の半数以上は社外監査役とし、かつ常勤の監査役を置くこととされている。
後者の2つは、取締役会委員会を設置して一定の役割を担わせることにより監督機能
の強化を目指すものであるという点において、諸外国にも類例が見られる制度である。
上記の3種類の機関設計のいずれを採用する場合でも、重要なことは、創意工夫を施す
ことによりそれぞれの機関の機能を実質的かつ十分に発揮させることである。
また、本コードを策定する大きな目的の一つは、上場会社による透明・公正かつ迅速・
果断な意思決定を促すことにあるが、上場会社の意思決定のうちには、外部環境の変化
その他の事情により、結果として会社に損害を生じさせることとなるものが無いとは言
い切れない。その場合、経営陣・取締役損害賠償責任を負うか否かの判断に際しては、
一般的に、その意思決定の時点における意思決定過程の合理性が重要な考慮要素の一つ
となるものと考えられるが、本コードには、ここでいう意思決定過程の合理性を担保
ることに寄与すると考えられる内容が含まれており、本コードは、上場会社の透明・公
正かつ迅速・果断な意思決定を促す効果を持つこととなるものと期待している。

(5)【株主との対話】
上場会社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会
場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである。
経営陣幹部・取締役社外取締役を含む)は、こうした対話を通じて株主の声に耳を傾
け、その関心・懸念に正当な関心を払うとともに、自らの経営方針を株主に分かりやす
い形で明確に説明しその理解を得る努力を行い、株主を含むステークホルダーの立場に
関するバランスのとれた理解と、そうした理解を踏まえた適切な対応に努めるべきであ
る。

⇒「『責任ある機関投資家』の諸原則《日本版スチュワードシップ・コード》」の策定
を受け、機関投資家には、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設
的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)を行うことが求められている。上場会
社にとっても、株主と平素から対話を行い、具体的な経営戦略や経営計画などに対する
理解を得るとともに懸念があれば適切に対応を講じることは、経営の正統性の基盤を強
化し、持続的な成長に向けた取組みに邁進する上で極めて有益である。
また、一般に、上場会社の経営陣・取締役は、従業員・取引先・金融機関とは日常的に
接触し、その意見に触れる機会には恵まれているが、これらはいずれも賃金債権、貸付
債権等の債権者であり、株主と接する機会は限られている。経営陣幹部・取締役が、株
主との対話を通じてその声に耳を傾けることは、資本提供者の目線からの経営分析や意
見を吸収し、持続的な成長に向けた健全な企業家精神を喚起する機会を得る、というこ
とも意味する。


……………………………………………………………
※なお、冒頭で申し上げたように新型コロナウイルスの影響が企業や地方公共団体への
運営にも大きな影響を及ぼす中で、コンプライアンスとともに、意欲をもって積極的に
全国の地方公共団体等で危機管理(インフルエンザ対策を含む災害リスクマネジメン
ト)態勢構築の普及のための講演や研修講師活動も続けていくので、私の講演の主要項
目17原則下記に挙げておく。
 このような網羅的で統合的リスクマネジメントが地方公共団体に必要になっている時
代なのである。

1.災害対策本部の組織・運営

2.通信の確保

3.被害情報の収集

4.災害情報の伝達

5.応援の受入れ

6.広報活動

7.救助・救急活動

8.避難所等、被災者の生活対策

9.特別な配慮が必要な人への対策

10.物資等の輸送、供給対策

11.ボランティアとの協働活動

12.公共インフラ被害の応急処置等

13.建物、宅地等の応急危険度判定

14.被害認定調査、罹災証明の発行

15.仮設住宅

16.生活再建支援

17.廃棄物処理 


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法等行政法・政策法務・地方公務員法・地方自治法・個人情報保護法・マイナンバー
法・情報セキュリティ・ハラスメント・クレーム対応・著作権法・知的資産経営・銀行
法務・労働法務・ダイバーシティ・模擬記者会見等の講演や研修講師実績があります。


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 075-955-0307  Fax 075-955-0214

 〒617-0812 京都府長岡京市長法寺川原谷13-6

コンプライアンス等の講演や研修講師を600件以上担当しました。自治体・企業・金
融機関等での豊富な実績があります。詳細な講演会記録等はこちらをご覧ください。
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