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賃金額の60%と労働基準法第26条による休業手当の額

令和2年6月15日 第201号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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賃金額の60%と労働基準法第26条による休業手当の額

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1.はじめに
 新型コロナウイルスによる休業により休業手当を支払う会社が増えています。
労働基準法第26条では使用者の責めに帰すべき休業の場合には平均賃金の60
%を休業手当で支払うこととされています。
 この60%については「賃金額の60%」というイメージで労使間の話し合
いが進められていたり、雇用調整助成金申請の為に労使協定を結んだりしてい
ます。
 しかし実際には平均賃金の60%の休業手当額は賃金額の40%程度になっ
てしまいます。
 労働者にとって生活の糧である休業手当賃金額の60%の予定が実際には
40%程度になってしまい生活ができないという相談が企業に寄せられています。
 この点について今回は掘り下げてみたいと思います。

2.休業手当が予想より少ないという問題
 賃金額の60%と平均賃金の60%は全く違ものだということを理解しなけ
ればなりません。
 賃金額の60%とは月給300,000円の賃金額が180,000円に下
がるということになります。
 このイメージが平均賃金と混同されているが故に実際の休業手当の額が低く
てびっくりしている企業や労働者が多くいらっしゃるのだとお思います。
 例えば5月に支払う休業手当の計算は2月、3月、4月の賃金額で計算しま
す。
末締めを事例に考えます。2月の暦日数は閏年なので29日。3月は31日。
4月は30日です。三か月間の総暦日数は90日になります。
分かりやすくする為に残業をせずに基本給だけで300,000円と仮定しま
す。
三か月の賃金総額は300,000円に3を乗じた900,000円。
この900,000円を総暦日数である90日で除したものが平均賃金額にな
ります。
10,000円が平均賃金額となり、これの6割である6,000円が一日の
休業手当となります。この5月の出勤予定日数が23日ですべて休業した場合
には6,000円に23日を乗じた金額となります。そうしますと138,0
00円が5月の休業手当額になります。
300,000円の46%になってしまいました。
賃金総額の60%である180,000円にする為には平均賃金の78.3%
休業手当の乗率としなければなりません。

 なぜこのようになってしまうのでしょうか。

これは平均賃金暦日数で計算される為なのです。

3.暦日数と実労働日数
 前述のとおり平均賃金は原則として暦日数で計算されます。
平均賃金を実務上よく使う場面は「解雇予告手当」と「労災の休業補償日額」
になります。
解雇予告手当は30日分で計算しますし、労災の休業補償は土日等の会社の法
休日所定休日にも支給します。支払う計算方法も暦日数で計算しますから
暦と暦で金額として違和感がないのであろうと思います。
 しかし休業手当は勤務予定日で計算しますので、実労働日数なのです。
暦で金額を算出して、実労働日数で計算する。これ故に金額に違和感が生じて
しまうのです。
 リーマンショックの際にも雇用調整助成金が活躍しましたが、新型コロナウ
イルスの影響はその比ではありません。多くの企業で休業手当が必要となって
おり、日常的に社会保険労務士とお付き合いのない企業でも多く支払われてい
るので、いざ支給してみて労働者から「聞いている額と違う」というクレーム
が発生してご相談にお越しになられるケースが増えています。

4.平均賃金の計算方法
 平均賃金の求め方は労働基準法第12条に規定しており「算定すべき事由が
発生した日の属する直近の賃金締め切り日より過去三か月間に支払われた賃金
総額をその期間の総暦日数で除したもの」とされています。
 しかし「賃金の全部又は一部が、日給や時給によって算定されている場合、
歩合等の出来高制その他の請負制によって定められている場合には賃金総額を
その期間の総労働日数で除したものに60%を乗じた金額」が平均賃金の最低
保障となり原則との比較で高い方が平均賃金になります。これを平均賃金の最
低保障といいます。
 最低保障は平均賃金の原則である暦ではなく、労働日数で求めますので60
%を乗じて暦の原則との調整をしているのです。
 ここで混同されるのは60%の問題です。
平均賃金の最低保障の計算は「総賃金額を総労働日数で除して60%を乗じて」
平均賃金を求めます。平均賃金の計算の過程で60%を乗じます。休業手当
求めるのはさらにここから60%を乗じます。60%を2回も使うので「損を
している」「計算方法がおかしい」という指摘を受けるケースがありますが法
律ではそうなっているので間違いがありません。

5.まとめ
 この様に平均賃金とは暦が原則であるが故に休業手当の額に違和感が生じて
います。
これを上回っていれば法律上問題はないので、「賃金額の60%」や「平均賃
金の80%から100%」を支給額としている企業も多く見受けられます。
 この水準の設定は資金繰りとの相談であります。出口の見えないコロナ不況
ですが正しい知識で武装をして乗り切って頂ければと思います。
 

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