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【事例】感染症に対する個人のリスクアセスメント対応について

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 産業医として化学工場、営業事務所、IT企業、電力会社、小売企業等で勤務し、厚生労働省において労働行政に携わり、臨床医として治療を行った複数の健康管理の視点で情報発信をしております。多くの企業様に労働衛生法、従業員の健康、会社の利益を守るお手伝いが出来ればと、新ブランド産業医EX(エキスパート)を立ち上げさせて頂きました。
https://www.sangyouiexpert.com/
 さらに、文末のように令和元日(5月1日)に、「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」を出版し、今まで高価であった産業医が持つ情報を、お手頃な価格にすることができました。
 今回は、「【事例】感染症に対する個人のリスクアセスメント対応について」について作成しました。
 労働衛生の取組を行うことで、従業員に培われる「技術」「経験」「人間関係」等の財産を、企業が安定して享受するためにご活用ください。
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【事例】感染症に対する個人のリスクアセスメント対応について
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 感染症対策の方法や事例に関するコラムについて、大きな反響をいただきありがとうございました。
新型コロナウイルスから考えるリスクアセスメントと予防
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-174501/
【事例】新型コロナウイルスに対する健康管理対策
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-174674/

 また、以下URLの新型コロナウイルス感染証(COVID-19)診療の手引きもVer2.2になり、エビデンスも充実してきており、コンサルティング料を頂かなくても発信できる情報が増えたことから、個人のリスクアセスメント対応の事例を示させていただきます。
https://www.mhlw.go.jp/content/000650160.pdf

◎個人のリスクアセスメント
 感染症の健康リスクは、『発生の可能性』と『疾病がもたらす重大性』の2軸に分けることができます。
◆発生の可能性については、次の様に『定められた予防対策と注意の要否』で整理しました。
極高:定められた予防対策が十分にされていないため、特に注意を要する場合
高:定められた予防対策がされているが、十分に注意しても発生するおそれがある場合
中:定められた以上の予防対策がされているが、発生するおそれがある場合
低:適切な予防対策により、特に注意しなくとも発生するおそれがない場合

◆疾病がもたらす重大性については、次の5段階で整理しました。
致死的:複数のコントロール不良な高リスク因子があり、致死につながるおそれがある。
時に致死的:コントロール困難な高リスク因子があり、集中治療を要するおそれがある。
要入院加療:高リスク因子を持っており、入院加療を要するおそれがある。
要外来加療:主治医が不在であり、発症時に外来加療を要する。
その他加療:主治医との十分な連携がとれており、発症時の適切な対応が定まっている。

◆そして、優先順位を、⑤直ちに解決、④優先して解決、③速やかに適切に解決、②適切に解決、①必要に応じて解決の5段階で次の様に整理します。
⑤:(極高、高、中)の致死的、(極高、高)の時に致死的、(極高)の要入院加療
④:(低)の致死的、(中)の時に致死的、(高)の要入院加療、(極高)の要外来加療
③:(低)の時に致死的、(中)の要入院加療、(高)の要外来加療、(極高)のその他加療
②:(低)の要入院加療、(中)の要外来加療、(高)のその他加療
①:(低)の要外来加療、(中、低)のその他加療

◎観察に基づく科学データ
 新型コロナウイルス感染証(COVID-19)診療の手引きVer2.2(以下「手引き」という。)の9ページに、年齢階級別死亡数が示されており、次のとおりとなっています。
・20代未満:0.0%、30代:0.1%、40代:0.5%、50代:1.1%、60代:4.9%、70代14.6%、80代以上:28.7%
 また重症化のリスク因子等として、次が示されています。
・重症化のリスク因子
 65歳以上の高齢者、慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満(BMI30以上)

◎観察に基づく科学データと個人のリスクアセスメントのリンクによる事例
【糖尿病、高血圧かつ肥満の従業員に対して:優先順位⑤】
 接客業の事業所において、定期健康診断結果で30歳代の従業員が糖尿病、高血圧かつ肥満の診断でした。特に、糖尿病に関しては検査結果の異常値が有意に高い状態でした。さらに、1年前の定期健康診断事後措置において、適切な治療を受ける指導がされていたにも関わらず、指示に従っていませんでした。
 従って、個人のリスクアセスメントの結果は極めて高い可能性で、時に致死的となりました。
 産業医としての対応は、「就業不可。ただし、適切な治療を受け、主治医の勤務可能の診断書があれば就業可能。」を事業者に意見しました。
 結果として、従業員は医療機関を受診し、一定の休業を取得した後に、主治医の指導の元、適切に勤務しています。

【慢性腎臓病の従業員に対して:優先順位⑤】
 旅客運送業の事業所において、慢性腎臓病により、定期的に人工透析を行っている60歳代の従業員について、疾病は主治医の元、適切に管理されており、運転前の健康管理チェック等のルールも適切に遵守していました。
 従って、個人のリスクアセスメントの結果は高い可能性で、時に致死的となりました。
 産業医としての対応は、主治医と診療情報を共有し、主治医より適切な治療経過であるが、リスクに関しては一定の配慮が必要との意見を受け、従業員に健康管理上の説明を行いました。
 結果として、本人の理解及び希望の上、リスクを忌避し、一定期間在宅で休養するとの結論になりました。

【軽度の基礎疾患を持つ従業員に対して】
 複数の事業所において、手引きの重症化リスク因子に該当するものの、軽度である従業員が多く居ました。
 個人のリスクアセスメントの結果は幅がありますが、概ね、中の可能性で要入院加療でした。
 産業医の原則対応としては、「就業可。ただし、医療機関を受診し、感染リスクを含め主治医の適切な加療を受けさせること。」を事業者に意見しました。
 結果として、ほとんどの従業員は医療機関を受診し、主治医の指導の元、適切に勤務しています。

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令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/

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