派遣事業や職業紹介事業の許可を受けた事業主は、5年毎に許可の更新を受けなければなりませんが、
資産要件のハードルは高いものとなっています。
資産要件は直近の確定
決算において、派遣であれば基準
資産(一般的には純
資産と同じ)が2千万円以上、現
預金が15百万円以上、基準
資産が
負債の7分の1以上というのが原則で、新規許可も同じ条件です。
当初からこの基準で許可を受けていれば、赤字期がなければ心配ないのですが、かつて特定派遣を行っていた会社で、いわゆる小規模企業の暫定措置を受けて新制度での派遣許可を受けた場合は基準を満たすことが困難なケースが多いようです。
特に、3年間の暫定措置を受けた場合(上記のほぼ4分の1でOKだった)は、既にこの制度は廃止されているので、よほどの黒字を出していなければほぼ絶望的でしょう。
また、当分の間の暫定措置(基準
資産1千万円、現
預金8百万円等)はまだ継続しており、前回の許可や更新時に何らかの暫定措置を受けた場合に限り、今度の更新時にも適用は可能です。
これから更新しようとする会社の中には、コロナ禍の影響を受け、財務状態が思わしくないことも多いかと思われますが、10月初めに厚生労働省から財産的基礎要件の特例措置が発表されました。(リンク先はこちら↓)
https://www.mhlw.go.jp/content/000678243.pdf
概要は、
1 直近の
決算では財産要件が満たせず
2 更新申請の提出期限がR2.10.31~R4.3.31(=有効期間がR3.1.31~R4.6.30)
3 直近
決算の期間にR2.1.24以降の日付を含む
の全てに該当する場合に限り、
1 直近の
決算の1期前の
決算 (でダメなら)
2 直近の
決算の2期前の
決算
の数値で判断できる、というものです。
近々更新予定なら1の方式、時間的に後なら2の方式も取り得ます。
一時的に財務状態が思わしくない会社であれば、とりあえずは更新自体は可能となるケースが出るのでありがたいと思いますが、実は大きな落とし穴があります。
リーフレットの最後に留意事項として記載がありますが、この特例を受けるには、
1 更新日の1年後までに財産要件を満たすとの事業計画を更新時に提出
2 更新申請から更新日の1年後までの間に迎える
決算において財産要件を満たす
3 2の
決算書を更新日の1年後から1か月以内に労働局へ提出
することが必須です。
1の事業計画は更新時に提出ですが、
収益の見込額等の記載までは必要なく、特例を受ける理由やどのように営業していくかの考え方を記載した書面で大丈夫なようです。
問題は2の条件です。更新申請~更新後1年の期間内に到来する
決算で要件を満たさねばならず、会社によって更新日から
決算日の期間はマチマチです。
更新日から
決算日まで期間が長ければ営業努力で
収益改善も見込めますが、短期間の場合は効果が出ない場合もあり得ます。
なお、更新日から1年ではなく、更新申請日から起算なので期間的には少なくとも1年3か月あり、
決算期によっては、更新直前と更新後1年近く経ってからの
決算の2パターンとなることがありますが、何れかの
決算で要件を満たせば良いようです。
怖いのは、この特例を受けて財産要件を満たす
決算とならなかった場合は、許可取消の対象となることです。
恐らく許可条件
通知書に上記の条件が付されるはずなので、要件を満たせなければ許可条件違反ということで、派遣であれば派遣法第9条違反としての処分となるはずです。
当然ながら、許可取消となった日以降は一切の派遣又は紹介事業は行うことはできず、もし継続して行えば無許可営業として厳しい処分となることも予想されます。
なお、資料にもありますが、財産要件は通常の
決算によらない方法も可能です。
決算期間の途中なら要件を満たすのであれば、その時期の中間
決算や
月次決算を組んで、
公認会計士の監査証明か合意された手続による
決算書を用いての確認も可能です。ちなみに「派遣 合意された手続」でネット検索すると
公認会計士等のサイトが山のように出てきます。
もし、通期で満たさないのであれば、増資するしかありません。「社長借入で資金増やせばいいんだろ」と仰る方がいますが、現
預金だけ不足のケースは意味がありますが、現
預金が増えた分
負債も増え、結果として純
資産は変わりません。
この特例を適用した場合は
決算見込を常ににらみながら、厳しい場合は増資するか、別な事業形態を探るしか方策はなさそうです。
念のためですが派遣の場合のみ、前回の更新か新規許可において、最初に述べた小規模企業の暫定措置を受けた事業主に限り、
資産要件は「当分の間の暫定措置」の適用が可能です。
労働局から更新手続きの連絡(一部の局で実施と思われます)があり、慌てて動き出す事業主が非常に多くみられます。
社労士は申請書の内容なら工夫の余地がありますが、人様の
決算については手の出しようがありません。財産要件に不安のある場合は早めの対応が肝心です。
派遣事業や職業紹介事業の許可を受けた事業主は、5年毎に許可の更新を受けなければなりませんが、資産要件のハードルは高いものとなっています。
資産要件は直近の確定決算において、派遣であれば基準資産(一般的には純資産と同じ)が2千万円以上、現預金が15百万円以上、基準資産が負債の7分の1以上というのが原則で、新規許可も同じ条件です。
当初からこの基準で許可を受けていれば、赤字期がなければ心配ないのですが、かつて特定派遣を行っていた会社で、いわゆる小規模企業の暫定措置を受けて新制度での派遣許可を受けた場合は基準を満たすことが困難なケースが多いようです。
特に、3年間の暫定措置を受けた場合(上記のほぼ4分の1でOKだった)は、既にこの制度は廃止されているので、よほどの黒字を出していなければほぼ絶望的でしょう。
また、当分の間の暫定措置(基準資産1千万円、現預金8百万円等)はまだ継続しており、前回の許可や更新時に何らかの暫定措置を受けた場合に限り、今度の更新時にも適用は可能です。
これから更新しようとする会社の中には、コロナ禍の影響を受け、財務状態が思わしくないことも多いかと思われますが、10月初めに厚生労働省から財産的基礎要件の特例措置が発表されました。(リンク先はこちら↓)
https://www.mhlw.go.jp/content/000678243.pdf
概要は、
1 直近の決算では財産要件が満たせず
2 更新申請の提出期限がR2.10.31~R4.3.31(=有効期間がR3.1.31~R4.6.30)
3 直近決算の期間にR2.1.24以降の日付を含む
の全てに該当する場合に限り、
1 直近の決算の1期前の決算 (でダメなら)
2 直近の決算の2期前の決算
の数値で判断できる、というものです。
近々更新予定なら1の方式、時間的に後なら2の方式も取り得ます。
一時的に財務状態が思わしくない会社であれば、とりあえずは更新自体は可能となるケースが出るのでありがたいと思いますが、実は大きな落とし穴があります。
リーフレットの最後に留意事項として記載がありますが、この特例を受けるには、
1 更新日の1年後までに財産要件を満たすとの事業計画を更新時に提出
2 更新申請から更新日の1年後までの間に迎える決算において財産要件を満たす
3 2の決算書を更新日の1年後から1か月以内に労働局へ提出
することが必須です。
1の事業計画は更新時に提出ですが、収益の見込額等の記載までは必要なく、特例を受ける理由やどのように営業していくかの考え方を記載した書面で大丈夫なようです。
問題は2の条件です。更新申請~更新後1年の期間内に到来する決算で要件を満たさねばならず、会社によって更新日から決算日の期間はマチマチです。
更新日から決算日まで期間が長ければ営業努力で収益改善も見込めますが、短期間の場合は効果が出ない場合もあり得ます。
なお、更新日から1年ではなく、更新申請日から起算なので期間的には少なくとも1年3か月あり、決算期によっては、更新直前と更新後1年近く経ってからの決算の2パターンとなることがありますが、何れかの決算で要件を満たせば良いようです。
怖いのは、この特例を受けて財産要件を満たす決算とならなかった場合は、許可取消の対象となることです。
恐らく許可条件通知書に上記の条件が付されるはずなので、要件を満たせなければ許可条件違反ということで、派遣であれば派遣法第9条違反としての処分となるはずです。
当然ながら、許可取消となった日以降は一切の派遣又は紹介事業は行うことはできず、もし継続して行えば無許可営業として厳しい処分となることも予想されます。
なお、資料にもありますが、財産要件は通常の決算によらない方法も可能です。
決算期間の途中なら要件を満たすのであれば、その時期の中間決算や月次決算を組んで、公認会計士の監査証明か合意された手続による決算書を用いての確認も可能です。ちなみに「派遣 合意された手続」でネット検索すると公認会計士等のサイトが山のように出てきます。
もし、通期で満たさないのであれば、増資するしかありません。「社長借入で資金増やせばいいんだろ」と仰る方がいますが、現預金だけ不足のケースは意味がありますが、現預金が増えた分負債も増え、結果として純資産は変わりません。
この特例を適用した場合は決算見込を常ににらみながら、厳しい場合は増資するか、別な事業形態を探るしか方策はなさそうです。
念のためですが派遣の場合のみ、前回の更新か新規許可において、最初に述べた小規模企業の暫定措置を受けた事業主に限り、資産要件は「当分の間の暫定措置」の適用が可能です。
労働局から更新手続きの連絡(一部の局で実施と思われます)があり、慌てて動き出す事業主が非常に多くみられます。社労士は申請書の内容なら工夫の余地がありますが、人様の決算については手の出しようがありません。財産要件に不安のある場合は早めの対応が肝心です。