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時間単位の育児介護休暇

時間が経つのは本当に早いもので、令和2年も残り僅かの日を残すのみとなってしまいました。
“今年は、どんな年だったんでしょうか?”
誰に聞いても、「今年はヒドイ年だった」という答えが返って来るのではないでしょうか?
突如、思いもよらない新型コロナという感染症に襲われ、日常生活に制限を受けて経済活動が収縮し、
未曾有の不況に襲われたヒドイ年でした。
かつて日本には「失われた20年」という経済の大スランプ期がありました。1990年代から2000年代が
その時期に当たり、多くの企業の経営が立ち行かなくなって、早期退職や雇い止めなどリストラの嵐が吹き荒れ、
いわゆる「ロスジェネ世代」を生み出した就職氷河期もこの時期でした。
その後「アベノミクス」の効果もあってか、2013年以降日本の景気は立ち直り、2020年に開催するはずだった
東京オリンピックを当て込んだ投資も活発になりました。失われた20年がとても厳しく殺伐とした時代でしたので
その反動もあってか、今年の初め頃までは誰もが「あぁ、やれやれ」と安心し切っていたのです。ところが、
今回のコロナウイルス禍がそんな安心を吹き飛ばしてしまいました。
希望の星の東京オリンピックは延期され、通常通り開催できるかどうか危ぶまれる状況となり、経済も
すっかり暗転してしまいました。そして、新型コロナ禍は、さらに日本のトホホな別の現実まで暴き出して
しまったのです。それは、もう1つの失われた20年とも言われる「デジタル化における失われた20年」です。
でも、不幸中の幸いですが、今回の新型コロナ禍により日本でもDXに取り組むための土壌が一気に出来
上がりつつあります。ステイホームによって、多くの仕事が突然デジタルファーストになりました。
テレワークが当たり前のように取り入れられ、業務活動もWeb会議システム活用が普通のこととなりました。
まさにデジタルファーストがニューノーマル(新常態)となってきたともいえそうです。
「あとはこの土壌を生かして、個々の企業や社会全体のDXを一挙に進めればよい……」のですが、これが
そう簡単には行かない。私の様にDX化にどうしても馴染めないひと達が、社会の各層に未だ多数残って
いるからです。勿論、サラリーマンも例外ではありません。

長い間「会社へ行くことが仕事をすること」と思っていた人は、今までなら常識外だった
「会社に来ないように」という会社の指示に大いに戸惑いを感じたことでしょう。
これまでは、会社に行くこと自体が仕事であり、生活だったからです。会社に行かないで仕事をするということは、
通勤時間のほか、同僚などとの挨拶や雑談やらの仕事に付随した円滑油的要素(または仕事の前工程)を
全て取り除き、いわば抜き身で仕事だけと向き合うことを意味します。
会社に行くと「同僚ととりとめのない話をする、上司からぐちゃぐちゃ細かな指示を受ける、不意な電話や来客対応」
などに時間を取られ、本当に集中して仕事をしている時間は意外と短いものです。ところがテレワークでは、
そうしたムダが一切削ぎ落とされ、目の前に鎮座するパソコンを前に、与えられたタスクだけが相手となります。
そして一日みっちり仕事をすると、新鮮な充実感を覚える人もいる一方で、タスクの分量の多さと期限の厳しさに
圧倒され、同僚や上司とのコミュニケーションもうまく取れず、どう進めたらいいのか途方に暮れる人も出て来ます。

日本の会社組織ではよく「262の法則」があると言われています。つまり全社員のうち約2割は、会社をリードして
いく人たち。逆に約2割はいわゆる落ちこぼれ組の人たち。そして残りの約6割がそんなに仕事が出来るわけでもないが、
全く役に立たないわけでもない普通の社員たちです。
これまでは何となく社員全員が同じオフィスで持ちつ持たれつで仕事をおこなってきたのが、テレワーク化される
ことで、会社と社員の関係が情報端末で結ばれた
1対1のデジタルなものに変わっていきます。こうしたデジタル組織になると、一番クローズアップされるのが
「262の法則」の中で約6割を占めている普通の社員たちのパフォーマンスでしょう。なぜなら、なんとなく「普通」と
思われていた社員たちの実力が、デジタル化された組織のもとでは容易に測定できるようになってしまうからです。
これまでのアナログ組織の中では見えてこなかった「普通」の社員たちの能力が露わになることで、従来以上に
活躍できる社員と実はさほど能力も実力もなかった社員とが冷酷に選別されることになってしまうかもしれません……。
私はごく「普通」のサラリーマンでしたが、何とか能力もバレないで「普通」に勤めることができました。
でもこれからは多分そう簡単には行かないでしょう。
コロナ風と共にサラリーマンには辛い風が吹いて来そうです……。

前回の「障害者雇用率の改定」についての話は、如何でしたでしょうか。
今回は、「時間単位の育児介護休暇」についての話をします。

──────────◆ 目 次 ◆──────────────
○「時間単位の育児介護休暇
───────────────────────────────
現行の育児介護休業制度では、1日または半日を単位とした取得しかできませんが、育児・介護休業法施行規則の
改正により、2021年1月からは時間単位での取得が可能となります。また、現行では、1日の所定労働時間
4時間以下の労働者については半日単位での取得は認められていませんでしたが、今回の改正により、これらの
労働者についても時間単位での取得が可能になります。
今回の改正で新たに企業に求められるのは、「始業時間から連続」または「終業時間に連続」する形での取得です。
就業時間の途中での取得(「中抜け」)の設定までは義務ではありません。ただし厚生労働省は、法を上回る措置
として「中抜けあり」の休暇取得を認めるように配慮を求めています。
中抜けができれば、自宅と会社が近い労働者にとってはより使い勝手が良くなるでしょう。
社内規程を改定する際の例には、次のようなものが考えられます。

◯条:子の看護休暇介護休暇
(1)(略)
(2)子の看護休暇介護休暇)は、時間単位で、始業の時刻から連続し、または終業の時刻まで連続する形で取得する
ことができる。

現行の規定で「半日単位」となっているところを、「時間単位」に置き換えます。ちょうど半日分になるように
時間数を調整すれば半日単位取得は可能ですが、これまで通り半日単位での取得ができるように併記することも
考えられます
(1)現行では、交代制勤務のように、「業務の性質または実施体制に照らして半日単位で看護・介護休暇を取得すること
が困難な業務」に関しては、労使協定で除外することを認めていますが、半日単位取得を時間単位取得に置き換えた
場合も、改めて労使協定を締結する必要があります。
(2)コアタイムなしのフレックスタイム制で働く場合、労働者自身が始業・終業の時刻を決められるため、今回の改正の
対象としなくてもよいのではないか、と捉える向きもありますが、看護・介護休暇労働者の「労務提供義務」を
免除するものであり、労働時間を柔軟に設定できるフレックスタイム制とは制度の趣旨が異なります。
よって、フレックスタイム制で働く労働者についても、本制度の対象とする必要があります。

本制度の法改正は2021年1月から施行されますので、関連社内規程(育児介護規程等)の改正(及び当局宛届け出)は
年内に済ませておくことをお勧めします。

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