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総務の『勘所』2 睡眠時間は6時間以上、と呼びかけましょう。

こんにちは。社会保険労務士の田中です。

総務の皆様に向けて、人事労務関連のポイントを随時、お伝えします。
法令に関する事、実務上のノウハウなどの情報発信を予定しています。

第2回は「6時間以上の睡眠時間を確保」です。

労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)
『 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の
  安全を確保しつつ労働することができるよう、
  必要な配慮をするものとする。     』

言うまでもなく、「安全配慮義務」ですね。
ところで「生命、身体等の安全を確保」には睡眠時間が重要です。
それには「6時間以上」が望ましいのですが、総務担当の皆様には、
全社的に発信をして頂きたいと思います。

この「睡眠時間6時間」についていくつか説明します。


☆☆☆☆ 過労死・自殺ラインは睡眠時間からの逆算 ☆☆☆☆

過労死・自殺ラインは、次のいずれかです。
1ヶ月100時間超えの時間外労働(残業)
1ヶ月平均80時間超えの時間外労働(残業)

どちらも確保できる睡眠時間からの逆算です。
計算方法は次の通りです。

(1)通勤・食事・休憩に必要な時間は1日6時間
(2)法定労働時間は1日8時間

(1)と(2)を合計すると14時間です。
1日24時間−14時間=10時間です。

この10時間はいわば「自由時間」です。
このうち4時間を残業に充ててしまうと残りは6時間。
つまり睡眠時間がぎりぎり6時間確保できます。

そして、1ヶ月の勤務日を20日とすると、
1日4時間の残業×20日=80時間となります。

同様の計算で、1ヶ月100時間の残業時間ですと、
睡眠時間は5時間しか確保できません。

残業が月間80時間を超えると1日6時間の睡眠時間が確保できない。
残業が月間100時間を超えると1日5時間の睡眠時間が確保できない。

こういう事になります。


☆☆☆☆ 勤務間インターバル11時間=睡眠時間6時間 ☆☆☆

厚生労働省はインターバルを11時間と推奨しています。
これも次のように睡眠時間を6時間確保できる計算となります。

(1)睡眠時間 : 最低6時間
(2)通勤時間 : 片道1時間×往復=2時間
(3)その他生活時間(食事、入浴、身支度等):朝1時間+夜2時間=3時間

(1)+(2)+(3)=11時間です。

その他、勤務間インターバル制度の労働協約では
睡眠時間や在宅時間を確保できるよう、定めたものもあります。
「睡眠時間を6時間とする」という内容は印象的です。
ご関心があればこちらをご覧ください。↓

https://www.tanakajimusho.biz/mm-past
(過去のメルマガ2018/10/09配信分)



☆☆☆☆ 通勤時間が長時間となる人に注意 ☆☆☆☆

さて、前述の過労死・自殺ライン及びインターバル勤務制度では、
通勤時間を「1日2時間」としています。
ちなみに、通勤時間(1日)の平均は次の通りです。

1位 神奈川県 1時間45分
2位 千葉県  1時間42分
3位 埼玉県  1時間36分
4位 東京都  1時間34分 
総務省統計局「平成28年社会生活基本調査」より)

人により通勤時間には差があります。
片道20~30分程度の人、1時間30分を超える人、
中には、新幹線通勤という人もいるでしょう。

通勤時間が1日2時間よりも長くなる人は、
睡眠時間が削られている可能性もあるので、ご注意ください。

また、近郊に住宅を購入して引っ越しをした人は、
通勤時間が長くなり、睡眠時間が短くなる可能性があります。

私の身近な例をご紹介します。
1日の通勤時間が、40分から2時間20分に増えた人は、
睡眠時間が約1時間、短くなりました。
通勤時間の増加分は1時間40分なので、約40分は何らかの
自由時間が少なくなっていると思われます。


☆☆☆☆ 育児か介護をしている人にも注意 ☆☆☆☆

その他、育児や介護にも時間は必要です。
育児は子供が小学生や中学生になっても手はかかりますし、
介護の場合、別居している親の介護をすることもあります。
プライベートな事ではありますが、ある程度は従業員
家庭環境を把握する必要はあると考えます。

当然ながら育児や介護に時間を取られる人は、
睡眠時間が短くなっている可能性が高いです。


☆☆☆☆ 睡眠時間は6時間以上、全社に発信 ☆☆☆☆

睡眠時間は少なくとも6時間を確保したいものです。
全社の朝礼や会議などでは、睡眠時間数を具体的に
挙げることは、あまり多くないのではないかと思います。

これからは「睡眠時間を6時間以上確保する」という事を
繰り返して発信していく事が望ましいと考えます。


☆☆☆☆ 次のステップは「睡眠の質」 ☆☆☆☆

「スリープテック」の存在感が増しつつあります。
睡眠の質を高める、製品やアプリなども提供されています。

「睡眠時間6時間」という「量」を確保した次には、
「質」をいかに高めるか、に取り組むべきでしょう。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。(2021.04.01)

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社会保険労務士 田中事務所 (プライバシーマーク 10840681)

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