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70歳定年か!改正高年齢雇用安定法について

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 ○中小企業戦略【総務の知恵】  2021.4.12
 70歳定年か!改正高年齢雇用安定法について vol.361
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 なかはしです。
 4月の年度初めで、入社式で新入社員を迎えた会社も多いと思います。
 大阪府などで、「まん延防止等重点措置」が適用されました。
 飲食店の皆様には、時短営業やマスク着用の義務化、アクリル板設置など
負担が多くなることが増えることばかりと感じます。容易ではないですが、
逆風は、チャンスと捉えて積極的経営を行っていきたいですね。

 <高年齢雇用安定法改正の背景にあるものは>
日本は、少子高齢化が急速に進展しています。労働力人口の減少を跳ね返し
経済と社会を発展させるための全員参加の社会実現が求められています。
15-64歳人口は、1997年の8,697万人をピークに減少を続けており、2017年には
7,604万人と20年間で1,000万人程度減少し、2040年には、5,978
万人まで減少すると予想されます。そこで、長寿化による職業生活の更なる
長期化の中、高齢者の活躍支援が求められています。
雇用政策研究会報告書 2019年7月 雇用政策研究所 抜粋)

65歳以上の社員の人も2017年1月1日から雇用保険の加入要件を満たせば、
雇用保険が適用(加入)するようになりました。
2020年4月1日からは、雇用保険の免除規定が撤廃され、労使とも、
雇用保険料を納めなればなりません。ちなみに、上限年齢はありません。
80歳でも、100歳でも、働いている限りは、雇用保険の納付は必要で、
阿倍前総理大臣の掲げた「生涯現役社会」の実現と考えます。

定年制度改正の推移>
1986年 55歳以上定年から60歳以上定年を努力義務に
1998年 60歳以上定年を義務化
2000年 65歳までの雇用確保努力義務に
2006年 65歳までの雇用確保を義務化
2013年 希望者全員の65歳までの雇用再雇用可)を義務化
2021年 70歳までの雇用確保を義務化
2025年 65歳定年の義務化を予定

<改正高年齢雇用安定法について>
 令和3年4月1日から改正高年齢雇用安定法が施行されます。
       65歳までの雇用確保(義務)
            +
       70歳までの就業確保(努力義務)
 70歳までの就労確保措置を講じることが「努力義務」となったことに伴い、
 再就職援助措置などが追加されています。

 ※ 高年齢者就業確保措置について
定年を70歳未満に定めている企業様や65歳までの継続雇用としている企業様は、
次の1~5の高年齢者就業確保措置を講じるよう努める必要があります。
1.70歳までの定年引上げ
  2.定年制の廃止
  3.70歳までの継続雇用制度の導入
 4.70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
 5.70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
   5-1 事業主が自ら実施する社会貢献事業
   5-2 事業主が委託、出資等する団体が(資金提供)等する団体が
      行う社会貢献事業
 
 3から5に関しては、事業主が講じる措置について、対象者を限定する基準を
設けることが可能ですが、その場合過半数労働組合等の同意を得ることが望ま
しいとしています。
 4と5に関しては、過半数労働組合等の同意を得た上で、措置(創業者支援措
置)を導入する必要があります。組み合わせて導入する場合、原則、3の70歳
までの継続雇用制度を導入して、個々の労働者の希望を聞いた上で、業務委託
 契約を締結する場合、過半数労働組合等との同意を得る必要はありません。

業務委託契約雇用契約の違い>
労働基準法第9条では、「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所
に使用される者で賃金を支払われる者をいう。と規定しています。
労働基準法研究会(昭和60年12月19日)の判断基準に基づき、実態を踏まえ
て、労働者と判断され
その判断基準とは、一つは、使用従属性です。指揮監督下の労働であるか、どう
かです。業務委託契約が一定の仕事に対して、その成果物に対して報酬を支払う
に対して、労働者は、時間基準や勤務場所・勤務時間の拘束がある点で判断され
ます。その他、機械、器具の設備を負担しているか、報酬の額、専属性、社会保険加入も
判断基準になります。
報酬の面では、労働者では、ないのだから、最低賃金以下の金額での契約でも
良いということではなく、今回の高齢者の創業支援等措置で、経験、能力、能力
業務量等を考慮することが求められています。

<当社では、継続雇用対象者を労使協定方式で限定しています>
平成25年3月31日以前には、60歳から65歳までの継続雇用の対象者を限定
する基準を労使協定方式で定めることができていました。現行の法律では、
65歳までの労使協定を再締結することはできませんが、65歳から継続雇用
ついて、労使協定で基準を定めることは可能です。以前の労使協定を締結して
いる場合に経過措置を設けて、規定変更および運用を行うことができます。
65歳までの基準年齢は、3年ごとに1歳引き上げています。
平成31年4月1日から令和4年3月31日まで   63歳
令和4年4月1日から令和7年3月31日まで   64歳
もちろん、経過措置を設けず、65歳からの継続雇用に関してのみ、労使協定
を締結して、今回の改正に沿った規則変更を行うことも一案です。

<65歳超雇用推進助成金 令和3年4月以降コースのご案内>
主な受給要件は、就業規則等を次の1から4のいずれかに該当する新しい制度
を実施し、就業規則労働基準監督署へ届出することです。
1、旧定年年齢を上回る65歳以上への定年引上げ
2.定年の定めの廃止
3.旧定年年齢及び継続雇用年齢を上回る66歳以上の継続雇用制度の導入
4.他社に継続雇用制度の導入
就業規則定年引上げ等を実施する場合は、社会保険労務士などの専門家等に
経費を支出したことが必要になります。
支給額例として、2パターンをご案内いたします。
対象被保険者 10人未満  70歳以上の定年引上げ 120万円支給
対象被保険者 10人未満  70歳以上継続雇用制度の導入 80万円支給

<最後に>
65歳未満の在職老齢厚生年金の基準額28万円が47万円に引き上げに令和3年4月に改正予定です。
在職老齢厚生年金制度とは老齢年金を12で割った「基本月額」と社会保険の等級に賞与保険料等級を
12で割った月額を加えた「総報酬月額相当額」が現在では、28万円以下であれば、年金が満額支給されます。
この基準が、47万円になり、現状では、年金カットになり、労働意欲が削がれる面がありましたが、
47万円に引き上げになりますので、60歳以上の方の働きやすくなる改正であると考えます。
企業担当者は、労働法規の改正および保険関係の改正の踏まえ、より高齢者の知識・能力を
発揮して頂き、活躍の場を再設計することをお薦めいたします。

最後までお読み頂きましてありがとうございます。
ご不明の点は何でもお気軽にお尋ね下さい。
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          オフィス中橋 社会保険労務士 中橋章好
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