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退職や時効で消滅する年次有給休暇は買い上げすべきでないか?

こんにちは。社会保険労務士の田中です。
東京都では緊急事態宣言が5月31日まで延長されました。
開催まで約2ヶ月の東京オリンピックが心配されます。

さて「令和2年 就労条件総合調査」によると、
年次有給休暇(以下、「年休」)の取得率は同年に56.3%でした。
これは昭和59年に同調査が始まってからの最高値のようです。
それでも退職時効で消滅する日数は少なからずあります。

年休は取得して労働者が心身を休ませるためにあるのですから、
会社が買い上げる事は年休の趣旨に反します。

しかし、消滅する年休や、法定を上回って付与された年休は、
会社が買い上げる事が可能と考えられています。

「年休の買上げを予約し予約された日数について年休取得を認めないことは、
 年休の保障(労基39条)に反するが、結果的に未消化の年休日数に応じて
 手当を支給することは違法でない。」(菅野和夫 労働法第12版 P.575)

実務上、このように年休を買い上げる事は少なくないと思います。

一方、買い上げを無効と解する次の学説もあります。

「このような取扱いが容認されると、事後的に金銭の支払いをうけることを
 期待して労働者が現実の年休取得を控える行動に出ることが考えられ、
 年休制度の趣旨に反する事態を招きかねない。
 したがって、事前・事後を問わず、未消化年休に対して使用者
 金銭を支払うことは、原則として労基法39条に違反し無効と解すべきである。」
(水町勇一郎 詳解労働法P.747)

傾聴すべき考え方です。
これを別の角度でとらえると、年休の買い上げを有効とするには、
会社として年休の買上げは原則禁止(=容認しない)として、
買い上げの期待をさせないという事でしょう。

また「消滅する年休は買い上げができる」という理解で終わらず、
「その前提として年休が取得しやすい就業環境をつくること」を
より強く意識すべきでしょう。
(その企業努力の上で初めて年休の買い上げが可能となる。)

今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。(2021.05.14)

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