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休日の8時間超の労働が25%+25%の割増とならない理由

こんにちは。社会保険労務士の田中です。

昨日(2021/08/10)は東京都心で36.8℃の猛暑日となりました。
多摩の八王子では39.0℃と全国で最も暑い地域となりました。
引き続き暑い日が続きますので、熱中症にお気を付けください。

さて、今回は割り増し賃金についてお伝えします。
時間外労働(1日8時間超え)と休日労働(1週40時間超え)の
割増率はどちらも25%です。

例えば、次のような会社があります。
所定労働時間 1日8時間 
所定労働日  月曜日から金曜日
法定休日   日曜日 


☆☆☆☆ 土曜日と日曜日の通常時間帯での労働 ☆☆☆☆

この会社に勤めるAさんが月曜日から金曜日に出勤した上で、
仕事が忙しくて土曜日に出勤しました。
(月曜日から金曜日の出勤で労働時間が40時間を超えている。)

出勤した土曜日も仕事が多く、11時間も働きました。
この場合、11時間全てが25%割り増しとなるだけで、
8時間を超えた時点で25%+25%=50%増しにはなりません。

これは法定休日に出た場合も同様で法定休日での労働時間が8時間を
超えても35%+25%=60%増しにはなりません。


☆☆☆☆ 土曜日と日曜日の深夜時間帯での労働 ☆☆☆☆

一方、所定休日の労働が午後10時から午前5時の深夜時間帯に入ると、
25%+25%=50%の割り増しとなります。

同様に法定休日での労働が午後10時から午前5時の深夜時間帯に入ると、
35%+25%=60%の割り増しとなります。


☆☆☆☆ どうして8時間超と深夜時間の扱いが違うのか ☆☆☆☆

給与計算を担当している人にはごく常識的なことですが、
慣れない人には違和感があるようです。

これは根拠となる労働基準法の条項が異なり、
その趣旨・目的が異なるからです。

時間外労働休日労働(所定・法定ともに)は、
同法第37条1項で割り増しを義務付けています。

使用者が(略)労働時間を延長し、又は休日に労働させた
場合においては、その時間又はその日の労働については、
通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上
5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で
計算した割増賃金を支払わなければならない。(略)』

これは「労働時間の長さ」に着目しています。
つまり、時間外労働休日労働は同一の性質を持っているので、
時間外労働 + 休日労働は合算されません。

一方、深夜時間帯については、
同法第37条4項で割り増しを義務付けています。

使用者が、午後10時から午前5時まで(略)の間において
 労働させた場合においては、その時間の労働については、
 通常の労働時間賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した
 割増賃金を支払わなければならない。』

これは、「労働の時間帯」に着目しています。
従って、1項は「労働時間の長さ」4項は「労働の時間帯」を定めていて、
その目的が異なりますので、1項にある時間外労働休日労働
4項にある深夜労働の割り増しは合算されることになります。


☆☆☆☆ 通達もあります。 ☆☆☆☆

平6.1.4 基発1
「時間外又は休日労働に対する割増率は時間外又は休日労働
深夜に及んだ場合には、それぞれ5割以上の率、6割以上の率となる。」


☆☆☆☆ 補足 政令で定める割増賃金の率の根拠 ☆☆☆☆

前述の労働基準法第37条1項では割増賃金の率を政令で定める、
としています。これは次の政令が根拠となります。
労働基準法第37条第1項の時間外及び休日割増賃金
 係る率の最低限度を定める政令』
ここに「延長した労働時間の労働については二割五分」
休日の労働については三割五分」とされています。


今回も最後までお読み頂きありがとうございます。(2021.08.11)

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