こんにちは。
社会保険労務士の田中です。
7月になりました。そろそろ夏休みの声が聞こえる頃です。
夏休みに合わせて
年次有給休暇を取得する人も多いと思います。
今回は、年休取得に対する不利益取り扱いについてお伝えします。
---------------------------------------------------------------------------------
当所HPにて「
人事労務の一問一答」をご提供しています。
https://www.tanakajimusho.biz/jinjiQA
少しずつ増やしています。よろしければご覧ください。
---------------------------------------------------------------------------------
「年休を取得した人に
賃金減額などの不利益な取り扱いをしてはいけない。」
・・・
人事に携わる方であれば、周知の事実だと思います。
ところで、
年次有給休暇は
労働基準法 第39条に定められています。
それでは、年休取得の不利益取り扱いも39条にあるのでしょうか。
実は39条あたりを探していても見つかりません。
ずっと離れた
労働基準法附則第136条に次のように定められています。
「
使用者は、第39条第1項から第4項までの規定による
有給休暇を取得した
労働者に対して、
賃金の減額その他
不利益な取り扱いをしないようにしなければならない。」
条文が「しないようにしなければならない」と控えめな表現ですし、
判例でも「
使用者の努力義務を定めたもの」としています。
(沼津交通事件 第二小法廷判決 平5.6.25)
そして、これには
罰則の適用もありません。
しかし、古い体質の企業などでは
年次有給休暇を取得したことに
対して次のような取り扱いをする事が散見されます。
これらは避けるべきことです。
・
賞与から一定額を控除する。
・
人事評価でマイナス評価をする。
・昇給幅を小さくする。 等々
また、経営側が次のように考えることもあります。
こちらも避けるべきことです。
(ケースA) 特定のAさんだけが取得している場合…
「皆が年休取得を控えているのに、どうしてAだけ毎月のように取得するのか?」
対策 → 年休を取得しているAさんだけを非難するのではなく、
他の人も取得できるような環境を整えるべきでしょう。
一方、Aさんは仕事に支障が出ないように仕事を調整する事や
同僚にひとこと協力をお願いするなどの配慮が望まれます。
(ケースB) Bさんが週末や連休につなげて年休取得している場合…
「年休を取得するのは良いが、どうしてBは必ずと言ってよいほど、
週末や連休とつなげるように取得するのか?」
対策 → 年休を連休や週末とつなげることでより有意義に年休を
活用できると理解した上で、特定の人のみならず、
多くの
従業員が連続した年休の取得ができるようにするか、
または会社から計画付与として皆が公平に取得できるようにする、
という事が望まれます。
【 まとめ 】
年休取得にかかる不利益取り扱いは、ただちに違法にはなりませんが、
避けるべきことです。年休取得は
労働者の権利ですし、
不利益取り扱いにより
モチベーションが下がるのであれば、
企業としてはより高いコストになりかねません。
また会社と
従業員との不要な摩擦が生じるリスクもあります。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。(2022.07.05)
=============================================
就業規則のあれこれ。Q and A
https://www.tanakajimusho.biz/rulebookQA
就業規則の見過ごしがちなチェックポイント
https://www.tanakajimusho.biz/checkpoints
社会保険労務士 田中事務所
「
労務顧問」「手続顧問」で東京・横浜・川崎の中小企業を支援
https://www.tanakajimusho.biz/
=============================================
こんにちは。社会保険労務士の田中です。
7月になりました。そろそろ夏休みの声が聞こえる頃です。
夏休みに合わせて年次有給休暇を取得する人も多いと思います。
今回は、年休取得に対する不利益取り扱いについてお伝えします。
---------------------------------------------------------------------------------
当所HPにて「人事労務の一問一答」をご提供しています。
https://www.tanakajimusho.biz/jinjiQA
少しずつ増やしています。よろしければご覧ください。
---------------------------------------------------------------------------------
「年休を取得した人に賃金減額などの不利益な取り扱いをしてはいけない。」
・・・ 人事に携わる方であれば、周知の事実だと思います。
ところで、年次有給休暇は労働基準法 第39条に定められています。
それでは、年休取得の不利益取り扱いも39条にあるのでしょうか。
実は39条あたりを探していても見つかりません。
ずっと離れた労働基準法附則第136条に次のように定められています。
「使用者は、第39条第1項から第4項までの規定による
有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他
不利益な取り扱いをしないようにしなければならない。」
条文が「しないようにしなければならない」と控えめな表現ですし、
判例でも「使用者の努力義務を定めたもの」としています。
(沼津交通事件 第二小法廷判決 平5.6.25)
そして、これには罰則の適用もありません。
しかし、古い体質の企業などでは年次有給休暇を取得したことに
対して次のような取り扱いをする事が散見されます。
これらは避けるべきことです。
・賞与から一定額を控除する。
・人事評価でマイナス評価をする。
・昇給幅を小さくする。 等々
また、経営側が次のように考えることもあります。
こちらも避けるべきことです。
(ケースA) 特定のAさんだけが取得している場合…
「皆が年休取得を控えているのに、どうしてAだけ毎月のように取得するのか?」
対策 → 年休を取得しているAさんだけを非難するのではなく、
他の人も取得できるような環境を整えるべきでしょう。
一方、Aさんは仕事に支障が出ないように仕事を調整する事や
同僚にひとこと協力をお願いするなどの配慮が望まれます。
(ケースB) Bさんが週末や連休につなげて年休取得している場合…
「年休を取得するのは良いが、どうしてBは必ずと言ってよいほど、
週末や連休とつなげるように取得するのか?」
対策 → 年休を連休や週末とつなげることでより有意義に年休を
活用できると理解した上で、特定の人のみならず、
多くの従業員が連続した年休の取得ができるようにするか、
または会社から計画付与として皆が公平に取得できるようにする、
という事が望まれます。
【 まとめ 】
年休取得にかかる不利益取り扱いは、ただちに違法にはなりませんが、
避けるべきことです。年休取得は労働者の権利ですし、
不利益取り扱いによりモチベーションが下がるのであれば、
企業としてはより高いコストになりかねません。
また会社と従業員との不要な摩擦が生じるリスクもあります。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございました。(2022.07.05)
=============================================
就業規則のあれこれ。Q and A
https://www.tanakajimusho.biz/rulebookQA
就業規則の見過ごしがちなチェックポイント
https://www.tanakajimusho.biz/checkpoints
社会保険労務士 田中事務所
「労務顧問」「手続顧問」で東京・横浜・川崎の中小企業を支援
https://www.tanakajimusho.biz/
=============================================