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【社長辞任】社長の暴言なのに、産業医業務なのか?Q&A③

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 従業員の健康問題(従業員主治医の診断書が起因)が企業の経営に直結し、時には社長・役員の辞任、売上減少、株主代表訴訟にまで発展するケースが顕在化しています。また、従業員の健康を第一に守るという目的により、企業ガバナンスの逆転現象が起き、結果的に健康を守りきれなかったという矛盾も生じています。
 健康管理は、ケガからハラスメントまで、対策の範囲が広いです。そこで、企業ガバナンスを経営者主体という本来の形にすることで、会社と経営者を第一に守り、その結果、従業員の健康を守るという目的で、下記の日本規格協会規格(JSA 規格)「JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針」を開発しました。
 また、認証機関も立ち上げております。
なお、日本規格協会は、経済産業省による認定産業標準作成機関であり、唯一のマネジメントシステム作成機関です。
 企業主体の健康管理体制の構築について、ぜひJSA-S1025をご活用ください。

 今回は、「【社長辞任】社長の暴言なのに、産業医業務なのか?Q&A③」について作成しました。
 企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。
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【社長辞任】社長の暴言なのに、産業医業務なのか?Q&A③
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 次のコラムについて、大きな反響をいただきありがとうございます。
 裁判所提案で、社長辞任となる時代がいよいよ始まっています。
 もはや、医師と連携していない社長については、裁判所は一定の結論を出したと言えるでしょう。
 医師と連携している社長について、対応の正当性が、次世代の裁判の争点になると考えられます。
 【社長辞任】ハラスメントによる従業員の健康障害について、問い合わせがありましたので、Q&A形式で回答させていただきます。

【社長辞任】ハラスメントによる従業員の健康障害
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177734/

Q
 原因として、社長の暴言によるメンタル疾患とされているのに、産業医が対応できるのか?

A
 健康障害に起因するものであれば、産業医業務です。
 健康障害の原因が社長であれ、あるいは以下のコラムの様に男女関係であっても、同様です。

【テレビ局関係】男女間の問題は産業医の通常業務
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177551/

 社長による暴言やハラスメントは、従業員の心身の健康を損なう重大な労働災害リスクです。産業医は、従業員の健康を守る専門家として、このリスクに対する健康管理上の措置について、専門的な見地から会社に助言・指導を行う重要な責務があります。

1. 健康管理の範囲とハラスメント
 企業の健康管理は「ケガからハラスメントまで、対策の範囲が広い」ものです。
・健康障害の予防
暴言(ハラスメント)は、被害者のメンタルヘルスを悪化させ、休職や離職、最悪の場合は過重労働事案と同様に重大な労災(自殺等)につながる可能性があります。
産業医の役割
労働安全衛生法において、産業医は健康障害を防止するための作業環境管理、作業管理、労働衛生教育などの措置について助言・指導を行うこととされており、ハラスメント対策も当然その範囲に含まれます。

2. 【安全配慮義務】の観点から見た社長の暴言
 社長による暴言であっても、企業は従業員に対する安全配慮義務を負います。
 化粧品会社の社長辞任事例は、その企業責任の一端を、社長自身も負うことになった事例と言えます。
 安全配慮義務の考えは、次の様に整理できます。
・企業の法的責任
 加害者が代表取締役自身であった場合でも、安全配慮義務違反に基づく会社の責任が厳しく問われ、高額な賠償が命じられています。
・経営リスクの回避
 これまでは、暴言が原因で従業員に健康被害が生じた場合、企業の金銭賠償責任が主であったことから、事業保険に加入していることで、金銭で解決できることが多かったかもしれません。しかし、社長辞任事例の様に、もはや金銭的問題だけでは済まされなくなっています。これは企業のガバナンスと経営そのものを揺るがす重大なリスクです。
産業医によるサポート
 産業医は、会社が法的・社会的な責任を果たすための「適切な対応」を医学的側面から支える存在です。医学の専門家でない社長こそ、専門家である医師と適切に連携する必要があります。

3. 産業医の対応案
 社長の暴言事案における産業医の対応案は以下の通りです。
①被害者への対応
 暴言による健康影響を評価し、面接指導や適切な医療機関への受診を勧めます。健康情報の適正な管理を行い、会社への就業上の措置(例:配置転換、休養)の意見具申を行います。
 また、産業医復職支援を適切に行うことで、従業員の「離職」というストレス要因を避けることが可能であると見込めます。
②会社又は社長への助言
再発防止の提言
 暴言が再度発生しないよう、会社のハラスメント防止体制、教育、相談窓口の運用について改善を提言します。
・環境改善の指導
 必要に応じて、社長を含む経営層への指導、職場環境の評価と改善を提案します。
・連携の強化
 人事労務・法務部門と連携し、事態の正確な把握と、社長による行為であっても毅然とした再発防止策を講じるよう助言します。
③会社又は社長への勧告
 上記の提言後も改善が認められない場合は、産業医は誠実に改善の努力をする必要があります。具体的には、関係者に繰り返し改善の必要性と改善案を提示します。その努力後も改善が無い場合は、産業医労働安全衛生法第13条第5項に基づく勧告を行うことが必要です。
 産業医の勧告を受けても、会社及び社長に改善が無い場合は、その結果責任は会社及び社長が負うことになります。 

 社長による暴言であっても、「産業医業務ではない」と切り捨てることは、会社の安全配慮義務違反を放置することに繋がり、最終的に企業と社長自身の重大なリスクとなるため、産業医による積極的な関与が求められます。 
 社長も人間です。時に、暴言と受け止められる発言をすることもあります。もし、そういった発言があったとしても、刑事事件になるような暴言でない場合は、速やかに専門家を活用し、従業員の健康が守られる様に対応することが必要です。

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JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針

JSA-S1025ページ
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JSA-S1025%3A2025

JSA-S1025紹介
https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/jsa/pdf_jsa_372.pdf

【JSA-S1025】開発の解説
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177724/

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