• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

離婚時の年金分割 その2

平成19年2月15日 第40号
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
人事のブレーン社会保険労務士レポート
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
目次

1. 離婚時の年金分割 その2

===================================

ブログもよろしくお願い致します。
人事のブレーン社会保険労務士日記」です。
http://norifumi.cocolog-nifty.com/blog/
是非見てみて下さい!

***********************************

1. 離婚時の年金分割 その2

***********************************

<1> はじめに

先日、このテーマで弁護士会にて講演をさせていただいた。
非常に悩みましたが、離婚時の年金分割に興味がある方であることは間違いな
いのですが、「年金に興味があるわけではない」「弁護士ですから一般論として
解説しないと役に立たない」等々で、レジュメの構成を非常に悩みました。

しかし、年金分割を突き詰めていくと実は「年金」として捉えるのではなく、
離婚時における紛争の1つ」と捉えた方が分かりやすいことに気づいた。

そして、年金についての知識は余り必要なくても理解できる問題であるという
ことも発見をしました。

本稿では、講演を通じて誤解が非常に多かったと思われる点を、前回のメルマ
ガを補足させて頂き、年金分割についてより深くご理解を頂きたいと思う。

<2> 誤解の多い点

(1)離婚分割と3号分割の施行日についての誤解点

両制度の共通点は、施行日以降に離婚があること。
離婚分割は、平成19年4月1日以降であり、3号分割は平成20年4月1日
以降である。

では、平成20年4月1日以降はどの様になるのか。

この点についてのご質問が非常に多かった。

平成20年4月1日以降も両制度が併存する。
であるから、どちらの制度を選択するかは当事者の自由である。

しかしながら、離婚分割は法施行日前である平成19年4月1日以前の婚姻
間も対象になるが、3号分割の対象となる期間は平成20年4月1日以降の期
間に限るわけである。

この様に考えると、3号分割とは平成20年4月1日以降であったもこの制度
を選択する当事者は非常に少ないであろう。

通常は平成20年4月1日以後であっても、按分割合を協議によって合意を必
要とする離婚分割を選択する当事者が非常に多いということが考えられる。

(2)受給権発生と年金分割

老齢厚生年金の受給権が発生しているか否かは、年金分割を行うにあたっては
全く関係がない。
分割された年金がもらえるかどうかの話である。

仮に受給権の発生が離婚分割の要件であれば、若年層の離婚に対応できないと
いう話になってしまう。

逆をいうと前回もお話ししたが、年金分割によって自らの被保険者期間とみな
される期間と標準報酬月額があったとしても、自らが原則25年の保険料を納
付して受給権を発生させていないと、年金分割を行っても何ももらえないとい
う事態になりうる。

国民皆年金の建前であり、分割される部分も厚生年金及び共済年金であるわけ
であり、国民年金については自らが保険料を納付した期間に限られるのである
から、当然といえば当然ではあるが、年金分割は老齢厚生年金の受給権の発生
と関係がないという点に気を付けなければならない。

(3)総報酬の多い方から少ない方へ分割する

年金分割は、総報酬の多い方から少ない方へ分割する。
例えば、夫が個人事業主国民年金第1号被保険者である弁護士であった場
合で、妻が短時間労働者であっても厚生年金被保険者期間婚姻期間中にあっ
たら、「夫の総報酬額=0」「妻の総報酬額=2」と仮定して考える。

このケースでは、総報酬が多い方は妻であるから、妻の総報酬を夫に分割すると
いう事になる。

専業主婦や扶養範囲で働いている妻が請求すれば、いつも分割される側である、
第2号改定者になるとは限らない事に注意する必要がある。

(4)年金額について

実際年金分割を行い、どのくらいの金額が老後の年金に反映されるかというと、
金額としては期待するほどではない。

婚姻期間が40年で、夫の標準報酬月額がその期間の多くが上限以上であった
場合でも、分割後に増える年金額はせいぜい月額5万円程度である。

年金のことを考えるのであれば、そもそも離婚せずに頑張った方がいい。
やむなく離婚する方に対して、老後の経済的安定に少しでも寄与するようにと
いう制度である。

(5)年金のシミュレーションについて

年金のシミュレーションについては、社会保険事務所で50歳以上であれば算
出してくれる。

もともと離婚を決意し、離婚分割を行おうとする場合、まず、社会保険事務所
で情報提供を受けなければ、「按分割合」の具体的な交渉はできない。

情報提供を受けて、按分割合の下限やその情報が正しいかどうを判断する必要
がある。
であるから、50歳未満の分割後の年金額は大雑把な計算しかできない。
按分割合の上限が「0.5」であるからそれを目標に交渉を進める事がベスト
であろうと考える。

(6)法律婚から事実婚

年金分割に於いては、事実婚内縁の夫の第三号被保険者としての期間が対象
となる。
事実婚から法律婚への移行がなされた場合、これは双方の期間を通算して離婚
分割も3号分割も出来る。
であるから、離婚分割の場合には事実婚から法律婚へ移行して2年を超過した
後の法律婚の離婚であっても、事実婚の期間も分割の対象となる。

しかし、法律婚から事実婚へ移行のケースは、事実婚の解消が法律婚から事実
婚への移行後2年を超過した後に当該事実婚が解消した場合、法律婚の期間は
期限内に請求が出来なかったわけであり、この期間の離婚分割は出来ない。

もっとも3号分割は請求に期限がないわけであるから、法律婚時代であり、か
つその期間が平成20年4月1日以降の第3号被保険者として期間は、法律婚
から事実婚への移行ご2年を超過しても3号分割が行える。

<3> まとめ

政令は未だでておらず、具体的な部分が不明なこともあるが、これはレアケー
スや手続き部分である。

実際に離婚を考えている方、弁護士、社会保険労務士、企業の人事担当者の方が
誤解されている点を中心に今回のテーマとした。

年金分割は、「年金」と切り離して「按分割合」をどうするかという事を中心
に考えていけば分かりやすいと思う。

===================================
メルマガ紹介
───────────────────────────────────
 「部下が育たない!」「人材採用がうまくいかない!」「成果主義って?」
    ~そんな悩みを抱える経営者・人事担当者のための情報サイト~
      『 日 本 の 人 事 部 』 < http://jinjibu.jp/
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
 ◆無料メルマガ◆毎週火曜配信→ http://jinjibu.jp/mag/index.php
───────────────────────────────────

===================================
※ 掲載内容の無断転載は禁止させていただきます。ご一報下さい。
※ 本メルマガの内容につきましては万全を期しておりますが、万一損害が
  発生致しましても責任を負いかねます。
※ メルマガ相互紹介募集中です。

発行者 山本経営労務事務所 (URL http://www.yamamoto-roumu.co.jp/
編集責任者 社会保険労務士 山本 法史
ご意見ご感想はこちらまで(メルマガ相互紹介、転載等お問い合わせもこちらまで)
norifumi@yamamoto-roumu.co.jp

購読中止・変更 http://www.yamamoto-roumu.co.jp/
発行システム まぐまぐ http://www.mag2.com/   ID 0000121960
===================================
             ~我々は相談業である~
        ~我々の商品はお客様への安心感の提供である~
              山本経営労務事務所
 東京都八王子市天神町8番地  tel 042-624-0175(代)
     社会保険労務士7名 有資格者3名 合計14名のスタッフで
皆様をサポート致します!!
           人事のことなら何でもお任せ下さい!
===================================

絞り込み検索!

現在22,361コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP