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1ヶ月単位の変形労働時間制の・・・

平成19年3月15日 第41号
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人事のブレーン社会保険労務士レポート
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目次

1. 1ヶ月単位の変形労働時間制の法定時間外労働所定労働時間外労働の
取扱の留意点

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1. 1ヶ月単位の変形労働時間制の法定時間外労働所定労働時間外労働の
取扱の留意点

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<1> はじめに

労働基準法には変形労働時間制が定められており、主なものとして1ヵ月単位
変形労働時間制1年単位の変形労働時間制及びフレックスタイム制があげ
られる。
今迄、裁量労働時間制や事業場外のみなし労働時間制についてこのメルマガで
も取り上げてきたが、1ヶ月単位の変形労働時間制や1年単位の変形労働時間
制の時間外労働の取扱の質問が多く、今回は1ヶ月単位の変形労働時間制を取
り上げてお話ししたい。

<2> 変形労働時間制を何故導入しなければならないのか

(1)法定労働時間との関係

労働基準法では、1日8時間、1週40時間と定められており、1日8時間
を超えて、1週40時間を超えて労働させる場合には2割5分増しの時間外労
働手当を支払わなければならない。
 1日8時間の5日労働で週40時間になってしまう為、6日目の労働につい
ては全日の時間に対して2割5分増しの割増賃金の支払い義務がある。

 では、例えば1日10時間の4日労働という所定労働時間の設定が可能であ
ろうか。
 労働基準法では、変形労働時間を導入した場合に限り特定の日や特定の週に
法定労働時間である1日8時間、1週40時間を超えた所定労働時間の設定が
可能である。

 1ヶ月単位の変形労働時間制フレックスタイム制は、1ヶ月を平均して週
40時間を達成すれば良く、その範囲内で1日の所定労働時間と1週の所定労
働時間を定めることが出来る。

 次に1年単位の変形労働時間制は1年を通じて1週40時間を達成すればよ
いのであるが、年間を通じて1週40時間の達成をするので、特定の期間につ
いて労働者に過重な労働を強いる可能性があるので、1日の所定労働時間の上
限は10時間。連続労働日は6日間。所定労働時間が48時間を超える週の連
続は最大3週までと回数の制限がある。
 また、36協定の上限時間である大臣告示も1年単位の変形労働時間制だけ
短く定められている。
 本稿では1年単位の変形労働時間制の問題はここまでにとどめておく。

(2)時間外労働時間の削減

 この問題については皆さんも良くおわかりだと思うので多くは述べないが、
特定の週や特定の月に業務が集中する場合には、この変形労働時間制を導入す
ることにより時間外労働時間を削減することが出来る。

 例えば、会計事務所。
3月には確定申告で忙しい。そこで、8月の夏休みや年末年始の労働日を3月に
振り分けて1年間のカレンダーを作成して1年単位の変形労働時間制を導入する。
 結婚式場の場合には、土日が忙しい。
そこで、平日を6時間30分、休日を10時間とする所定労働時間の設定をす
1年単位の変形労働時間制を導入する。
 月末の請求事務が多い会社の場合、月初の所定労働時間を短くし月末に多く
配分するカレンダーを作成し、1ヶ月単位の変形労働時間制にする。
 
 大臣告示で時間外労働の上限が定められている故に、効果的な変形労働時間
制の導入が必要となってくる。

<3>1ヶ月単位の変形労働時間制所定労働時間の考え方

(1)所定労働時間の設定

 1ヶ月単位の変形労働時間制における所定労働時間の算出方法は以下の通り
となる。
 なお1ヶ月の起算日については賃金精算期間の初日からであり、必ずしも歴
月の初日である必要はない。
 計算方法は、「歴月の日数÷1週間の日数である7日」で1ヶ月の週数が出
てくる。
 31日の月(賃金精算期間)
 31日÷7日≒4.4285週

 30日の月(賃金精算期間)
 30日÷7日≒4.2857週

 29日の月(賃金精算期間)
 29日÷7日≒4.1428週

 28日の月(賃金精算期間)
 28日÷7日=4週
となる。

そして、この数字に1週間の法定労働時間である40時間を乗ずると、その月
総労働時間が算出される。

 31日の月(賃金精算期間)
 4.4285週×40時間=177.14
 177時間8分24秒

 30日の月(賃金精算期間)
 4.2857週×40時間=171.428
 171時間25分40秒

 29日の月(賃金精算期間)
 4.1428週×40時間=165.712
 165時間42分43秒

 28日の月(賃金精算期間)
 4週×40時間=160
 160時間
となる。
この時間の範囲内で所定労働時間のシフトを組むこととなるわけである。

(2)所定労働日数

1日8時間労働を前提とすると、31日、30日及び29日の月は月間9日の
休日が必要である。
28日の月は8日の休日が必要である。
この休日をどの様に振り分けるかということである。

法定休日は週に1日の労働日を付与することを求めているので、
第1週 8時間×6日
第2週 8時間×4日
第3週・・・
という所定労働時間の設定も可能である。

(3)1ヶ月単位の変形労働時間制フレックスタイム制の違い

まず、1ヶ月単位の変形労働時間制にはシフトにより前述の総労働時間を振り
分ける必要がある。
当然、労働日と労働日毎の始業終業の時刻を設定しなければならない。

一方でフレックスタイム制においては、前述の総労働時間の範囲内で労働すれ
ば良く、労働日の設定のみを行い、労働日の始業終業の時刻を労働者に委ねる
という制度である。

両者の違いは、始業終業の時刻を定めるか否かである。

フレックスタイム制に於いて労働日を労働者に委ねる運用をしていく企業を見
かけるが、これは間違いである。労働日の決定については労働者に委ねてはい
ない。

(4)時間外労働の考え方の比較

 フレックスタイム制度に於いては、賃金精算期間を締め切った場合に初めて
時間外労働時間数がわかる。
 前述の177時間や171時間を超過したものが時間外労働となるわけであ
る。

では、1ヶ月単位の変形労働時間制の場合にはどの様な取扱がなされるのであ
ろうか。
177時間や171時間をフルに使ってシフトを組んだ場合には、シフトで定
めた労働時間を超過した場合に、2割5分増しの割増賃金が必要となる時間外
労働時間となる。

では、時間をフルに使わないでシフトを組んだ場合や短時間労働者に対しての
所定労働時間の考え方を次で整理してみる。

<4>1ヶ月単位の変形労働時間制における短時間労働者時間外労働の考え


(1)変形労働時間制における法定労働時間超過時刻の考え方

 前に述べたように、変形労働時間制とは特定の日、特定の週に法定労働時間
を超過した所定労働時間の設定が可能である。
 ではいつからが法定労働時間を超過したのか。
答えは非常に単純である。
法定労働時間(8時間)と所定労働時間のどちらか長い方を超過した時点で、
2割5分増しが必要となる割増賃金の支払い義務が発生する。

しかし、実務上この考え方で運用することが必要となってくる対象者は177
時間等の月の総所定労働時間に満たないシフトを組んでいる労働者である。
月の総労働時間いっぱいに組んでいる労働者はこの考え方をせずとも、労働日
毎の労働時間オーバーが即ち法定残業時間となり2割5分増しの乗率で時間外
労働手当を支給しなければならないからである。

(2)1ヶ月単位の変形労働時間制における法定外残業と法定内残業の考え方

 1ヶ月単位の変形労働時間制を用いた場合、旗日のない6月と、1日しかな
い10月と3月についてシフトを組むことが難しい。
 177時間等の月間総所定労働時間内で収まらないからである。
 しかしその一方で、年末年始休暇のある1月と12月、GWのある5月、夏
期休暇のある8月は月間総所定労働時間に満たないシフトの構成になってしま
う。
 シフトを組む権限は使用者にあるわけであるから、基準内賃金に対応した労
働時間は所定労働時間であるという見地より、仮に31日の月に160時間の
シフトしか組まなくても、残りの17時間分は放棄したことになり、その労働
者の基準内賃金に対する労働時間は160時間となる。
 そうなると、残りの17時間の賃金についてはどの様な取扱になるのであろ
うか。

 この場合の実務の多くは、通常月と同様に所定労働時間を超過した時点で2
割5分の割増賃金を支給している。
 上記例で考えると17時間分を2割5分増しで支払っているわけである。
 しかし法令上は、その様な取扱をする必要はなく以下の様に取り扱う。

(3)短時間労働者及び所定労働時間が日々違う労働者の法定外残業と法定内
残業の考え方

 1ヶ月単位の変形労働時間制は、1日8時間を超えた所定労働時間の設定が
出来る。
 この場合、いつから2割5分の割増率の対象となる労働時間になるのであろ
うか。

 これについては、1日の所定労働時間が何時間であるかによる。
1日8時間を超える所定労働時間を設定している労働日に於いては、当該所定
労働時間を超過した時間。
 1日8時間以内の所定労働時間を設定している労働日においては、法定労働
時間である8時間を超過した時間に対して割増賃金を支払えばよい。
 端的に言うと、所定労働時間法定労働時間である8時間と比べて長いか短
いかで、割増賃金の対象となる時間が変わってくる。

 例えば1日7時間の所定労働時間の場合、7時間を超過し8時間までは割増
をしない所定残業になる。
 しかし、8時間を超えると当然ながら割増賃金の対象である。

一方、所定労働時間が10時間の場合には、10時間を超過した時間が2割5
分の割増率で計算する労働時間となる。

しかし、1日の超過時間分をのみを考えていても、7時間の6日労働の場合の
取扱はどの様にするのか。
これも所定労働時間で考える。
1ヶ月単位の変形労働時間制であるから、特定の週に40時間を超える所定労
働時間の設定は可能である。
この週が、1日7時間の6日労働でシフトが組まれていれば、割増賃金の発生
はない。
しかし、5日のシフトであれば、どの様に考えるのであろう。
この場合も、1日の所定労働時間の考え方と同様に、週の所定労働時間と40
時間どちらが長いかである。
長い方を超過した時点で、割増賃金の対象となる。
「日次超過時間」と「日次超過時間を控除した週次超過」に加えて、「月次の
総労働時間から、日次超過時間と週次超過時間を控除した労働時間」が、月次
所定労働時間である177時間や171時間を超過した場合には、当該超過
時間が割増賃金の対象となる。
日次で見て、週次でみて、月次で見るわけである。

前述したが、177時間や171時間でシフトをしっかり組んでいる場合には、
日次超過時間の集計で問題ないケースが殆どであるが、短時間労働者や日々所
労働時間が変わる労働者については、この方法をとらないと未払賃金となる
ケースが出てくる。

(4)短時間労働者に対する1ヶ月単位の変形労働時間制適用の必要性

どの様な場合、短時間労働者に1ヵ月の変形労働時間制を適用させる必要があ
るのであろうか。
短時間労働者であっても、週1回出勤で一日の所定労働時間が8時間を超える
設定がなされている場合や、一日の労働時間が短くても6日出勤で週の所定労
働時間が40時間を超過するケースである。

例えば結婚式場に於いて、土曜日と日曜日に所定労働時間が10時間として労
働させる場合、週2日で20時間の所定労働時間であるが、8時間を超える所
労働時間の設定がなされている為に変形労働時間制の導入が必要になる。

<5> まとめ

本稿では、1ヶ月単位の変形労働時間制の中で短時間労働者の時間外計算の問
題を述べたかった。
非常に多い質問であり、誤解が多い部分でもあり、取り上げた次第である。
1ヶ月単位の変形労働時間制のメリットとデメリットをよく誤解頂き運用して
頂きたい。

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発行者 山本経営労務事務所 (URL http://www.yamamoto-roumu.co.jp/
編集責任者 社会保険労務士 山本 法史
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