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出向命令権の濫用

こんにちは 社会保険労務士の三木です。

今回は出向規定の適正な運用についてお話しします。

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出向命令権の濫用

最近、近い将来の転籍を予定して出向させたり(転籍出向まがい)、出向中(在籍出向)の労働者転籍させる例が増えています。そして、それに関連した労働問題が増加しています。

 使用者労働者出向(在籍・転籍)を命じる場合には労働者の同意が必要です。労働者は、出向元の会社を雇用主としてその指揮命令の下に労務を提供するという労働契約を結んでいるので、労働契約の相手方ではない出向先の会社が雇用主になることは労働契約の重要事項が変更されることであり、労働者の個別的同意がなければなりません。
 ただし、在籍出向については就業規則労働協約で、出向規定が具体的に示され周知されている場合には包括的な労働者の同意があるものとみなされ、出向命令権の濫用に当たらない限り個別同意は必ずしも必要でないとされています。しかし、転籍出向については関連会社間等での就退職であり、出向元の社員としての身分を失う、という重大な変更なので原則どおり個別的同意が必要です。

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過去の判例から、出向命令が人事権の濫用として無効とされるか否かは、

出向命令には業務上の必要性が存在するか否か
出向対象労働者の人選に恣意がなく合理的か否か
出向による労働条件の不利益変更や生活上の不利益があるか否か
(あるとしたら軽減措置をとっているか否かやその程度)

の3点を中心として考慮し総合的に判断されています。

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出向命令が不当と思われるときは
出向命令に業務上の必要性がない、人選に合理性がない、労働条件の不利益変更が著しいなどの場合、職場に労働組合があれば相談しましょう。あっても、御用組合のようであったり、ない場合は「一人でも入れる労働組合」に加入し会社と交渉の場を持ちましょう。

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★そうならないためには
出向協定等を締結するときは次のようなことに気をつけてください。
労働者本人の同意が得られない場合は出向できない」とすることは困難かもしれませんが、最低でも、出向の具体的必要性、合理的な人選の方法、労働条件の不利益がないこと(軽減措置を講ずること)、出向命令が適正に行われることなどを明確にしておくことが必要です。
具体的には、出向目的、出向人員、出向期間、現在の労働条件の保証、通勤事情の考慮、遠隔地の場合の手当や単身赴任手当出向中の出向元での所属、復帰後のポストなどを細かく協定すること。

会社としては、出向予定者に説明会を何度も開催し、出向先を見学してもらったり、出向先での仕事内容等を十分把握できるよう努力を惜しまないこと。
慣れない職場環境、同僚、社風により、身体的疲労に加え、精神的疲労が蓄積しますから、出向後の一定期間は定期的な精神的健康チェックも必要になります。うつ病と診断される例が急増し、メンタルヘルスチェックが重要視されています。

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【免責条項】

記載内容については細心の注意を払っておりますが、記載内容によって
生じた損害につきましては責任を負いかねますのでご了承ください。

三木経営労務管理事務所

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