**********************************************************************
■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第121号/2008/2/1>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(65)」
3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(48)」
4.編集後記
**********************************************************************
**********************************************************************
1.はじめに
**********************************************************************
こんにちは。行政書士の津留信康です。
現在、「第169通常国会(※)」が開会中ですが、“ねじれ国会”といわれる中、
予算関連等を巡る混乱も予想され、当分目が離せませんね。
いずれにしても、党利党略や選挙対策などではなく、
国の将来を見据えた、国民目線の“建設的な議論”を期待したいものです。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/169_20be.html
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
★先日、「平成19年度行政書士試験の結果発表(※)」がありましたが、
私は、現在、「同試験の模範解答集や平成20年度試験用予想問題集」
の執筆を手掛けています(詳細は、折を見て、ご案内させていただきます)。
※)
http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_246a.html
**********************************************************************
2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(65)」
**********************************************************************
★2007/8/15発行の第110号より、
「平成19年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
“会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
第12回目は、「株式会社の役員等の変更の登記」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■株式会社の役員等の変更の登記に関する次の1~5の記述のうち、
正しいものはどれか。
1.取締役が、婚姻により氏を変更した場合には、
取締役の変更の登記の申請書には、
戸籍謄抄本、住民票その他の氏の変更を証する書面を添付しなければならない。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合の登記申請書には、上記の書面の添付は不要です(先例)。
2.住居表示の変更により、代表取締役の住所に変更があった場合には、
代表取締役の住所の変更による登記があったものとみなされることはなく、
代表取締役の住所の変更の登記を申請しなければならない。
□正解: ○
□解説
本肢のような場合には、上記の変更登記の申請が必要です(先例)。
3.特別取締役の就任による変更の登記の申請書には、
特別取締役を選定した株主総会の議事録および
当該特別取締役が就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
□正解: ×
□解説
特別取締役(会社法第373条第1項)の就任による変更登記の申請書には、
特別取締役を選定した取締役会議事録および当該特別取締役の就任承諾書
を添付しなければなりません(商業登記法第46条第2項・第54条第1項、先例)。
4.監査役の員数に関する定款の定めを変更して、
増員に係る監査役を選任した場合には、
当該監査役の就任による変更の登記の申請書には、
定款を添付する必要はない。
□正解: ○
□解説
定款の定めがなければ、
登記事項につき、無効または取消しの原因が存することとなる申請については、
申請書に、定款の添付が必要です(商業登記規則第61条第1項)が、
本肢のような場合の登記申請書には、定款の添付は不要です(先例)。
5.会計監査人である監査法人を任期満了時に再任せず、
新たに公認会計士を会計監査人として選任した場合には、
会計監査人の退任および就任による変更の登記の申請書には、
新たな会計監査人を選任した定時株主総会の議事録および
当該会計監査人が就任を承諾したことを証する書面を添付すれば足りる。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合の登記申請書には、
上記の書面(会社法第329条第1項、
商業登記法第46条第2項・第54条第2項第1号)の他に、
会計監査人が公認会計士であることを証する書面
を添付しなければなりません(商業登記法第54条第2項第3号)。
★次号(2008/2/15発行予定の第122号)では、
「組織再編に係る登記」について、ご紹介する予定です。
**********************************************************************
3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(48)」
**********************************************************************
★2007/8/15発行の第110号より、
「平成19年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
民法各編についての理解を深めていただいておりますが、
第12回目は「動産を目的とする担保権」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■動産を目的とする担保権に関する次の1~5の記述のうち、
判例の趣旨に照らし、誤っているものはどれか。
1.指図による占有移転の方法によれば、
同一の動産について、複数の者にそれぞれ質権を設定することができる。
□正解: ○
□解説
質権の設定は、指図による占有移転の方法(民法第184条)であっても、
その効力を生じます(同法第344条)。
2.同一の動産について、
複数の者にそれぞれ譲渡担保が設定されている場合には、
後順位の譲渡担保権者は、私的実行をすることができない。
□正解: ○
□解説
判例(※最判平成18年7月20日)を参照のこと。
※)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=33334&hanreiKbn=01
3.構成部分が変動する集合動産であっても、
その種類、所在場所および量的範囲を指定するなどの方法によって、
目的物の範囲が特定される場合には、
一個の集合物として、譲渡担保の目的物とすることができる。
□正解: ○
□解説
本肢のような場合であっても、一個の集合物として、
譲渡担保の目的物とすることができます(※集合動産譲渡担保)。
※)最判昭和54年2月15日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=26517&hanreiKbn=01
4.所有物を留保した売買契約に基づき、売主から動産の引渡しを受けた買主が、
当該所有物の留保について善意無過失である第三者に対し、
当該動産につき譲渡担保権を設定して占有改定を行った場合には、
当該売主は、当該第三者に対し、当該動産の所有権を対抗することができない。
□正解: ×
□解説
本肢のような場合、当該第三者の占有取得の方法が、
占有改訂に止まるときには、即時取得は成立せず(※最判昭和35年2月11日)、
当該売主は、当該第三者に対し、当該動産の所有権を対抗することができます。
※)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=29255&hanreiKbn=01
5.動産売買の先取特権の目的物である動産について、
買主が、第三者に対し質権を設定して引き渡した時は、
当該動産の売主は、先取特権を行使することができない。
□正解: ×
□解説
本肢のように、動産質権者と先取特権者が競合する場合であっても、
当該動産の売主は、先取特権を行使することができます(民法第333条)。
なお、両者の優先順位については、同法第334条に規定されています。
★次号(2008/2/15発行予定の第122号)では、
「指名債権である金銭債権を担保に供する方法」について、
ご紹介する予定です。
**********************************************************************
4.編集後記
**********************************************************************
★2008/1/28、プライベート版blog「宮崎発・徒然日記(※)」を新設しました!!
仕事のblogとは別に、個人的に興味のあること・気になることを、
“徒然なるままに・・・”綴っていきますので、是非お立ち寄りください。
※)
http://m-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/
■第121号は、いかがでしたか?
次号(第122号)は、2008/2/15発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
□津留行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(
http://www.mag2.com/)」を利用しており、
購読の解除は、「
http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。