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平均賃金が必要な場合とその算定方法

こんにちは 社会保険労務士の三木です。
湿度がぐんと下がって、すっかり秋めいてきました。
今回は、あらためて「平均賃金」を取り上げました。

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 大丈夫ですか、平均賃金の計算

平均賃金の計算は主にこんなとき必要になります。

平均賃金の30日分以上(労基法第20条)
 ・・・労働者解雇する場合の予告に代わる解雇予告手当
②1日につき平均賃金の6割以上(労基法第26条)
 ・・・使用者の都合により休業させる場合に支払う休業手当
③1日につき平均賃金額以上(労基法第39条)
 ・・・年次有給休暇を取得した日について平均賃金で支払う場合の賃金
④減給制裁の制限額(労基法第91条)
 ・・・1回の額は平均賃金の半額まで、何回も制裁する際は支払賃金総額の1割まで
⑤その他
休業補償給付など労災保険給付の額の基礎として用いられる給付基礎日額も原則として平均賃金に相当する額とされています。

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労働基準法の規定
第十二条(定義)この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間 にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。(以下略)

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 ●算定事由の発生した日とは

 ①解雇予告手当の場合は、労働者解雇の通告をした日
 ②休業手当年次有給休暇賃金の場合は、休業日・年休日(2日以上の期間にわたる場合は、その最初の日)
 ③災害補償の場合は、事故の起きた日または、診断によって疾病が確定した日
 ④減給の制裁の場合は、制裁の意思表示が相手方に到達した日

 ●以前3か月間とは

 算定事由の発生した日は含まず、その前日から遡って3か月です。賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から遡って3か月となります。賃金締切日に算定事由が発生した場合は、その前の締切日から遡及します。
 なお、次の期間がある場合はその日数及び賃金額は先の期間および賃金総額から控除します。(私傷病による休業期間については除外されません。)

 ①業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間
 ②産前産後に休業した期間
 ③使用者の責任によって休業した期間
 ④育児・介護休業期間
 ⑤試みの使用期間(試用期間
    
 ●賃金の総額とは

 算定期間中に支払われる賃金のすべてが含まれます。通勤手当、精皆勤手当年次有給休暇賃金通勤定期券代及び昼食料補助等も含まれ、また、現実に支払われた賃金だけでなく、賃金の支払いが遅れているような場合は、未払い賃金も含めて計算します。ベースアップの確定している場合も算入し、6か月通勤定期なども1か月ごとに支払われたものと見なして計算します。 
 ただし、次の賃金については賃金総額から控除します。
 ①臨時に支払われた賃金(結婚手当、私傷病手当、加療見舞金、退職金等)
 ②3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(四半期ごとに支払われる賞与など、賞与であっても3か月ごとに支払われる場合は算入されます)
 ③労働協約で定められていない現物給与

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 ☆計算方法の実際                                           
例として解雇予告手当の場合
3月31日付けで労働者解雇するのに、3月31日に解雇通告をしたとき

 ・賃金締切日は毎月20日とする
 ・過去3ヶ月の賃金額の把握は、締切日ごとに通勤手当皆勤手当、時間外手当など諸手当を含み税金などの控除をする前の額(これが賃金の総額)

 期 間(月分)   日 数   金 額の順とします。
前3月 12月21日~1月20日(1月分) 31日  300,000円
前2月  1月21日~2月20日(2月分) 31日  300,000円
前1月  2月21日~3月20日(3月分) 28日  300,000円
  合 計    90日  900,000円

 ・平均賃金の計算
 賃金総額 900,000円÷90日=10,000円 
よって平均賃金は10,000円00銭(銭未満を切捨て)
 
※ なお、上記は原則であり、賃金が日額や出来高給で決められ労働日数が少ない場合などでは、総額を労働日数で除した額の6割を最低保障として適用します。(第1項1号)

 ・解雇予告手当の支払い
解雇予告期間30日以上であるのに予告期間がないため、30日分以上の手当が必要となります。
10,000円×30日=300,000円00銭(円未満の端数は四捨五入)
よって、300,000円以上の解雇予告手当を通告と同時に支払うこととなります。
(もちろん3/21~31日分の賃金は別途支払う必要があります。)
ちなみに、解雇予告手当は賃金ではなく退職金として扱われます。

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