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“会社法”等のポイント(77)

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行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第133号/2008/10/1>■
 1.はじめに
    ~「平成20年度版・ラストスパート行政書士直前予想問題集」のご案内
 2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(77)」
 3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(60)」
 4.編集後記
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 1.はじめに
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 こんにちは。行政書士の津留信康です。

 「第170臨時国会(※)」が9/24(水)に召集されましたが、
個人的には、平成21年度以降の行政書士試験に大きな影響を及ぼす、
「“新・行政不服審査法案”や“改正行政手続法案”」の審議の行方
に注目しています。
※)http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/17-e09d-1.html

 それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。

★「平成20年度行政書士試験」の受験申込期間も終了し、
 いよいよ本番まで約1ヵ月となりました。
 2008/11/9(日)の本番に向けての総仕上げには、
 私も執筆に参加した、
 「平成20年度版・ラストスパート行政書士直前予想問題集(TAC出版)」
 が最適ですので、どうぞご活用ください!!
 本試験型の模擬試験全3回から構成された同問題集は、
 重要論点を網羅し、解説も充実しています。
※1)平成20年度行政書士試験の概要等
   http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_246a_1.html
※2)平成20年度版・ラストスパート行政書士直前予想問題集のご購入は、
   こちらが便利ですので、どうぞご利用ください。
   http://m-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/20_ad8d.html

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 2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(77)」
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★本稿では、「平成20年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
 “会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
 第3回は、「特例有限会社登記」に関する問題です。
  ※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
    ご了承ください。

特例有限会社登記に関する次の記述のうち、
 正しいものはどれか(午後―第28問)。
1.特例有限会社定款を変更したため登記の申請をする場合において、
  当該登記の申請書に添付すべき定款の変更に係る株主総会の議事録は、
  議決権を行使することができる株主議決権の過半数を有する株主が出席し、
  出席した当該株主議決権の3分の2以上の多数で
  当該定款の変更に係る議案を可決したことが明らかなものでなければならない。
 □正解: ×
 □解説
  本肢のような場合の株主総会の決議要件は、
  「総株主の半数以上であって、当該株主議決権の4分の3以上の多数」
  となります(※整備法第14条第3項後段)。
  なお、本肢の内容は、特例有限会社ではない株式会社
  の決議要件です(※整備法第14条第3項前段、会社法第309条第2項第11号)。
   ※)整備法=会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
2.特例有限会社取締役が任期を定めずに選任された場合において、
  その選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のもの
  に関する定時株主総会が終結したときは、
  他に在任する取締役がいない場合を除き、
  当該取締役の退任の登記を申請しなければならない。
 □正解: ×
 □解説
  本肢のような場合における取締役の任期については、
  会社法第332条の規定は適用されない(整備法第18条)ため、
  当該取締役は任期がないものとされます。
  よって、当該取締役の退任の登記を申請する必要はありません。
3.定款取締役の任期の定めを設けている特例有限会社について、
  当該会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したときであっても、
  みなし解散の登記がされることはない。
 □正解: ○
 □解説
  特例有限会社には、
  会社法第472条の規定は適用されない(整備法第32条)ため、
  みなし解散の登記がされることはありません。
  なお、登記が最後にあった日から12年を経過した株式会社
  いわゆる休眠会社については、
  一定の手続を経た後に、解散したものとみなされ(会社法第472条)、
  登記官の職権で、みなし解散の登記が行われます(商業登記法第72条)。
<ご参考になれば・・・>
  平成14年10月、旧商法第406条の3の規定に基づき法務省が実施した、
  休眠会社の整理について・・・http://www.moj.go.jp/MINJI/minji45.html
4.特例有限会社がその役員について登記すべき事項は、
  取締役監査役および清算人については、氏名および住所であり、
  また、当該特例有限会社に、
  代表権のない取締役または代表権のない清算人がいる場合には、
  代表取締役または代表清算人の氏名を登記する必要があるが、
  代表権のない取締役または代表権のない清算人がいない場合には、
  取締役または清算人の氏名および住所とは別に、
  代表取締役または代表清算人の氏名を登記する必要はない。
 □正解: ○
 □解説
  本肢前段は、整備法第43条、会社法第911条第3項第13号・第17号、
  第928条第1項第1号、
  本肢後段は、整備法第43条、会社法第911条第3項第14号、
  第928条第1項第2号の規定に、それぞれ沿った内容です。
5.特例有限会社は、
  当該特例有限会社株式交換完全親会社となる株式交換による
  資本金の額および発行済株式総数の変更の登記を申請することができる。
 □正解: ×
 □解説
  特例有限会社には、
  株式交換および株式移転についての規定は適用されない(整備法第38条)ため、
  本肢の登記をすることはできません。

★平成18年5月1日の会社法施行から、早2年以上が経過しましたが、
 会社法施行前に設立済みの有限会社(現・特例有限会社)の経営者の中には、
 職権で登記事項の変更が行われていること(たとえば、
 出資1口の金額は抹消され、
 発行可能株式総数、発行済み株式の総数ならびに種類および数が追加され、
 資本の総額は、資本金の額に変更されている・・・など)
 についての認識がない方が、まだまだ少なくないようです。
 「特例有限会社登記事項証明書例(※)」をご参考にしつつ、
 できれば自社の証明書を取得してみると良いでしょう。
※)http://www.moj.go.jp/MINJI/minji92-03.pdf 

★次号(2008/10/15発行予定の第134号)では、
 「株式」について、ご紹介する予定です。

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 3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(60)」
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★本稿では、「平成20年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
 民法各編についての理解を深めていただいておりますが、
 第3回目は「遺言執行者が関与する登記」に関する問題です。
  ※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
    ご了承ください。

遺言執行者が関与する登記の手続に関する次の記述のうち、
 正しいものはどれか(午後―第24問)。
1.遺言者の財産が生前に売却されていたにもかかわらず、
  その所有権の移転登記がされていなかった場合において、
  遺言がある特定の者への包括遺贈を内容とするものであったときは、
  当該遺言遺言執行者は、
  買主との共同申請により、所有権の移転登記の申請をすることができる。
 □正解: ×
 □解説
  本肢のような場合において、
  当該遺言執行者は、当然に当該登記の申請をすることはできません(先例)。
  ※遺言執行者は、
   「相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為」
   をする権利義務を有します(民法第1012条第1項)が、
   本肢の場合における「買主との共同申請による所有権移転登記の申請」は、
   「同行為」には、該当しません。
   なお、肢2および肢3の各登記申請は、「同行為」に該当します。
2.Aは、甲土地をBに遺贈し、
  Bは、その登記を経由することなく甲土地をCに遺贈するとともに、
  遺言執行者を指定した場合、
  Cへの所有権の移転登記の前提として、
  当該遺言執行者は、Aの相続人との共同申請により、
  AからBへの所有権の移転登記の申請をすることができる。
 □正解: ○
 □解説
  本肢のような場合において、遺言執行者は、
  Aの相続人との共同申請により、
  甲土地についてのAからBへの所有権の移転登記の申請をした上で、
  Cとの共同申請により、
  甲土地についてのBからCへの所有権の移転登記の申請をする
  こととなります(先例)。
  ※肢1の解説を参照のこと。
3.相続財産である数筆の土地のうちの一定の面積を指定して遺贈する旨
  の遺言があった場合には、
  遺言執行者は、土地の分筆の登記の申請をし、さらに、
  受遺者に対する所有権の移転登記の申請をすることができる。
 □正解: ○
 □解説
  本肢のような場合には、
  遺言執行者は、いずれの登記の申請もすることができます(先例)。
  ※肢1の解説を参照のこと。
4.未登記の不動産の所有者が死亡し、
  相続人AおよびBによる所有権の保存の登記がされ、
  AとBとの共有とされたが、
  その後に、Bが包括遺贈により当該不動産の全部を取得しており、かつ、
  遺言執行者として、Bが指定されていたことが判明した場合、
  Bは、遺言執行者兼受遺者として、
  AからBへの持分の全部移転の登記の申請をすることができる。
 □正解: ×
 □解説
  本肢のような場合において、
  Bは、遺言執行者兼受遺者として、当然にAからBへの持分の全部移転の登記
  の申請をすることはできません(先例)。
  この場合には、AB共有の所有権保存登記を抹消した上で、
  不動産の所有者である被相続人名義の所有権保存登記
  遺言執行者兼受遺者としての相続人Bによる遺贈による所有権移転登記
  を申請する必要があります。
5.遺言者が、
  甲不動産を相続人AおよびBにそれぞれ2分の1ずつ相続させる旨の遺言をし、
  かつ、遺言執行者を指定した場合、
  遺言執行者は、AおよびBを代理して、AおよびBの共有名義にするための
  所有権の移転登記の申請をすることができる。
 □正解: ×
 □解説
  本肢のような場合において、
  当該遺言は、遺産分割方法の指定がなされたと解され、
  当該遺産は、何らの行為を必要とすることなく、遺言者の死亡時に直ちに、
  相続人AおよびBに承継されます(※1:最判平成3年4月19日)。
  また、相続人AおよびBは、単独で所有権の移転登記の申請をすること
  ができ(不動産登記法第63条第2項)、遺言執行者の職務は顕在化しないため、
  遺言執行者は、AおよびBを代理して、
  AおよびBの共有名義にするための所有権の移転登記の申請をすること
  はできません(最判平成7年1月24日、※2:平成11年12月16日)。
※1)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25807&hanreiKbn=01
※2)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25363&hanreiKbn=01

遺言執行者の指定または選任の方法は、
 「遺言による指定または遺言による指定の委託(民法第1006条第1項)」、
 または、「利害関係人の請求による家庭裁判所の選任(※)」です。
 なお、遺言執行者は、未成年者および破産者以外であれば、
 誰でもなることができます(民法第1009条)が、その業務の性質上、
 一定の知識・経験を有する専門家の就任が望ましいことが多いようです。
※)家庭裁判所 http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_06_18.html

★次号(2008/10/15発行予定の第134号)では、
 「無権代理相続」について、ご紹介する予定です。

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 4.編集後記
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★2008/10/1、国民生活金融公庫や中小企業金融公庫などの政府系金融機関
 の統合に伴い、「株式会社日本政策金融公庫」が誕生しました。
 詳しくは、こちら(※)をご覧ください。
※)http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_aa97.html
■第133号は、いかがでしたか?
 次号(第134号)は、2008/10/15発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
 □津留行政書士事務所 http://www.n-tsuru.com
 □当事務所へのご連絡は、
  上記Webサイト・トップページのメールリンクをご利用ください。
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(http://www.mag2.com/)」を利用しており、
 購読の解除は、「http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
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