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会社分割に伴う
労働契約の承継━━━━━━━━━━━━
┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏ C O N T E N T S┏┏┏┏ ┏┏┏┏ ┏┏
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┏┏ ◇
会社分割と分割計画
┏┏ ◇ 特定
労働者の排除目的で意図的に
配置転換を行った場合
┏┏ ◇ 異議申立
┏┏ ◇
労働条件の変更
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会社分割と分割計画
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
分割される部門の業務を主たる職務としている
労働者は、包括承継の原則にしたがって分割先
に移転します。
ただし、分割される部門以外で主に働き、分割部門の業務も兼務している
労働者については、
移籍を拒否することができます。
異議の申し立てについては、正社員だけでなくパートタイマーなどすべての
従業員に認められ
ています。
会社分割を有利に進めるために、
従業員の8割以上が分割先に引き継がれることが必要条件と
して求められる場合があることを、承知しておく必要があります。
分割部門にまったく従事していない
労働者は、包括承継の対象とはならないため、
合併や営業
譲渡と同じように
労働者の個別同意が必要となります。
会社は、
会社分割によって
労働者が
転籍や異動をする場合、分割計画を承認する
株主総会の2
週間前までに、当該
労働者や
労働組合に通知し、事前協議しなければならないとされていま
す。
事前協議の義務違反があった場合、分割手続は重大な
瑕疵を帯び、分割そのものが無効だとい
う主張も可能となります。
異議申立が認められるのは、分割計画書を承認する
株主総会の前日までです。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
特定
労働者の排除目的で意図的に
配置転換を行った場合
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
過去の勤務実態から判断してその
労働契約が設立会社等に承継されるべき又は承継されないべ
きことが明らかな
労働者について、分割会社が合理的理由なく
労働者を設立会社等又は分割会
社から排除することを目的として、分割前に意図的に
配置転換を行ったような場合には、その
労働者が「主として」従事する
労働者に当たるか否かは、その
労働者の過去の勤務の実態をみ
て判断することとなります。
つまり、企業の恣意的な配転等の異動により、
労働者を継承予定者にするか否かを左右するこ
とはできないということです。
●
不当労働行為となる差別的
配置転換
不当労働行為等の違法な目的で分割前に
配置転換を行ったような場合には、当該
配置転換は無
効となります。
労働組合の活動を一定の会社内に押さえ込むため、
会社分割を利用して、新規設立会社あるい
は分割元の会社に組合員を集めることは、
会社分割法や継承法上は適法とされても、
労働組合
法上の支配介入や不利益取扱いとして
不当労働行為と評価され、裁判所や
労働委員会により無
効とされることがありえる、と解されています。
●見解の相違が解決しない場合
労働者と分割会社との間で、「主として従事する
労働者」に該当するか否かについて見解の相
違が生じたときには、分割会社と
労働者との事前の協議や理解と協力を得る手続により見解の
相違の解消に努めるべきですが、なお解決しない場合には、最終的には裁判によって解決をは
かることができます。
また、都道府県労働局に相談をすることもできます。
なお、反対によって、
在籍出向により対応する手法も考慮されるべきでしょう。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 異議申立
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
●異議申立をしたことにより不利益扱いはできない
労働者は、通知が行われた日から会社が定める日(分割計画書等を承認する
株主総会等が開催
される日の2週間前から、当該
株主総会等の日までの間にある日であって通知が行われた日か
ら少なくとも13日間を置いた日)までの間に、分割会社に対して、書面により、異議を申し出
ることができます。
異議を申し出れば、
労働者は本人の意向に従い、承継され、又は承継されないこととなりま
す。
異議の申出は法に基づく
労働者の権利であり、会社は、
労働者が異議の申出を行おうとしたこ
と及び行ったことを理由として、解雇等の不利益取扱いを行ってはなりません。
分割会社が
労働者に通知を行わなかったため、
労働者が異議申出を行うことができなくなった
場合、
労働者は、分割が行われた後であっても、分割会社又は設立会社等に対して、適切な通
知がなされていれば行うことができたであろう異議申出の内容に対応して、分割会社に残留で
きた、あるいは設立会社等に移行できた等の主張をすることができます。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
労働条件の変更
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
●分割に伴う変更は不可能
会社分割により、
労働者は会社側の一方的な判断で
転籍を余儀なくされます。
労働者保護の観点から、
会社分割にあたり、
労働条件を変更することはできません。しかしな
がら、継承会社等の判断で、どうしても
労働条件を変更したい場合は、
会社分割手続終了後、
承継会社等の
就業規則を改訂して行います。
当然その場合には、
就業規則の変更内容に合理性がなければなりません。
【
商法附則第5条】(
労働契約の取扱いに関する別の法律による措置)
この法律による改正後の
商法及び有限
会社法の規定に基づく会社の分割に伴う
労働契約の継
承に関しては、分割する会社は、分割計画書又は分割
契約書を本店に備え置くべき日までに、
労働者と協議するものとする。
2 前項に規定するもののほか、同項の
労働契約の継承に関連して必要となる
労働者の保護に
関しては、別に法律で定める。
一方、
労働者側から
労働条件の見直しを求める場合は、
労働条件変更に係る
契約交渉を承継会
社等と行い、合意がまとまれば、
会社分割の効力発生時期に当該
契約も効力を発生させるよう
な条項を付しておけば、可能です。
●
年次有給休暇の通算
年次有給休暇の日数、
退職金額の
算定、
永年勤続表彰資格等に関する勤続年数は通算されま
す。
●
退職金等の
算定・
永年勤続表彰等に係る勤続年数
分割会社のものが設立会社等においても通算されることになります。
●
福利厚生の取り扱い
福利厚生についても、
労働協約や
就業規則に規定され制度化されているもの等分割会社と労働
者との間で権利義務の内容となっているものについては、
労働条件として維持されます。
また、設立会社等が同一の内容で引き継ぐことが難しいもの(例えば、アスレチック施設等の
福利厚生施設を分割計画書等に記載しなかった場合等)は、
労働者等と協議等を行い、代替措
置等を含め妥当な解決を図ることになります。
●
労使協定
会社の分割の前後で、その
事業場が同一であると認められる場合、
労使協定は引き続き有効で
あると解されています。
しかし、
事業場の同一性が失われた場合は、当該分割後に再度、それぞれの規定に基づいて労
使協定を締結し、届出をする必要があります。
●労使慣行
労働協約や
就業規則・
労働契約によって明文化されている
労働条件のほか、確立された労働慣
行であって、分割会社と
労働者の間で黙示の合意が成立しているもの、又は
民法92条の慣習が
成立していると認められるもののうち、
労働者の待遇に関する部分も、
労働条件として維持さ
れることになります。
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┏┏ ◇ 特定労働者の排除目的で意図的に配置転換を行った場合
┏┏ ◇ 異議申立
┏┏ ◇ 労働条件の変更
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会社分割と分割計画
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分割される部門の業務を主たる職務としている労働者は、包括承継の原則にしたがって分割先
に移転します。
ただし、分割される部門以外で主に働き、分割部門の業務も兼務している労働者については、
移籍を拒否することができます。
異議の申し立てについては、正社員だけでなくパートタイマーなどすべての従業員に認められ
ています。
会社分割を有利に進めるために、従業員の8割以上が分割先に引き継がれることが必要条件と
して求められる場合があることを、承知しておく必要があります。
分割部門にまったく従事していない労働者は、包括承継の対象とはならないため、合併や営業
譲渡と同じように労働者の個別同意が必要となります。
会社は、会社分割によって労働者が転籍や異動をする場合、分割計画を承認する株主総会の2
週間前までに、当該労働者や労働組合に通知し、事前協議しなければならないとされていま
す。
事前協議の義務違反があった場合、分割手続は重大な瑕疵を帯び、分割そのものが無効だとい
う主張も可能となります。
異議申立が認められるのは、分割計画書を承認する株主総会の前日までです。
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特定労働者の排除目的で意図的に配置転換を行った場合
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過去の勤務実態から判断してその労働契約が設立会社等に承継されるべき又は承継されないべ
きことが明らかな労働者について、分割会社が合理的理由なく労働者を設立会社等又は分割会
社から排除することを目的として、分割前に意図的に配置転換を行ったような場合には、その
労働者が「主として」従事する労働者に当たるか否かは、その労働者の過去の勤務の実態をみ
て判断することとなります。
つまり、企業の恣意的な配転等の異動により、労働者を継承予定者にするか否かを左右するこ
とはできないということです。
●不当労働行為となる差別的配置転換
不当労働行為等の違法な目的で分割前に配置転換を行ったような場合には、当該配置転換は無
効となります。
労働組合の活動を一定の会社内に押さえ込むため、会社分割を利用して、新規設立会社あるい
は分割元の会社に組合員を集めることは、会社分割法や継承法上は適法とされても、労働組合
法上の支配介入や不利益取扱いとして不当労働行為と評価され、裁判所や労働委員会により無
効とされることがありえる、と解されています。
●見解の相違が解決しない場合
労働者と分割会社との間で、「主として従事する労働者」に該当するか否かについて見解の相
違が生じたときには、分割会社と労働者との事前の協議や理解と協力を得る手続により見解の
相違の解消に努めるべきですが、なお解決しない場合には、最終的には裁判によって解決をは
かることができます。
また、都道府県労働局に相談をすることもできます。
なお、反対によって、在籍出向により対応する手法も考慮されるべきでしょう。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 異議申立
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
●異議申立をしたことにより不利益扱いはできない
労働者は、通知が行われた日から会社が定める日(分割計画書等を承認する株主総会等が開催
される日の2週間前から、当該株主総会等の日までの間にある日であって通知が行われた日か
ら少なくとも13日間を置いた日)までの間に、分割会社に対して、書面により、異議を申し出
ることができます。
異議を申し出れば、労働者は本人の意向に従い、承継され、又は承継されないこととなりま
す。
異議の申出は法に基づく労働者の権利であり、会社は、労働者が異議の申出を行おうとしたこ
と及び行ったことを理由として、解雇等の不利益取扱いを行ってはなりません。
分割会社が労働者に通知を行わなかったため、労働者が異議申出を行うことができなくなった
場合、労働者は、分割が行われた後であっても、分割会社又は設立会社等に対して、適切な通
知がなされていれば行うことができたであろう異議申出の内容に対応して、分割会社に残留で
きた、あるいは設立会社等に移行できた等の主張をすることができます。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 労働条件の変更
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●分割に伴う変更は不可能
会社分割により、労働者は会社側の一方的な判断で転籍を余儀なくされます。
労働者保護の観点から、会社分割にあたり、労働条件を変更することはできません。しかしな
がら、継承会社等の判断で、どうしても労働条件を変更したい場合は、会社分割手続終了後、
承継会社等の就業規則を改訂して行います。
当然その場合には、就業規則の変更内容に合理性がなければなりません。
【商法附則第5条】(労働契約の取扱いに関する別の法律による措置)
この法律による改正後の商法及び有限会社法の規定に基づく会社の分割に伴う労働契約の継
承に関しては、分割する会社は、分割計画書又は分割契約書を本店に備え置くべき日までに、
労働者と協議するものとする。
2 前項に規定するもののほか、同項の労働契約の継承に関連して必要となる労働者の保護に
関しては、別に法律で定める。
一方、労働者側から労働条件の見直しを求める場合は、労働条件変更に係る契約交渉を承継会
社等と行い、合意がまとまれば、会社分割の効力発生時期に当該契約も効力を発生させるよう
な条項を付しておけば、可能です。
●年次有給休暇の通算
年次有給休暇の日数、退職金額の算定、永年勤続表彰資格等に関する勤続年数は通算されま
す。
●退職金等の算定・永年勤続表彰等に係る勤続年数
分割会社のものが設立会社等においても通算されることになります。
●福利厚生の取り扱い
福利厚生についても、労働協約や就業規則に規定され制度化されているもの等分割会社と労働
者との間で権利義務の内容となっているものについては、労働条件として維持されます。
また、設立会社等が同一の内容で引き継ぐことが難しいもの(例えば、アスレチック施設等の
福利厚生施設を分割計画書等に記載しなかった場合等)は、労働者等と協議等を行い、代替措
置等を含め妥当な解決を図ることになります。
●労使協定
会社の分割の前後で、その事業場が同一であると認められる場合、労使協定は引き続き有効で
あると解されています。
しかし、事業場の同一性が失われた場合は、当該分割後に再度、それぞれの規定に基づいて労
使協定を締結し、届出をする必要があります。
●労使慣行
労働協約や就業規則・労働契約によって明文化されている労働条件のほか、確立された労働慣
行であって、分割会社と労働者の間で黙示の合意が成立しているもの、又は民法92条の慣習が
成立していると認められるもののうち、労働者の待遇に関する部分も、労働条件として維持さ
れることになります。
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